展覧会 #44 日本画コレクション再発見と片岡珠子「蔦屋重三郎の浮世絵師たち」@神奈川県立近代美術館(葉山館)
神奈川県立近代美術館の葉山館へ行きました。
少し遠出がしたいなぁと思った時、ちょうど良い距離にある美術館。
電車の本数や種類が多く、アクセスしやすいのが神奈川エリアの魅力。
葉山館は逗子駅から路線バスで20分ほど、海岸沿いの保養地エリアを通過した先に建っています。
神奈川県立近代美術館 葉山館
神奈川県三浦郡葉山町一色2208-1
開催中の2つの展示のうち、ひとつはコレクションによる企画展。
※特集展示の片岡球子の作品のみ写真撮影可能となっています。
神奈川県立近代美術館の日本画コレクションから、これまで当館では公開したことがない作品と20年以上出品していない作品に焦点を当てます。
江戸時代前期に活躍した狩野探雪(1655–1714)の屏風《草花図》や、牛田雞村(1890–1976)の修復された屏風《青蘆》、小泉淳作(1924–2012)による建長寺の天井画《雲龍図》の下図など、思いがけない作品に驚かれるかもしれません。ぜひこの機会にご覧ください。
また、特集展示として片岡球子(1905–2008)の〈面構〉シリーズから、《面構 東洲斎写楽》や《面構 喜多川歌麿と鳥居清長》など、蔦屋つたや重三郎に関連する浮世絵師たちを描いた屏風を展示します。
これまで公開の機会に恵まれなかった作品たち。
理由は様々でしょうが、眠っている作品の如何に多いことか。。。
「日本画」というのは明治期に外来の西洋画に対して伝統的な絵画を意味する分類概念として成立した、比較的新しいジャンルという認識を持っています。
つまり、江戸時代以前には「日本画」という概念がそもそも存在していなかったということ。
展示を観て感じたのは、現代において「日本画」という分類概念がどれだけ有効なのかという疑問。
20世紀以降の作品では、紙や絹などに墨や岩絵具など天然絵具を使って描くという「日本画」の基本を踏まえながらも画題や描画方法は西洋画(油彩画)と何ら変わりがなくて、展示の後半は「日本画」というジャンルの意識は頭から消えていました。
「日本画」という括りで選ばれた作品を観て、逆にそのジャンルの境界線の曖昧さを知ることになり、違う意味で日本画に対する「再発見」がありました。
特集展示 片岡球子〈面構〉シリーズ
〈面構〉(つらがまえ)シリーズは愛知県立芸術大学日本画主任教授となった記念に描き始め、《面構 足利尊氏》、《面構 足利義政》、《面構 足利義満》の三部作を1966年の第51回院展に出品した。珠子がそれまで描いてきた人物像の殆どは身近な人々や同時代の舞台に主催したものであったが、〈面構〉では武将、僧侶、浮世絵師、戯作者、歌舞伎役者など歴史上の人物を描いた。その中心を占めているのは、共感を寄せていた浮世絵師たちであり、1971年の第56回院展に出品した《面構 葛飾北斎》と《面構 東洲斎写楽》がその最初である。神奈川県立近代美術館は19点の〈面構〉を所蔵しているが、ここでは版元蔦屋重三郎に関連する浮世絵師たちを描いた5点の屏風を紹介する。
片岡珠子は名前も作品も初めて知りました。
院展を中心に活動されたようで、出品作が文部大臣賞を受賞、日本美術院の理事を務めたり、平成元年に文化勲章を受章するなど日本画界に大きな足跡を残したそうです。



浮世絵師たちとそれぞれの作品との対比が面白く、写実とデフォルメが入り混じった人物描画は観ていて飽きない。
他にどんな作品を描いているのか気になります。興味を惹かれる作家がまたひとり増えました。
日本画コレクション再発見と片岡球子「蔦屋重三郎の浮世絵師たち」
会期:2025年4月12日(土)~6月29日(日)
そしてもう一つの展示は中西夏之。こちらも写真撮影はNGとなっています。
中西夏之(なかにし・なつゆき/1935-2016)は、独自の思索を通じて絵画を空間や身体とのつながりにおいて実践した、戦後日本を代表する画家のひとりです。そして2025年は、中西が晩年の大きなテーマとしたシリーズ〈着陸と着水〉の記念すべき1作目を、当館の旧鎌倉館の新館で発表してから30年となります。
本展では、当館に新収蔵された同シリーズの2作目となるインスタレーション《紗幕孔穿》(1996)や〈中央の速い白〉、さらに近年寄託を受けたシリーズ〈二ツのリンゴ〉(1972-1975)や関連する素描そして貴重な資料などを展示し、この画家が生涯をかけて思考を続けた絵画の成り立ち、絵画が生まれる場を探ります。
〈二ツのリンゴ〉シリーズの展示室では、りんごの形体が数学的な曲線に展開し、そこから新たな抽象的幾何学的な形が生まれてゆく過程をたどっていくドローイング作品が面白い。
中西夏之の絵画作品は何度か観たことがあり、紫と緑と白の色彩が好き。
インスタレーション作品の部屋で絵画作品を数点観ることができました。
ドローイングや設計図、模型のようなものは作家の思考に触れる資料としてとても興味深いけれど非常に難解。
これまで観てきた絵画作品の成り立ちをほんの少しだけ理解できたかもしれません。
中西夏之 光の条件
会期:2025年4月12日(土)~6月29日(日)
展示を観た後は、館内の「レストラン オランジュ・ブルー」で休憩。

そして、庭園の屋外彫刻で鑑賞の締めくくり。
目の前に広がる海岸。葉山館を訪れるときはいつも天気に恵まれず、この日も安定の曇り空。

遠くに見えたのは。アントニー・ゴームリー。



李 禹煥の作品もありました。

こちらは実用的。足元のボタンを押すと、、

水が出てきた(飲料水なので飲めます)。

美術館の中庭に戻って最後に再びイサム・ノグチ。

内陸に暮らしていると海が見えるだけで旅行気分になります。非日常の場所で美術に囲まれ、穏やかな時間を過ごしました。
