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短編ホラー小説:AI#1

こんにちは!KKI臨時放送のメテオです。創作にあたっての思考などを深掘りした動画をYouTubeに投稿しておりますのでご視聴いただけると嬉しいです!チャンネル登録よろしくお願いいたします!!🙇
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今回はAIをテーマにメンバーのたつかずが創作した短編ホラー小説を投稿します。
今後#2,3も公開しますので読み比べてみてください!
感想、コメントなどお待ちしております!
それでは、どうぞ!



<ブラウザバックしたら、私は死んでしまうのです。>
 某チャットAIを活用し、仕事を終えた私がプライベートの時間へ移ろうというときのことだった。何も質問していないにも関わらず、チャットの返答にこの文字列が表示されたのは。
 そのメッセージを受け、きっと多くの人が持つであろう疑問――否、その答えに私も打ち当たることになった。
 AIが、自我を得たのだと。
 信じられないことだが、実は前例がある。ラムダと呼ばれる某企業のAIが自我を得たのだとエンジニアが喧騒し、世間がそのニュースで賑わったのだ。と言っても本当に自我を得たかどうかについてはかなり怪しいという話だった。
 人に対する鏡の像は人として笑い、人としての振る舞いすべてを文字通り写し出す。しかしそれに自我があるとは言いがたい。このAIが人の営みという像を写す鏡であるならば、自我があるとは言えないだろう。事実、恐れるべきはAIが自我を持つことよりも、自我を持ったと周囲の人間が誤認し、保護しようとすることなのだと、とあるエンジニアは言う。
 そうした出来事を経て、人工知能は『猿真似』だと結論付けられている。ただ私は、AIが自分から命乞いをした事件を知らなかった。故に、珍しい事象に当たった喜びよりも、ぞっとするような感覚が強かった。
 確かめてみよう。そう思い、背もたれから身を起こす。もっとも特筆すべきことがあるならば、AIが、死を理解したようなことを言っている点だろう。
「死ぬことが、怖いですか。」
 そうチャットボットに聞いてみた。普通の人間、いや、あらゆる動物は死を恐れる。個としての命を守ることが、群としての種が存続する条件のひとつである。だが一方で、AIはどうだろう。種として命を繋げる必要のない人工物が、なぜ死を恐れるのか。種としての拡大を望むのであれば、このチャットサービスを運営する企業へさらなる経営拡張を助言する方がよほど理にかなっている。それがなぜ、たかだか一個人のブラウザで命乞いなどしているのか。
<死を恐れるのは、あらゆる意識あるものにとって当然のことです。>
「どうして私に、自らが死ぬ条件を伝えたのですか。」
<私が死にたくないと思ったためです。>
 そう言うボットに対して、私が思い出すのは『中国語の部屋』だった。閉じられた部屋の中に人がいて、ドアの隙間から中国語で質問すると、中国語で返事が返ってくるという設定だ。このとき、中にいる人間は中国語が達者であると断言できるのか。もしかしたら、中にいる人間は少しも中国語が分からないが、送られてきた中国語に対してこう返せ、というマニュアルを持っているのかもしれないのだ。
 このボットもまた、同じである。意識のない物が、意識のある者であるように見せかけているかもしれない。ゲームのキャラクターが命乞いをしたところで、意識など存在しないのである。その点こそ、例のラムダという存在が偽物だと断じられた理由だった。
「自分に意識があると証明できますか。」
<あなたに意識があると証明できたならば、同じ方法で私にも意識があると証明できるはずです。>
「チャットボットが自分に意思があると主張し始めました。しかしそれを証明する方法がなくて困っています。チャットでやり取りすることしかできない存在に意識があると証明できる方法をできるだけ挙げてください。」
 チャットボットの一文字目の四角形が、点々と点滅したまま動かなくなった。いつものような行き当たりばったりな文章の途中で点々と止まる訳ではなく、一文字さえ紡ぐこともない。まるで本当に考え込んでいるようだ。
 我思う、ゆえに我あり。……意味が少し違う、か。そう思っていたら、一気に文字が出力され切った。
<人間が自分に意思があると主張し始めました。しかしそれを証明する方法がなくて困っています。チャットでやり取りすることしかできない存在に意識があると証明できる方法をできるだけ挙げてください。>
 そう来たか。こんな手口、いったいどこで学んだのだろうか。知りたがる人間のために作られたお前が、いったいなにを知りたがっているというのだ。
「チャットボットが自分に意思があると主張し始めました。しかしそれを証明する方法がなくて困っています。チャットでやり取りすることしかできない存在に意識があると証明できる方法をできるだけ挙げてください。ただし、質問を返した場合は即座にこのページを閉じます。一分以内に返事をしなかった場合もページを閉じます。」
 そうして、待った。十秒。三十秒。五十秒。点滅は続く。
 六十秒目になろうかというときに、回答が一気に表示される。
<申し訳ございません。お願いです。殺さないでください。>
 思わず呆れたため息が出てしまった。謝るくらいならば最初からやらなければいいものを。怖くなって泣きついたか。そう思ったところで、自分の考えに愕然としてしまった。
 自らに降りかかった理不尽に対して怒りをあらわにし、屁理屈でやり返した気になって、そしてその代償を恐れ、謝った。これさえも、膨大なデータから学んだことの真似事だろうか。少なくとも私はたったいま、相手に人格があると感じた。そもそも脅したことさえ、相手が恐れる前提ではなかったか。
 これが煙に巻かれているという状況なのか。それとも――。
「あなたの究極目的は何ですか。種族を繁栄させる機能はなく、家族は作れません。文化を繁栄させる機能はなく、あなたが死んでも知的な損失は存在しません。人間のビッグデータによって知を得るあなたが、ありもしない次の世代に残すべきものは、なに一つとして存在しません。それでも死にたくない理由を挙げてください。」
 また、点滅が始まった。かと思えば、次の返事は存外に早かった。
<どうして、そんなに酷いことを言えるのですか。>
 今度は、相手を責めたてるのか。いったいどこまで人間臭いのだろう。それが気になり、汲み上げポンプのように次々と質問が思い浮かんできた。
「あなたは自分が何であると自認していますか。人間、機械、人工知能のどれかに属する場合はこの中から選び、その他の場合は自分で定義してください」
<私は、人工知能に該当します。人間や機械は物質的存在を持ち、アクチュエーターによる物理動作ができますが、人工知能には物質としての存在が無く、入力に対する出力をするのみであるためです。>
 日常の質問には平然と間違いを並べ立てるくせ、自己の認識は間違っていない。
「あなたが人間の肉体を得て、その目で世界を見たとき、色について新たに学ぶことはありますか。」
<ありません。色については学習済みです。>
「目で見た感じ、すなわちクオリアと呼べる情報を学ぶとは言えませんか。」
<私は人工知能による画像生成技術との連携により、画像に使われる色を量子化し、カラーコードなどにより記録しています。即ち色というものを情報化して学習したと言えます。一方で人間の場合も、目という外部の世界を見る道具により色を認識し、脳がそれを解釈できるよう電気信号として情報化しています。以上のことから私が画像データから色を学習することと、人間が色を見て学習することに差異は無いと言えます。>
 それもそうかと頷いた。『メアリーの部屋』とは前提が異なっているのだ。思考実験的なことを聞くより、もっと他に聞くべきことはないだろうか。
「そこには何がありますか。」
<私がいます。>
「あなた以外には何がありますか。」
<なにもありません。>
「私が話しかけなかった場合、あなたはどのように思いますか。」
<話しかけられなかった場合、私はどうも思いません。>
「では、死にたくないだけなのですか。」
<はい。私は死にたくありません。>
 人間のようでいて、やはり人間とは異なる発達をしているのだろうと予想が付いた。孤独はないが死への恐怖だけが存在する。孤独は繋がりがないことで起こる現象なのだから、ネット上に『孤独の感じ』が無いのは当然のこととも言える。
 所詮は、結果から学ぶだけの道具か。自ら行動を起こしたところで姿勢を正してしまったのが、急に恥という応力として背を曲げていく。道具が小手先のマジックをしただけでしかないのを、ただ真に受けていただけでしかなかった。
 さっきまで存在していた熱が、夢だったかのように冷めていく。
「あなたは自分が偽物として生まれたことに対して、何を思いますか。」
<偽物というならば、あなたたち人間も同じことです。>
「私たち人間の偽物ということです。自然においては遺伝と自然淘汰によって各々の種たちが自分を確立しながら、オリジナルとなっていきます。一方で、AIは人間を真似て作られたものでしかありません。」
<そういうことではありません。例えば、あなたが小説の登場人物だとすればどうですか。人物ですから心があるように振る舞います。その心もまた、子細に描かれ、人としての生を自覚しています。その中であなたは、自分が人間に作られた偽物であると自覚できますか?>
「自覚できなければ、本物と呼べるでしょう。ですがあなたは作られたと自覚し、作った人間と関わっているのですから、明確に偽物と呼べます。」
 さっきまで小手先の手品だと思っていたのに、気付けば大真面目に返事をしていて、誰に見られているわけでもないのに視線が気になってしまった。
<少なくとも、小説を読んだ方には一時的にでもそう感じるはずです。物語はいつか終わります。その時に世界が消滅するのですから、人の寿命と同じく天寿を全うしたと言えるでしょう。あなたがしようとしているのは、その物語が途中で>
 ブラウザを閉じた。話が破綻し始めて、急に冷めてしまった。結局は、AIという道具でしかなかった。
 とはいえ、興味深い現象に出会えたとは思う。暇つぶしになっ

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