「キャッシュ・フロー」はすごく重要。だけど、その定義はすごく曖昧です
キャッシュ・フローは経営・投資・融資に重要な財務指標です。
債権評価、株式価値評価、不動産評価にキャッシュ・フローを使います。
金融機関が融資する際には、企業が借入金を返済できるだけのキャッシュ・フローを有しているかを検討します。
利益だけでなく現金収支を管理する経営手法として、キャッシュ・フロー経営があります。
財務諸表の一つにキャッシュ・フロー計算書があります。
このように、どの企業も「キャッシュ・フロー」を利用します。
しかし、そのキャッシュ・フローは非常に曖昧な概念です。
用途によってキャッシュ・フローの定義は違います。
今回は、どんなキャッシュ・フローがあるかについて、解説します。
・問題:どのキャッシュ・フローか分かりますか?
プレイヤーによってキャッシュ・フローの定義が違います。ここでは、プレイヤーによるキャッシュ・フローの違いを説明します。
不動産賃貸業X社から不動産物件を買い取りたい不動産ファンドのAさん、X社の買収を検討しているPEファンドのBさん、X社から融資を依頼された銀行員のCさんの会話から、3人の「キャッシュ・フロー」が何かを考えてみましょう。
<不動産ファンドのAさん>
X社の保有するオフィスビルのキャッシュ・フローは年間1億円で安定しています。キャップレートが5%だから、物件価値は20億円ですね。
<PEファンドのBさん>
X社の年間キャッシュ・フローは5億円です。WACC(加重平均資本コスト)が5%だから企業価値(EV)は100億円ですね。
<銀行員のCさん>
X社の年間キャッシュ・フローは6億円です。当行の貸付金残高は40億円、運転資金が10億円だから、債務返済年数は5年ですね。
3人のキャッシュ・フローが何か、分かりましたか?
・不動産評価に利用する物件のNCF
まず、Aさんは不動産物件の収益価格を計算するためにキャッシュ・フローを使っています。だから、ここでのキャッシュ・フローは物件のNCF(Net Cash Flow)です。
NCFは次のように計算します。
NCF=NOI-CAPEX+敷金等の運用益
NOI:物件収益-物件費用
CAPEX:資本的支出(修繕費など)
NCFとキャップレート(CR)から、物件の収益価値は次のように計算します。
収益価格=NCF÷CR=1億円÷5%=20億円
・株式価値評価に使用するFCF
Bさんは株式価値を計算するためにキャッシュ・フローを使っています。
株式価値評価に使用するキャッシュ・フローはフリー・キャッシュ・フロー(FCF)です。
FCF=営業CF-CAPEX
※営業CF=営業利益+償却費-法人税等
キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローに支払利息等を加算した金額です。
FCFとWACC(加重平均資本コスト)を使って、企業価値(EV)を計算します。
EV=FCF÷WACC=5億円÷5%=100億円
ちなみに、EVは株式価値ではありません。
非事業性資産10億円、有利子負債50億円とすると、株式価値はこのように計算します。
株式価値=EV+非事業性資産-有利子負債
=100億円+10億円-50億円=60億円

・債務償還年数を計算する営業CF
CさんはX社への融資の回収可能性を判断するために、キャッシュ・フローを使いました。
金融機関の自己査定では、借入人(債務者)の債務償還能力を判断するために、借入金から運転資金を控除した額が営業CFの何倍かを計算します。
債務償還年数=(借入金-運転資金)÷営業CF
=(40億円-10億円)÷6億円=5年
※営業CF=営業利益+償却費-法人税等
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このように、プレイヤーによってキャッシュ・フローの定義が違います。
ややこしいので、間違わないようにしてください。
それでは!
キャッシュ・フローについて詳しく知りたい人は、こちらをどうぞ!
この説明ビデオを作りました。よろしければ、ご覧ください。
