たまに3Dモデリングしたくない主婦。でも3Dデータは「もらえる」し「その場で作れる」時代になっていた話【3Dの難しいことはしない シリーズ第4回/データ入手・活用編】
3Dプリンター、実は「自分でモデリングなんて不要」です。世界中の無料データ + 数値入力で 「自分だけのぴったりサイズ」ができる。蓋つきボックス、引き出しトレイ、写真から フィギュア、光るナイトライト…すべてMakerWorldのブラウザツールで完成。ダウンロードして 印刷するだけ。「モデリング怖い」じゃなく「選ぶ楽しさ」にも気づいた45歳主婦の話。
こんにちは、さめと申します。普段は「特殊な総務系」という、ちょっと変わったお仕事をしながら、48歳の夫と11歳の娘、自由気ままな愛猫と一緒に賑やかに暮らしている、45歳の普通の主婦です。
さて、「3Dの難しいことはしないシリーズ」、第四回目です!
前回の記事では、「3Dを全部わかろうとするから挫折する」というお話をしました。YouTubeと100円ノートで必要なことだけ覚えていく、という独学の進め方でしたね。
読んでくださった方から「なるほど!でも結局、自分でモデリングができるようにならないと3Dプリンターって使えないんでしょ?」という声をちらほらいただきました。
その気持ち、すごくよくわかります。私もそう思っていました。
でも今回は、その思い込みをひっくり返しにきました。
3Dモデルの難しいことなんかしたくない!
自分でつくるとか、面倒だし…!勉強時間ないし!すぐに作りたいし…!
そんな方もいらっしゃるのではないでしょうか
私も日によっては、今日は自分でつくるのめんどくさ…ってなっちゃう日もあります。主婦だもの(笑)でも、便利なものは欲しい。欲張りです。
じつは3Dプリンターって、自分でモデリングしなくても十分楽しめる方法が、いくつもあるんです。しかも無料で。しかもブラウザだけで。今日はそのルートをまるごとご紹介します。
実は世界中の人が「どうぞ」と配っていた。3Dデータは「もらえる」時代です
まず知っておいてほしいのが、世界中に「自分が作った3Dデータを、無料でどうぞ」と公開してくれているクリエイターがたくさんいるということです。
主要なサイトだけで数百万件。毎日何千件も新しいデータが追加されています。
「なんで無料で配るの?」というのは、私も最初に思った素朴な疑問です。
理由のひとつに、MakerWorldというサイトの「MakerReward(メーカーリワード)」という仕組みがあります。自分が作ったデータを公開して、誰かがダウンロードしたり印刷したりするとポイントが貯まるんです。そのポイントは機材や材料の購入に使えるギフトカードと交換できるので、クリエイターさんにとっても嬉しい仕組みになっています。
つまり「無料でもらえる」のは、作る人にとってもメリットがある循環になっているわけです。お互いにとってハッピーな仕組みって、なんかいいですよね。
設定もスライスも「全部入り」。初心者にいちばん優しいMakerWorldとは
今いちばん初心者向けだと思うのが、「MakerWorld(メーカーワールド)」というサイトです。わが家の通称「ぶーぶーちゃん(Bambu Lab A1 mini)」のメーカーが運営していて、日本語にも対応しています。
「MakerWorld(メーカーワールド)」
https://makerworld.com/ja
ここが他のサイトと大きく違うのは、ダウンロードしたデータをそのままワンクリックで印刷できるところです。
普通、3Dデータを印刷するには「スライサーソフト」というアプリを使って、ノズルの温度とか速度とか、いろんな設定をしてから印刷の命令を出す必要があります。初心者には、ここがひとつの壁になりやすい部分です。
MakerWorldでは、その設定ごと入ったデータが豊富に公開されています。「3MFファイル」と呼ばれる形式で、温度も速度もサポート材(印刷中に支えが必要な場合の構造)も、作者があらかじめ設定してくれているものです。それをダウンロードして印刷ボタンを押すだけ。むずかしい設定は全部入り、という感じです。
スマホアプリ(Bambu Handy)と連携すれば、スマホからワンクリックで印刷指示が出せるので、パソコンすら開かなくてもいいくらいです。
数字をいれるだけで蓋つきの箱が作れる!「守りたいものの寸法を入れたら、ぴったりの箱ができた」というモデルを見つけてしまった
MakerWorldを使い始めてしばらく経ったころ、「これはすごい」と思ったモデルに出会いました。
「PiPBox(ピップボックス)」というモデルです。
何がすごいかというと、「カスタマイズ」ボタンを押すと、自分で好きな数値を入力して、その寸法ぴったりの箱がその場で生成されるんです。幅・奥行き・高さをミリ単位で指定するだけで、「守りたいもの専用のケース」が完成します。

もう一度カスタマイズを押す。

直感的にカスタムできます
しかもこの箱、フタがヒンジ(蝶番)でつながっていて、組み立て不要でそのまま使えます。「プリント・イン・プレイス」という仕組みで、ヒンジ部分もまとめて一度の印刷で完成するんです。パーツを組み合わせる手間がまったくありません。
作者の方も1年以上このケースを愛用しているそうで、アルミ製の電子機器、トランプ、ミニチュアなどを傷つけずに持ち運ぶために使っているとのこと。カスタマイズ回数はなんと11,000回以上。いかに多くの人が「自分サイズの箱」を作っているかが伝わりますよね。
使い方のイメージはこんな感じです。
たとえば、大事にしているアクセサリーを入れたい。定規で測ったら幅80mm、奥行き50mm、高さ30mmだった。その数値をそのまま入力して「生成」を押すと、ぴったりサイズのフタつきケースのデータが出来上がります。あとは印刷するだけ。
市販のケースでは「もう少し小さければ」「もう少し深ければ」と妥協することが多いですが、このモデルなら完全に自分の用途に合わせた箱が作れます。これが、3Dプリンターを手に入れた本当の意味だなあ、と初めて実感した瞬間でした。
MakerWorldには、こういった「カスタマイズ」ボタンつきのモデルが他にも多数公開されています。ぜひ「Parametric(パラメトリック)」で検索してみてください。皆さんが見つけた便利だったり、面白いカスタマイズモデルをぜひコメントで教えてください。
写真を入れたら完成、数値を入れたら完成。「MakerLab」がすごすぎた
MakerWorldの中に「MakerLab(メーカーラボ)」というコーナーがあります。
https://makerworld.com/ja/makerlab
ここが面白くて、「数値を入れるだけ」「画像をアップロードするだけ」など、自分専用の3Dデータが作れるツールが何種類も揃っているんです。モデリングの知識はいっさい不要です。
どんなものが作れるか、ジャンル別にご紹介しますね。
実用系・収納系。サイズを入れたらぴったりの箱や仕切りが完成
「パラメトリックモデルメーカー」では、先ほど紹介したのPiPBox(ピップボックス)ようにカスタマイズができるモデルが紹介されています。
「パラメトリック BENTOトレイ ジェネレーター」では、仕切りの数や形を変えた引き出しトレイが作れます。引き出しの幅に合わせてサイズ調整できるので、「市販のトレイが微妙に入らない」という悩みともお別れです。
思い出・インテリア系。写真を入れるだけで飾れるものが作れる
「リソフェーンメーカー」は、私がMakerLabの中でいちばん感動したツールです。リソフェーンというのは、写真を白いフィラメントで薄く印刷したもので、光に透かすと写真が浮かび上がる、工芸品のような仕上がりになります。子どもの写真や旅行の写真を3Dにして飾れるなんて、こんな素敵な使い方があったのかと思いました。
「ライトボックスメーカー」では、文字や絵柄を組み合わせた光るパネルが作れます。名前を入れたナイトライトや、誕生日プレゼントにも使えそうですよね。
遊び系・プレゼント系。AIがキャラクターや彫像を生成してくれる
「プリントモンメーカー」は、テキストで説明したり写真をアップロードしたりすると、AIがオリジナルのキャラクターを生成してくれます。カラフルな仕上がりで、子どものおもちゃやキーホルダーにもなります。
「Make My Statue」では、自分や家族の顔写真をアップロードすると彫像っぽいフィギュアに変換してくれます。「Image to 3D」では、写真1枚から立体的な3Dモデルをまるごと生成するAIも使えます。プレゼントにしたら絶対に喜ばれると思います。
全て紹介できないぐらい、たくさんの機能があります。
「MakerLab」は見たことない。そんな方はぜひ一度みてください。
これらのツールには「MakerLabクレジット」という点数を消費するものがあります(消費しないものもあります。ツールによって違います)。
最初に新規アカウント登録で50クレジットがもらえるので、まずはそれで試してみることができます。
自分の作品をアップしたらポイントが貯まる。もらうだけじゃない使い方も
MakerWorldはダウンロードするだけじゃなく、自分で作ったデータをアップロードして共有することもできます。MakerLabで作ったデータも、もちろんアップロード可能です。
アップロードするときに必要なのは、3Dデータのファイルと、実際に印刷して撮った写真です。「ちゃんと印刷できますよ」という証拠として、実拍写真が求められています。これがあることで、ダウンロードする側も安心して使えるんですね。
アップロードしたデータがダウンロードされたり、誰かが印刷してくれたりすると、「MakerReward(メーカーリワード)」のポイントが貯まっていきます。502ポイント貯まると約5,300円分のギフトカードと交換できるので、フィラメント(印刷材料)の購入に充てたりできます。さらにオリジナルデータを独占提供するプログラムに参加すると、現金として受け取ることもできます。
そしてもうひとつ、「Boost(ブースト)」という面白い仕組みがあります。
MakerWorldをアクティブに使っているユーザーには、週に数回「Boost Token(ブーストトークン)」というものが配布されます。これは「いいね」より少し重みのある応援の証みたいなもので、気に入ったモデルに贈ることができます。ブーストを受け取ったクリエイターにはポイントが入り、贈った側にもポイントが入るという仕組みです。贈っても損しない、むしろみんなが嬉しくなる循環です。
「ブーストはダウンロード数が少ないニッチなモデルに使うのが本来の意義」という声もあって、有名作品より「こういうの探してた!」というマイナーな便利グッズに贈られると、クリエイターがものすごく喜ぶらしいです。自分が使って助かったモデルに、こっそり贈ってみるのもいいかもしれません。
一つ注意があるとすれば、ポイントは現金化できてしまうのでモデルの作成するソフトは商用使用可能か、などを規約を確認してからアップしましょう。
MakerWorldだけじゃない。他にも無料でダウンロードできるサイトがあります
MakerWorld以外にも、無料でデータをダウンロードできるサイトはいくつかあります。気になったときの参考に。
「Thingiverse(シンギバース)」は世界最古参の大型サイトで、掲載モデル数がとにかく多いです。英語サイトですが、探せばたいていのものが見つかります。
「Thingiverse(シンギバース)」
https://www.thingiverse.com
「Printables(プリンタブルス)」はUIが見やすくて品質が高いモデルが多い印象です。
「Printables(プリンタブルス)」
https://www.printables.com
「Cults3D(カルツスリーディー)」はおしゃれなデザインや装飾系が充実しています。日本語UIにも対応しています。
「Cults3D(カルツスリーディー)」
https://cults3d.com/ja
日本語で探したいなら「3D DATA JAPAN」やいった国内サイトもあります。
「3D DATA JAPAN」
https://3d-data.skhonpo.com/
「3Dモデラボ」
https://modelabo.net/
とはいえ、最初はMakerWorldひとつで十分だと思います。物足りなくなってきたら、他のサイトを覗いてみるくらいでちょうどいいです。
今回お伝えしたかったのは、「モデリングできなくても3Dプリンターは十分楽しめる」ということです。
ダウンロードして印刷する。数値を入れて自分サイズのものを作る。写真からAIに形を起こしてもらう。作ったものを公開してポイントをもらう。このどれもが、専門知識なしにブラウザひとつでできます。
3Dプリンターを買ったけどモデリングが怖くて使えていない、という方がいたとしたら、まず今日MakerWorldを開いて、何か1つダウンロードして印刷してみてほしいです。「あ、これだけでいいんだ」という感覚が、きっと次の一歩につながります。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 「3Dの難しいことはしないシリーズ」、続きはぜひフォローしてお待ちください。
私が書いた3Dプリンター関連の無料マガジンも作成しています。Bambu Lab A1 miniとの生活や、勉強した豆知識・失敗談・コツなどをまとめていますので、ぜひ併せてご覧ください。
