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阿賀沢紅茶『正反対な君と僕』感想(1〜7巻)





1巻

マンガがうまい!!

スズキさんが走るときの「もった もった」、歩むときの「ずんだ ずんだ」が大好き。

ここのあくび表現もすごい


2巻

話も画もマンガもうますぎる

『スキップとローファー』を新時代の少女マンガだなぁと思いながら読んでいたが、本作もまさにそう。
「純愛(ピュア)」の問い直しや、恋愛より友情のほうがしっくりくる男女関係など……ギャル精神とリベラル思想の相性の良さを感じる。

山田と西さんの関係は微笑ましいが、タイラズマの2人のヘテロカップリング既定路線感はちょっとモヤる。『スキップとローファー』でいうミカと迎井ペアみたいな、あぁこの男女グループでそことそこをくっ付かせるのか……という嫌さ。今後次第でどうせ応援できるようになるのだろうけど。

タイトルにも「君と僕」とあるが、ヘテロ中心主義を作中で相対化したら更に遠くまでいける。佐藤さんや渡辺さんあたりに期待するか。



3巻


定期的にヒルクライム「春夏秋冬」やってくれるの助かる(世代的に最高の懐メロのひとつ)

ようは『ホリミヤ』と同系統の、高校生リア充グループに根暗男子主人公(彼氏)が加わってワチャワチャ青春しまくる漫画なんだけど、恋愛とは何か、人間関係の機微とは……みたいなところを「解像度」高く分け入って、現代なりの答えを出しながら進んでいくので感心する。

高校に馴染めず中学時代が恋し過ぎる理人くん。青春真っ只中のハズの高校生の時点ですでに過去の青春を懐古して縋り付いているのが、確かにそういう人もいるよなぁというリアリティもあり、「青春」のなかの多層性と多様性を感じられて良い。

スズキさんのお母さんが可愛すぎる。お父さんも。

タイラズマの話よかったですね。平が東を一方的に「救う」かと思いきや、東の人を簡単に許せてしまうところが平にとっての「赦し」となること(に平自身はまだ気付いていない点)が良い。ここも「正反対」。山田と西さんも正反対。

特定の対象だけカラーにする演出が本巻も冴え渡っていた。ボウリング場の貸し出し靴〜〜

いまだにスズキの髪色がピンクだと想像しながら通常ページを読めない。金髪・黄色系統だと認識してしまう。



4巻

修学旅行!!!

美人ゆえに周囲の人間から利用されがちで、それに流され続けて苦い思いをした中学時代の経験から、高校では人一倍友人グループ関係に怯えて距離をとりがちであった東さんが、ナベサトコンビと打ち解ける話……よかった。東は『スキップとローファー』でいうところの結月とミカのハイブリッドのような印象。

修学旅行の事前準備の進行ペースがクラスごとに違って焦ったり相談が発生したり、という高校生活の描写の解像度も高い。学級委員だけど部活を言い訳にして帰宅部に仕事を丸投げする奴への不平とか……。スズキら7組はその点、初めから帰宅部に手伝いを頼んだ担任教師のおじさんの手腕が地味に光る。
(あと7組のギャルっぽい学級委員女子すき)

西さんの親友のホンちゃん(本田さん)もいいキャラだな〜〜  色々と達観してそうな余裕のある眼力強い系女子として、本田さんと東さんの絡み見てみたいな。

えっ!? 今って修学旅行後の写真購入、スマホからネット注文なの……?? 見本の写真が廊下に吊るされないの……? 鉛筆で欲しい写真の番号書いて提出しないの……??

ニシさんかわいすぎる〜〜〜
ゲロ甘すぎて悶えちゃいますねこんなの。



5巻

クリスマス夜の男子3人のエピソードすき

「ここにいたらいいのに」と嬉しいことを誰かに共有したくなったら、その人はもう “家族” なんだ。……『ちはやふる』で学んだやつだ〜〜! 少女漫画マインド

スズキ母ほんとかわいい。スピンオフないかな


ヒルクライム毎シーズンやってくれるの助かります(定期)

お母さんなどの女性陣のリアリティは凄いが、息子に「一緒に卒アル見なくていいの?」とか声かけちゃう谷パパはフィクショナル父だなぁ(それが悪いわけではない)

「自分で自分を楽しませる天才」のナベさん(まなみさん)好き

谷鈴木カップルは良くも悪くも仲睦まじく安定してきてて、他のカップル未満ヘテロペアたちの遅々とした進展を見守る展開になりそう。

スズキさんの変顔(笑顔)設定とか、彼氏の家に正月にいきなりご挨拶に行くことになって必死に髪を黒に染め直すスズキさんの苦労に焦点を当てる作劇とか、やっぱり本質的に少女マンガであって、女性目線の「こういうところをフィクションの中にもちゃんと描いておきたい」というこだわりと、こういう男性キャラが好きというファンタジーがうまく混ざっている作品なんだなぁとようやく分かってきた。

今のとこ山田・西さんペアをいちばん応援できるのは、なんやかんや山田の等身大の男子高校生らしい内面がしっくりくるのと、西さんがシンプルにかわいすぎるのとで、要するに “男ウケ” し易いからなのかなぁ……(唾棄すべきジェンダー本質主義二元論!)



6巻

タイラズマなぁ…… こいつらがこの感じで恋人として付き合わずに「親友」のままで行ったらめっちゃ最高だと思うんだけど、どうせ付き合っちゃうんだろうな……この2人メインの漫画だったらワンチャンあるかもだったけど。恋愛関係になったらなったでそれなりにとても「てぇてぇ」のはわかるんだが……

各キャラの本名(下の名前)を初開示するタイミング、練りまくってんな……(すげー雑にサラッと出されるキャラもいるが、それはそれで巧い)

ここにきてホンちゃん回……ッ!
本田りかこ っていうのか
根っからのオタクだけどいわゆる根暗側ではなく、勝手に羨まれる側という強者オタクな本田さん。こういう人もそれなりにいるんだろうな。
ホン→ニシが想定外に強い!! めっちゃいいな……
「彼女」(恋人)ポジションの唯一性/排他性を「そうでない人」の立場から想像することを促すことで、西さんの後押しをするホンちゃん。

ナベさん妹なのね……納得した
そういえば東の友達の川崎さんいたな。スズキ達とグループ違うからあんま登場しないけどもっと見たいな

平の内面すげー深掘るじゃん
「後退」に「はんたい」のルビを振る。タイトルに含まれる単語を。

そういやこの漫画、がっつり学園モノなのに同級生ばっかでほぼ先輩も後輩も出てきてないな。帰宅部たちの話だから。
あと先生の影も意図的に超薄くしている。両親や家族は必要に応じて描くとはいえ、あくまで大人は背景であって、徹底して青春の当事者たちの目線で物語っている。

ナベさんって恋愛経験あるのか……?
過去にブロックで男を殴ったらしいという情報だけが存在している(最高)
まつ毛メイクが濃い2色髪の委員長さんの出番もっと見たかった。

春になり2年生が終わり卒業が近づいてくる寂しさよりも、山田西カップルが成就してタイラズマも待ったなしで、3組カップルできたあとはどーすんだろ……という寂しさ、不安のほうが強い。



7巻

3年になりかなり季節の進み具合がテンポアップした。卒業以降まで続けるとは思えないから、まとめにかかっているということだろう。実際、あとはタイラズマが付き合えば “終わり” だし。(西さんに何かトラブルが起こっているようだが、それも引き延ばしにしか思えない)

好きだと自覚した東、可愛いといえば可愛い……それはもうめちゃくちゃかわいいし、一方の平が「恋愛じゃなくて自己愛だ」と拗らせまくってまだまだ食い下がるのも良いので、これまで思っていたように「この2人付き合ってほしくない」とまでは思わなくなった。

が、結局は3組の同級生ヘテロカップルができる話かーいと冷める気持ちもまだあるし、平の「言語化」描写にかんして、恋愛ってそんなに高尚な人格・人間性を問われるものだったっけ?という引っ掛かりも覚える。

キャラの魅力を出すためにヘイト要素をなるべく排除して、とにかく「できた人間」を作り上げながら恋愛譚をやっている結果として、そういう「恋愛力は人間力」的な価値観となっている気がする。それは別に悪いことではないんだけど、個人的には、恋愛モノのなかでも、「恋愛ってマジでしょうもない営みだな! しょうもない奴らがしょうもないことをしてて……マジで最高におもしろいな!」というようなスタンスで読める話のほうが好み。岡田麿里作品とか、『WHITE ALBUM 2』とかのことです……。(いつもの帰結)

最初のほうは、すごくハイセンスな新時代の少女漫画だな〜とワクワクしながら読んでいたが、やっぱり付き合い始めると、凡庸にとっても面白い恋愛モノに落ち着いたな……という印象。良くも悪くも。



まとめ

上記の繰り返しになりますが、マンガ表現やノリなどに独特なハイセンス・ポップさがあることから、最初のうちは とよ田みのる的な、とにかく斬新なデザインセンスで突き抜けていくラブコメ漫画なのかと勝手にものすごく期待していました。webマンガらしく部分的にカラーにする演出など勿論めちゃくちゃハイセンスで良いことは良いのですが、しかし話が進むごとに高校生男女グループの青春ヘテロ恋愛モノとして、着々とカップリングが出来てしっかり仲を深めて……と非常に「まっとう」なことを誠実にやる漫画になり、新時代のラブコメらしくとっても面白いことは面白いんだけど……思ったよりも「ふつう」だったな……という気持ちがあります。

いや、面白いは面白いんですが。良くも悪くもジャンプラ+の人気作だなぁと思います。1話ごとに各キャラを好きになるような工夫や、思わずコメント欄で言及したくなる小ネタが満載で、そういうフォーマットに最適化されている。全然悪いことじゃありませんが、今のわたしの好みからはびみょ~~にズレていました。キャラ商売だな~と。(キャラクター主義の苦手さ、にはアニメ『ユーフォ』の感想でも触れました)

何度も比較対象に持ち出してしまい双方に申し訳ないんですが、いま連載しているなかで、高校生男女グループの青春と恋愛を扱う「新時代のラブコメ」漫画といったら個人的に『スキップとローファー』の存在が絶大かつ圧倒的で、毎話、自分でも有り得ないくらいボロッボロに涙をこぼしながら読んでいるほど。もちろん「ジャンプラ+」と「アフタヌーン」なのでジャンルも想定読者層もまったく異なることは重々承知の上ですが、両作を読んでいるとどうしても頭に連関がチラついてしまいます。じっさい2作とも大好き!という漫画読みは結構いることでしょう。わたしも基本的にはそうなのですが、今作に関しては、ジャンプラらしいノリが絶妙に合わないな……と、ジャンプラ上で読んでもいないくせに感じてしまいました。もうね、こちとら志村貴子やら入江喜和やらの「メインキャラのヘイト管理?なにそれおいしいの?」と言わんばかりの不倫しまくりラブコメとかじゃないと心から肯定できないカラダになっちまったんだよ……たすけてくれ。

ちなみに、男女グループのヘテロ恋愛・青春群像劇なら何でも好みなわけではなく、(原作漫画は読んでませんが)アニメ『ホリミヤ』などはかな~り歯ぎしりしながら(それでも映像が素晴らしいので)観ていた覚えがあります。『正反対な君と僕』は、わたしの語彙でナイーブに形容すれば『スキップとローファー』と『ホリミヤ』の中間地点、というような作品だと認識しています。各キャラクターの扱い方や物語の質感が……(抽象的すぎる!)

青春恋愛劇が大好きなんですが、そのなかでも三角関係モノが大好物で、1対1の固定カップリング前提のおはなしは好きになれないことが多い、めんどうくさい性癖の人間なので、こんなようなもどかしい感想をうだうだ書いてしまう。申し訳ない。

ただ、マジで最初のインパクト故にわたしの見立てが間違っていただけで、基本的にはめちゃくちゃ面白いラブコメ青春マンガだな~と超楽しんで読んでます。

根が逆張りなので、これだけどいつもこいつもヘテロ恋愛し始めると、そうではないキャラクター……本作でいえばサト・ナベやホンちゃんへの好感度が相対的に上がってくる傾向にあります。特にナベさんが好きです。こういうキャラを、単なる賑やかしの直情おバカキャラ/コメディ要員として配置せずに、彼女の人間性にそれでも肉薄して尊重してくれるとなお良い。

続きも期待しています!!




原作マンガの感想もそのうち……


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