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萩野貞樹『旧かなづかひで書く日本語 』

 著者が「改変・改竄」だと怒っている谷崎潤一郎や中島敦の作品に対する変更は、「改変・改竄」ではない。谷崎や中島が書いている日本語は外国語である。だから大衆は翻訳してもらわなければ読めない。教科書や文庫本に掲載されている彼らの文章は、大衆の言葉への「翻訳」である。
 正式な日本語とそれを母語とする日本人は、ラテン語とそれを母語とするローマ人が滅んだのと同じ意味で、昭和20年に滅んだのだ。
 現在日本列島にいる人々の大半は、日本人と生物学的なつながりがあるというだけの集団である。民族としての日本人はすでに滅亡している。


 西洋においては、ラテン語や古典ギリシア語は一部の知的エリート階級だけがたしなむ言語である。これはその人が知的エリートかどうかを判別する為のしるしであり、階級を判別するためのフラグである。

 正式な日本語は、一般大衆の間ではすでに失われている。
 正式な日本語を読み書きできるのは、日本の文化を理解することができる一部の知的エリート階級だけである。
 旧かなと旧漢字は、その人が知的エリートかどうかを判別する為のしるしであり、階級を判別するためのフラグである。

(了)

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