読書感想文『フェイクニュースの真実』 #ショートショート
フェイクニュースはフェイクではない。それを読む人の心がフェイクなのだ。
皆さん、読まれましたか。いま、ベストセラーですからね。書店に行けば平積みになっているし、バラエティ番組の書籍コーナーでは、おすすめ書籍として紹介されてますよね。重版が決まって、出版社はウハウハらしいです。
まあ、ここ数年のフェイクニュースのまん延を考えると、こういう書籍が売れるというのは理解できます。AIによるフェイク動画や詐欺まで現実になって、もう何が真実で何がフェイクかなんてわからない。それに、国民や国家の代表者になるような人たちが、フェイクのようなことを堂々と発言するんですから。あそこまで断言されると、「ひょっとして、フェイクに見せかけて真実があるんじゃないか」って思ってしまいますよね。
でも、この書籍のすごいところはそういう陰謀論じゃなくて、フェイクニュースの真実が、それを読む人の心にあるって看破したところです。私はこれを読んで戦慄しました。いままでの人生ってすべてフェイクだったんじゃないかって。
なので、思い切って決めました。人生リセットです。
会社辞めて、世界一周のクルーズ旅行に行くことにしました。だって、300日間の旅行でたったの19万8000円という破格の価格ですよ。この本の購入者だと、さらに15%割引になるんです。今朝の新聞の折り込みチラシに入ってました。
もう、フェイクには騙されません。これから申し込もうと思ってます。

〈了〉
※この作品はフィクションです。実在の人物や団体、書籍などとは関係ありません。
