映画 『サンキュー、チャック』
心が澄んでいく感じする映画
街中に溢れる謎の感謝広告「Thanks Chuck,」から始まる美しい物語。

人が見たり感じたりしている事象は、すべて脳に投影されたものだという感覚が通底している。「私が終わるときには…」という意識を持ち続けてきた、スティーヴン・キングが、誰もが漠然と抱いている思いを言葉にして、その力に改めて驚かされる。本作は、誰もが一度は感じたことのある感覚を丁寧にすくい上げた映画だ。

自分が生きている間に消えていった人々、ほんの数分だけ出会ったのに印象に残る人、ニュース映像で見かけただけの人――そうした存在が、それぞれの記憶の中に広がり、時間の経過とともにノイズが削ぎ落とされ、輪郭を帯びていく。そんなことを思いながら観ていると、鑑賞後には不思議と心が澄んでいく感覚が残る。
