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「木の家は生きています」本当かのう?

「木の家は生きています」――本当かのう?
その言葉を、
おぬしは疑ったことがあるかの?

「木は呼吸しています」
「だから快適なんです」

ほう。

さて、それは本当かのう。


ある奥方が嬉しそうに言った。

「木の家って、生きているんですよね?」

わしは答えた。

「そう思えるのなら、それもまたよい」


じゃが、
今日はコソッと

少しだけ毒を吐こうかの。

切り倒された木は、生きておるか?

芽は出ぬ。
育ちもせぬ。

では「呼吸をしている」のか?

違うのう。

木材 はな、 建築材料 じゃ。

湿気を吸ったり吐いたりしておるだけじゃ。

専門的に言えば、
含水率が環境に応じて変化しておる。

これは「吸放湿性」と言うて、
洗濯物と同じじゃ。

けっして呼吸ではない。

湿気を吸えば膨らみ、
乾けば縮む。

そして、

反る。
割れる。

これは生命活動ではなく、
物理現象じゃ。

では、なぜ「生きている」と言うのか?

それはの、

響きが良いからじゃ。

あたたかい。
やさしい。
自然。
健康的。

ほれ、悪い気はせぬじゃろう?

これを住宅業界の【 イメージ戦略 】と言う。

戦略が悪いわけではない。

じゃがな、
仕組まれた” 戦略 ”に酔ってはいかん。

それでは、木は悪いのか?

違う。

わしは木造住宅にも長く関わってきたから、
ある程度はまだ憶えておる。

建築材料としての木には利点がある。

・軽い
・加工しやすい
・入手しやすい
・比較的安価
・施工者が多い

素晴らしい材料じゃ。

じゃがな。

同時に欠点もある。

・燃えやすい
・白アリが好む
・腐る
・湿気で変形する
・強度にばらつきがある

材料とは、
長所と短所のかたまりじゃ。

ひとつ聞こうかの。

もし「生きている木」が最良なら、

なぜ基礎は鉄筋コンクリートしかダメなのじゃ?

なぜ地面に触れる部分に木を使わぬ?

答えは単純じゃ。

切り倒した木は、すぐに腐るからじゃ。

根が生えて生きている間は
問題ないのじゃがの。

いずれにしても切り倒された後では
環境に適さぬからじゃ。

生きてはいないから、ではないかの?

材料はな、
適材適所で使うもの。

神格化するものではない。

わしが言いたいのは、これだけじゃ。

木造を選ぶな、とは言わぬ。

選ぶなら、

理解して選べ。

「生きているから安心」
ではなく、

・構造はどうか
・耐久性はどうか
・防蟻処理はどうか
・メンテナンス計画はどうか

そこまで見よ。

よいか。

明日、住宅展示場で使える質問を授けよう。

営業マンにこう聞くがよい。

「木造住宅の利点と欠点を、五つずつ挙げてください」じゃ。

利点だけ並べる者は、
売る人。

利点も欠点も語れる者は、
考えている人じゃ。

木《 材 》は生きてはおらぬ。

じゃが、

人は、思い込みで生きておる。

その思い込みを
誰かに、
それも営業の戦略によって作られてはならぬ。

どうじゃ?

少し嫌われたかのう?

まぁ、それも善し。

じゃがな、
嫌われる覚悟もまた、
建築士の仕事のうちかもしれぬのう。

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合わせて是非お読みいただきたい記事。
こちら(別のnote) では 
あほう老士が住宅展示場に行きました。
“あほう老士”は
ときどき こちら にも出没しています
(別のnoteです)。
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