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父が旅立った4か月後、お腹を蹴って私を救ってくれた男

私が母になったのは7年前。

父が亡くなった、
わずか4か月後のことでした。

悲しみと喜びが入り混じる中で、
私は母になりました。

両親に妊娠を報告したのは、
父が入院していた病室。

エコー写真と母子手帳を取り出した瞬間、
父も母も大号泣。

目の前で泣かれると、
泣くまいと思っていた私も、
涙が止まりませんでした。

「孫を見せるまで元気でいてほしい」
と願いましたが、
それは叶いませんでした。

それから4か月後に、
生まれてきてくれたのが長男です。

今日は、忘れたくないあの頃の気持ちを
書いておきたいと思います。


妊娠中。
仕事をしているとき、ふと一息つくと、
急に父の顔が浮かび、
涙がこぼれそうになることがありました。

トイレに駆け込み、
涙を抑えようとすればするほど溢れてくる。
緊張が切れるのか、同時に涙腺も緩む。

そんな時も、私を支えてくれたのは、
お腹の中の長男でした。
帰宅途中で、前が見えなくなるほど
涙があふれた夜。

そのたびに、お腹をポン、と蹴ってくれました。

「元気出して」と言われている気がして、
不思議と力が湧きました。

出産当日。
破水したと夫に連絡し、夜中に病院へ。

高速を飛ばして駆けつけてくれた夫は、
「まだ生まれない」と分かると、
病室のソファでいびきをかいて爆睡。

少し不安な出産のスタートでした。

それでも、いざ陣痛が強くなると、
腰をさすり、うちわであおぎ、
水を飲ませてくれました。

どれも少しずつズレていましたが(笑)

頑張ってくれたことだけは、
ちゃんと記憶に残っています。

そしてついに、産声が上がった瞬間。
夫は誰よりも涙を流していました。

一方の私は、
アドレナリンが出すぎていたのか涙は出ず。
母に報告したのも夫でしたが、
あまりに泣くので母は少し引いていたほどです。

そんな夫を見て、
「あぁ、本当に親になったんだ」と実感しました。

父の手続きや整理も重なり、
実家での里帰り期間はにぎやかでした。

きょうだいたちも度々実家へ帰省して、
たくさん可愛がってもらいました。

そして長男が3カ月の頃、
夫の待つ家へ戻り、
新生活のスタート。

当時の夫は、
「仕事が忙しいから育児は難しい」
という雰囲気を全身から放っていましたが、

私はもともと子ども好きなので、
育児への不安はなく、
当時はそんな夫への不満も、
あまり感じていませんでした。

むしろ長男との生活を楽しんでいたと思います。

長男が生まれてくれたおかげで、
父を亡くした悲しみに
ひたらずに済んだのかもしれません。


決して毎日が楽ではありませんでしたが、

夜は2〜3時間おきの授乳。
眠いはずなのに、なぜかすっと起きられる。

あの頃の私は、
きっとホルモンと愛情のかたまりでした。

チャイルドシートでは大絶叫。
スーパーではカート拒否で、常に抱っこ。
思い通りにならないと、癇癪を起こして大号泣。

離乳食は白米拒否なのに、
市販のベビーフードをバクバク食べられた日には、
さすがに心が折れそうになりました。

それでも、
泣き止むのはママだけでした。

そんな長男を
「なんて愛おしいんだ!」と思いながら、
毎日私の方が愛をもらっていました。

パパが全く役に立たない状態に、
心の底では、
「パパよ、もっと頑張ってくれ」と叫ぶ毎日。

生後10か月から始まった保育園生活で、
毎朝大号泣する長男を預けるたびに、
罪悪感を抱えながら仕事へ向かう。

でも、そんな長男の存在が、
「早く迎えに行くぞ!」と
私を奮い立たせてくれました。


あまりにぐっすり寝ていれば、
息をしているかなと確認して、

風邪で鼻がつまっていたら、
呼吸できるのかなと心配して、

歩いたかと思えば、
角に頭をぶつけないかと心配で、

今度は私が後追いをはじめていました。

そんな長男も、
2歳を迎える少し前に妹が産まれ、
お兄ちゃんになりました。

色々と心配の多かった長男ですが、
今では妹たちの面倒を見る、
優しくて頼もしいお兄ちゃんに成長しています。

あの頃はあまり頼りにならなかった夫も、
今では三児の父。

子どもたちと一緒に成長して、
頼もしいパパになりました。

今では週末になると、
子どもたちを連れて公園へ出かけてくれます。

いくつになっても、
きっと子どもの心配は尽きないけれど、

たとえ「クソババア」と呼ばれる日が来ても、

お腹をポンと蹴ってくれたときの温もりや、
3人それぞれの産声を聞いた瞬間の感動、

「生まれてきてくれてありがとう」と
心から思ったあの日の気持ちだけは、
これからもずっと大切にしていきたいと思います。

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