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営業は「正解」を言わなくていい|あえて“7割の仮説”をぶつけると、本音が出てくる理由

商談中、相手の話を聞きながら、頭の中ではかなり見えている。
「たぶん、この会社が困っているのはここだな」
「この担当者は、価格より社内調整を気にしていそうだな」
でも、そこで営業が自信満々に言います。
「つまり、御社の課題は○○ですね」
すると相手は、
「まあ、そうですね」
と答える。

一見、きれいに整理できたように見えます。
ただ、僕はこの「まあ、そうですね」が少し怖いです。
なぜなら、営業が正解を言い切った瞬間に、相手が考える余白がなくなることがあるからです。
今日はあえて、逆の話をします。
営業は、100点の正解を言わなくていい。
むしろ7割くらいの仮説を置いて、相手に直してもらう。
この方が、本音が出てくる場面があります。

◆ 100点の仮説は、会話を終わらせることがある

営業では、仮説を持つこと自体はものすごく大事です。
事前に業界を調べる。会社の状況を見る。相手の立場を想像する。
ここまでは絶対にやった方がいい。
ただし、仮説を「答え」として渡すのか、「叩き台」として渡すのかで商談は変わります。

たとえば、
NG:
「御社は人手不足による生産性低下が一番の課題ですね」
これだと、相手はYESかNOで答えることになります。

一方で、
OK:
「お話を聞く限り、人手不足そのものより、教育に時間が取られていることの方が大きいのかなと思ったんですが、違いますか?」
こう聞くと、相手は修正できます。
「いや、教育より実は○○で…」
ここです。
この“修正”の中に、本音が入っています。

◆ なぜ「違います」と言わせた方が深くなるのか

人は、誰かに自分の状況を決めつけられると、少し受け身になります。
逆に、少しズレた仮説を置かれると、
「いや、正確にはこうです」
と、自分の言葉で説明したくなります。
営業側からすると、これは非常にありがたい状態です。
相手自身が、自分の課題を整理し始めるからです。
大事なのは、わざと適当なことを言うことではありません。
しっかり考えた上で、断定しない。
僕の感覚では、7割くらい当たっていそうな仮説がちょうどいいです。
残り3割を、相手に埋めてもらう。
営業が全部埋めないから、商談が共同作業になります。

◆ 明日から使える「7割仮説」の3パターン

① 原因を仮置きする
「もしかすると、今の課題って“作業時間”より“確認の手間”の方が大きかったりしますか?」
相手が「いや、そこではなく…」と直してくれれば、その先が本音です。

② 優先順位を仮置きする
「価格ももちろん大事だと思うんですが、今のお話だと一番は導入後の運用負担なのかなと思いました。合っていますか?」
ここでも、当てることが目的ではありません。
相手の優先順位を、相手の口から言ってもらうことが目的です。

③ 社内の懸念を仮置きする
「○○さんご自身より、社内で説明するときに『本当に効果が出るのか』を聞かれるところが一番大変そうですか?」
これは決裁・社内説明の壁を見つける時に使いやすいです。
もし違えば、
「いや、部長はそこより予算を気にします」
と教えてくれます。
違った瞬間に、情報が増える。
これが7割仮説の面白いところです。

◆ 「当てる営業」より「直してもらえる営業」

営業をしていると、つい「自分は相手を理解しています」と見せたくなります。
僕もそうでした。
きれいに要約できると、営業として仕事をした感覚がある。
でも、商談の目的は営業が賢く見えることではありません。
相手が自分の状況を正しく整理できること。
そして、その状況なら何を選ぶべきか決めやすくなること。
だから、仮説を外すことを怖がらなくていい。
むしろ、
「僕はこう理解したんですが、違っていたら直してください」
と言える営業の方が、相手も話しやすいです。
この一言だけで、営業と顧客の関係が「正解を当てる人/評価する人」から「一緒に整理する人同士」に変わります。

◆ 逆に、7割仮説を使わない方がいい時

もちろん、何でも仮説で聞けばいいわけではありません。
事実確認は普通に確認した方がいいです。
「現在何名で運用されていますか?」
「いつまでに導入したいですか?」
こういう内容まで遠回しにする必要はありません。
7割仮説が効くのは、
・本当の困りごと
・優先順位
・意思決定の理由
・社内の不安
・理想の状態
のような、本人の中でもまだ完全に言語化されていない部分です。

◆ 次の商談で、1回だけ試してみてください

次の商談で、相手の状況が見えてきた時。
すぐに、
「つまり○○ですね」
とまとめる代わりに、
「僕は○○なのかなと感じたんですが、違っていたらぜひ直してください」
と一度だけ言ってみてください。
もし相手が、
「いや、実は…」
と話し始めたら、その後は説明を足さずに聞く。
その「実は」の後に、提案のヒントがあります。
営業は、正解を当てるクイズではありません。
相手が自分の正解に気づき、決めやすくなる状態をつくる仕事です。
だから時には、100点を言わない。
7割までこちらで考えて、残り3割を相手と一緒に埋める。
その方が、結果的に一番深い提案になることがあります。

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