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春樹君と由紀夫君78 『街とその不確かな壁』を語る


遅ればせながら『街とその不確かな壁』を読ませてもらったよ。


どうでした?


「きみ」には何が起きたんだ?


そりゃ、駄目ですよ。そこ突きます? そこは指が六本になっても答えられませんよ。


興信所で調べたら分かるんじゃないのか?


だからそれは「消え去る女」という僕の必殺技なんですから流してくださいよ。


アルベルチーヌさんはお発ちになりました、か。で「ぼく」の実家はなにをしている?


今採用面接でも親のことは質問しないんですよ。そこはなしでお願いします。


しかし前作では無理やり父親になったじゃないか。


あー『騎士団長殺し』は、そうですね。で「父親になりたがる男たち」って妙な叩かれ方しましたけど。なんなんですかね。『国境の南、太陽の西』でも娘は二人いるんですけどね。


私も「息子の文学」をやらして貰ったが「父親の文学」というのはなかなか難しいものかね。


そりゃそうですよ。結局小説を書くような人はまず若者で、親に反発しますね。作家としての寿命はふつう十年です。なかなか「父親の文学」は書けませんよ。


しかし君はもう七十を超えただろう。『女のいない男たち』でぐっと主人公の年齢が上がったからそろそろ「父親の文学」に移行するかと思えばそうはならなかったな。


それは谷崎も同じじゃないですか。おぢいちゃんになっても息子ですよ。


『猫を棄てる 父親について語るとき』で父親のことを書いたじゃないか。

亡くなった父親のことはいつか、まとまったかたちで文章にしなくてはならないと、前々から思ってはいたのだが、なかなか取りかかれないまま歳月が過ぎていった。

(『猫を棄てる 父親について語る時』村上春樹)


あれは全然まとまっていないな。


それでも父親について語ったのは大したものですよ。あれがあるから「父親の文学」にも期待したんだけどな。『街とその不確かな壁』の父親はステレオタイプにとどまるな。「きみ」の父親にしても子易の父親にしても少し硬い。


ご指摘の点は今後の参考にさせていただきます。(チッうるせえよ)


相変わらずお米食べませんね。


たまたまですよ。


それよりあんたスマホはどうしたのよ。なんか固定電話使ってなかった?


僕はカメラで電話するのも電話で写真撮るのも嫌なんです。


『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』ではスマホ使っていたのに。


『騎士団長殺し』の割と早い段階で川に捨てたでしょ。


解約手続きしてないと毎月料金発生するし、リチュウムイオン電池が爆発するわよ。


解約手続きしなくても料金は発生しないし、リチュウムイオン電池も爆発しない世界での話として読んでくださいよ。まあ小説ですから現実とは食い違うこともありますよ。


それで転入届もなし、健康保険の切り替えもなしか。


そういうことを全部書いてもしょうがないですよね。


ビールは飲まなくなりました?


そこは少し年齢が出たかもしれませんね。


私が今回の作品で一番感じたのは「敵」とか「悪」とか批判すべきもの、というものが出てこなかったことです。「やみくろ」や「リトル・ピープル」のような得体の知れない仮想敵というものがいなくなっていますね。あれはどういう心境の変化なんですか?


それは本人からは言えませんよ。三島さんお願いします。


『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』では「悪い小人たち」になるわけだな。英語版ではevil elves、 エルフと訳されていた。ところが騎士団長は善悪を超越してしまったわけだ。


昔の『東京奇譚集』の「品川猿」は悪かったが、『一人称単数』では少しマイルドになったな。


で、何故得体の知れない仮想敵というものがいなくなったかというとだな。


さっぱりわからん。


ドテ!


なんかこう、急になくなったんだよ。
敢えて言えば単角獣ですか?


今回はテーマが「女の子」に集中したからでは?


壁の中で政治談議しても仕方ないですしね。


でもそもそも壁自体が戦争の名残では?


でもそれは日本軍とかじゃなくてどこか遠い国の昔の戦争ですよね。


寓話的な戦争だな。


何故得体の知れない仮想敵というものがいなくなったか……


その答えを知るには……


その答えを知るには……


いい方法が一つだけある!


それは?


それは?


それは?


それは?


「ヤフー知恵袋」で質問してみよう。馬鹿が得意げに教えてくれるかもしれん。


ズコ!


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