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『彼岸過迄』を読む 4375 漱石全集注釈を校正する① 新橋の停車場は新橋駅ではない 

 岩波書店『定本 漱石全集第七巻 彼岸過迄』注解に、「反間」は当て字とある。では「へま」に正しい漢字があるかというと、これが見つからない。従って「ない」ことは書かなくても良いが「反間」の読みが本来は「はんかん」であることと、その意味は示しても良いのではなかろうか。

 新橋の停車場 日本の鉄道の始発駅でもある新橋ステーションの駅舎は、明治四年(一八七一年)に竣工。アメリカの建築家ブリジェンスBridgens, Richard P. (1819-91)設計で、小規模な建物だが新文明のシンボルとして親しまれた。

(『定本 漱石全集第七巻 彼岸過迄』岩波書店 2017年)

 また、この新橋の停車場は繰り返し書いているように現在の新橋駅ではない。

 新橋の停車場経緯はこのサイトに詳しい。

明治5年(1872) 新橋-横浜が開通。日本最初のターミナル駅新橋停車場。
大正3年(1914) 新設の東京駅に旅客ターミナルの機能が移り、それまでの鳥森駅が新橋の名前を引き継いで現在の新橋駅となり、旧駅は汐留駅と改称、貨物専用駅となります。
大正12年(1923)関東大震災にと旧駅消失。
昭和61年(1986)汐留駅は廃止。
跡地の再開発工事に先立つ埋蔵文化財の発掘調査により旧新橋停車場駅舎とプラットホームなど構内の諸施設の礎石が発掘されました。
実物は現存しませんが、復元駅舎が、その真上に建設されました。

http://michiyo0520.blog20.fc2.com/?no=4235

 現在の新橋駅にSL広場などがあり、さも歴史的な建物の様に見せかけられているが、大正三年、つまり丁度夏目漱石で言えば『こころ』執筆の前後で新橋の停車場は入れ替わることになる。(ただし『こころ』に三回登場する「新橋」は明治時代の新橋なので、幻の汐留駅という理屈にはなる。)つまり『彼岸過迄』で描かれた新橋の停車場は現存しない。

 『彼岸過迄』の注釈としてこの部分は間違いではないにしても、現在の読者に対してはいささか親切心に欠いているのではなかろうか。


[余談]

 芥川が猫を飼っていた……というあたり掘るかどうか悩んでいる。どうでもいいようで、そうでもなさそうで。



































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