春樹君と由紀夫君85 偶然について語る
一方の藤尾は、自分自身の美しさを十分知ってはいるが、彼女の武器は父親から貰った「金時計」である。

















いくら儲かりました?














「約束? 約束はありません。けれども阿爺が、あの金時計を一にやると御言いのだよ」
「それが、どうしたんです」
「御前が、あの時計を玩具にして、赤い珠ばかり、いじっていた事があるもんだから……」
「それで」
「それでね――この時計と藤尾とは縁の深い時計だがこれを御前にやろう。しかし今はやらない。卒業したらやる。しかし藤尾が欲しがって繰っ着いて行くかも知れないが、それでも好いかって、冗談半分に皆の前で一におっしゃったんだよ」







どこも一緒ですよ。




















こうした藤尾のあり方が、最後に彼女自らの意志で死を選ぶ結末までも規定していると言って過言ではない。


過言です。




我の女は虚栄の毒を仰いで斃れた。



















小野さんは隧道を出るや否や、すぐ自転車に乗って馳け出そうとする。




小野さんは隧道を出るや否や、すぐ自転車に乗って馳け出そうとする。魚は淵に躍る、鳶は空に舞う。小野さんは詩の郷に住む人である。
































