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【小豆島育休移住①】「いつか」ではなく「今」。生後8か月の息子と始めた2か月の島暮らし

夕方、子どもと散歩に出る。
ベビーカーを止め、オリーブの白い花を見せる。
海岸まで出ると、心地よい海風が吹いている。風にあたるのが好きな子どもは上機嫌だ。
17時になると、「我は海の子」のメロディーが町に響き渡る。
そろそろ家に戻ろう。
帰り道、西日を浴びたオリーブの花が輝いていた。
息子はきっと、この日のことを覚えていない。
それでも、この島で過ごした時間が、記憶の底に小さく残ってくれたらと思う。


2026年5月。
私たち家族は、生後8か月の息子とともに、小豆島で2か月間の「育休移住」を始めた。
この2か月は単なる旅行ではない。
家族3人で、「どこで、どう暮らしたいのか」「どんな環境で子どもを育てたいのか」を確かめる時間でもある。
その日々の記録を、このnoteに残していきたい。


なぜ育休中に移住しようと思ったのか

普段は神奈川の海のある街で暮らしている。ベビーカーを押して海岸に出れるし、今の街も気に入っている。 ただ、いつか自分の好きな街で暮らしてみたいという思いもあった。ワーケーションや地域との交流プログラムに参加する中で、「旅行者」ではなく「生活者」として過ごす時間の面白さを知った。
結婚して2年目。子どもが産まれた。妻も私も1年間育児休暇を取った。
子どもが産まれて、最初の2か月はまとまって睡眠ができず、頭痛がした。一方でわが子の成長を毎日、抱きしめながら見つめられる幸せも感じていた。子どもが赤ちゃんでいられるのも、3人でずっと一緒なのも限られた期間。いつかは育休を終え、妻も私も職場に復帰する。だったら、いつか暮らしてみたいと思っていた場所に、今、家族で暮らしてみるのはどうだろう。
そんな考えが頭に浮かんだ。 妻も同じ気持ちだった。
ただ、初めての子育てには不安もあった。
✅  医療: 離島で急に病気になったらどうする?
✅  物流: 大量のベビー用品の送付や、現地での調達は?
✅  移動: 赤ちゃん連れでの長距離移動や生活の立ち上げは?
✅  事務: 住所変更や役所周りの手続きはどうなる?
(これらの不安をどう解消し、どのような準備をしたかについては、別の記事で詳しくまとめる予定です。)
「今じゃなくてもいいんじゃない?」そんな考えも頭をよぎった。
子どもはまだ赤ちゃんだ。
離島での生活に不安がないわけではない。
でも、子どもが保育園に入れば長期で休ませるのは難しい。
私や妻も仕事に復帰する。
『いつか』と思っていたら、結局やらない気がした。
アクセルとブレーキを同時に踏み込んでいた。
出発の2か月前、直島で開催されたリトリートプログラムに参加し、自分のこれからの暮らし方について考える機会があった
そこで改めて感じたのは、人生で本当に大切にしたいものは何か、ということだった。
時間は誰にとっても有限だ。
小豆島で息子と散歩している今も、いつか終わる。
だからこそ愛おしい。
「いつか」ではなく、「今」なのではないか。
育休移住の決断を後押ししたのは、その気づきだったと思う。
今回はあくまで2か月間の滞在だ。
それでも、普段の暮らしを離れて生活してみることで、自分たちに合った働き方や暮らし方のヒントが見つかるのではないかと思った。
私たちはそう考えて、小豆島へ向かった。

(小豆島へ向かうフェリーにて)

なぜ小豆島だったのか

私は転勤族の家庭に育ち、これまで16回の引っ越しを経験してきた。旅も大好きで、再訪したい場所や行ってみたい場所は山のようにある。
中でも、幼い頃を過ごした岩国や江田島といった瀬戸内の風景は、大人になって約30年ぶりに訪れたとき、忘れていたはずの懐かしさが込み上げてくるほど、自分の中に深く残り続けていた。
私にとって、そこは揺るぎない「原風景」なのだと思う。

(写真:往路、機内から小豆島が見えた。)


妻も瀬戸内海の雰囲気が好きで、一緒にしまなみサイクリングをはじめ、瀬戸内海各地を周遊した。不思議だが、瀬戸内の空気を吸うだけで、心と体が満たされていく。
2013年夏、瀬戸内国際芸術祭ではじめて小豆島を訪れた。それ以来、何度も島々を訪れるようになった。自然の中にダイナミックな現代アートもあれば、古民家を活用した作品も気に入った。
いつの間にか、この地域にどっぷりハマってしまった。いつか、暮らしてみたい。
しかし、多少の土地勘があるとは言え、赤ちゃん連れだ。医療体制やスーパー、交通、滞在施設など子どもの安全に関わる条件は最優先で確認した。
移住滞在施設の利用時期や現地の受入体制も含めて比較した結果、候補地は高松、倉敷、そして小豆島に絞られた。
それぞれに違った魅力があった。
高松は空港もあるし、ほどよく都会で、アーケード街は歩き続けても飽きない。
倉敷は新幹線でも行けるし、美観地区は散策するだけで楽しい。瀬戸大橋をみながらドライブは爽快だろう。
小豆島は必ず船を利用し、瀬戸内海に包まれている実感がある。
オリーブ、そうめん、醤油、魚介類。食の魅力も豊かだ。
高松にも惹かれたし、倉敷も魅力的だった。正直、最後まで迷った。
それでも今回は小豆島を選んだ。
フェリーに乗り、瀬戸内海を渡って島へ向かう。
ゆったりと、潮風に包まれながら暮らしの場所へ向かう。
その時間ごと含めて、私たちが求めていた暮らしに近かったからだ。

実際に来てみて感じていること

実は来島する前、「離島で赤ちゃんと暮らせるだろうか」という不安はあった。
ところが実際に暮らしてみると、その心配は良い意味で裏切られた。

(島内のスーパーの様子。)


大型スーパーやドラッグストア、総合病院もあり、日常生活で困ることはほとんどない。ベビー用品も一通り揃うし、Amazonで注文した商品もおおむね翌日には届く。
オリーブ、そうめん、醤油など特産品も豊富だ。魚や野菜も美味し食生活はかなり充実している。ただ、物価は本土よりやや高い印象を受けた。 島ならではの不便さもある。
小豆島は想像するよりずっと大きい。車の有無は生活の快適さに直結する。路線バスも主要エリアを結んでいるが、本数は多くない。観光シーズンになると観光客と利用時間帯が重なり、混雑することもある。
そして、暮らしてみて最も印象的だったのは人との距離感だ。
人間関係は濃い。「○○さんの親戚の知り合いです」といった話をよく聞く。Uターンした人、結婚を機に移り住んだ人、新しく移住してきた人。それぞれが自然に混ざり合っている印象だ。
カフェやマルシェに行くと子育て世代の家族をよく見かける。赤ちゃんを連れていると、島の人たちは自然に声をかけてくれる。
ある日、路線バスを降りるとき、運転手さんから「空調、寒くなかったですか?」と声をかけられた。そんな何気ない気遣いに、この島の余裕や温かさを感じた。
また、一時保育も利用してみた。初めて親元を離れるので少し心配していたが、保育士の方々が丁寧に見守ってくださり安心できた。
来る前は「離島で赤ちゃんと暮らすなんて大丈夫だろうか」と思っていた。
それが実際には、生活インフラも子育て環境も想像以上に整っていた。
もちろん不便さもある。それでも今のところ、その不便さを上回る魅力を感じながら暮らしている。
このあたりは、次回以降の記事で詳しく書いていきたい。

このnoteシリーズで書いていきたいこと

この2か月は、単なる旅行でも移住体験でもない。
私たち家族にとって、「どこで、どう暮らしたいのか」を考える実験だ。
このnoteでは、以下の内容を記録したいと思う。
・育休移住を思い立った経緯 
・実際に来てみて感じていること 
・準備したことと費用 
・赤ちゃん連れでの移動や暮らしの工夫 
・買い物事情や子育て環境 
・持ってきて良かったもの、不要だったもの
育休という限られた時間だからこそ、自分たち家族に合った暮らし方や子育て環境を探してみたい。
私たち家族はこの島で、何を感じ、何を見つけるのか。
「いつか」ではなく「今」を選んだ2か月の記録を、これから残していきたい。



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