【小豆島育休移住②】離島で0歳児と暮らしてみた。心配だったこと、実際はどうだった?
妻から買い物リストを渡された。
「ほうれん草、にんじん、牛乳、たまご」
地元のスーパーを巡るのは、旅先での楽しみの一つだ。
地タコ。
オリーブ卵。
小豆島産のいちご。

見慣れない商品が並ぶ売り場を歩いているだけで楽しい。
でも、その日は旅行ではなかった。
今日の夕飯と、息子の離乳食を買わなければならない。
慣れない売り場で、何度も店内を行き来した。
いつもなら値段を見比べ、できるだけ早く買い物を終わらせる。
でも今日は違った。
「これは島でしか売っていないのかな」
「この野菜は香川の特産だろうか」
効率よりも、偶然の出会いを楽しんでいる自分がいた。
卵10個298円。
牛乳210円。
長野県産のほうれん草は3束しか残っていない。
しかも少し萎びていて258円。
買い物リストを見る。
「●ほうれん草」
妻が付けた黒丸は、息子の離乳食にも使うという印だ。
隣には香川県産の小松菜が128円で並んでいる。
小松菜はこの前、おかゆとバナナにも混ぜていたっけ。
でも、妻がわざわざ「ほうれん草」と書いた理由があるのかもしれない。
判断がつかず、妻に電話した。
「小松菜でも大丈夫だよ」
笑う妻の声を聞きながら、ふと、ここへ来る前のことを思い出していた。
来る前は、「離島で赤ちゃんと暮らせるだろうか」と心配していた。
実際に暮らしてみると、不便さはある。
でも、その不便さを一つひとつ妻と相談しながら暮らすことで、気づけば夫婦で話す時間が増えていた。
滞在も終盤に差しかかった今、振り返ると、来る前に心配していた
・買い物
・病院
・交通
・子育て
は、想像よりずっと困らなかった。
一方で、車が必要だったり、物価が少し高かったり、不便さもある。
でも、その不便さを夫婦で一つずつ相談しながら暮らす時間が、思っていた以上に豊かだった。
①島での買い物~ 想像以上に困らなかった~
神奈川では、スーパーとAmazonを使い分けていた。
小豆島でも、その生活はほとんど変わらなかった。
スーパーには離乳食に使える食材も揃う。
おむつやベビー用品はドラッグストアで購入できる。
Amazonも翌日には届くことが多く、「離島だから何も買えない」という印象はすぐになくなった。
そんな実体験を通して感じた、具体的な生活の様子を項目ごとに振り返ってみたい。
スーパー

マルナカとマルヨシで島内にそれぞれ2店舗ずつあった。近所の店舗はどちらも朝9時から22時まで営業していたが、私たちは主に日中に買い物をした。
マルナカはイオン系列で、マルヨシは地元のスーパーだ。特にマルヨシは地元で水揚げされた魚介類や野菜の取り扱いが多い印象を受けた。天然の鯛が298円で売っていたのはインパクトがあった。
神奈川では見かけない商品もあり、物流の違いを感じることもあった。
神奈川では「今日は何が安いか」を見ていた。
小豆島では「今日は何が揚がったのか」を見るようになった。
同じスーパーでも、季節を感じる場所になっていた。
6月に島を台風が直撃した。島だからフェリーが止まったら食料はどうなるのだろうと不安になった。事実、フェリーは1日動かなかった。しかし、台風が来る前にスーパーに行ったが、大きな混乱はなく、通過後も品薄感はあまりなく安心した。
「台風=即品切れ」と勝手に思い込んでいた。実際には島の人たちは落ち着いていて、スーパーも普段と大きく変わらなかった。自分のほうが必要以上に身構えていたのかもしれない。
JAの産直では島内や県産の野菜などが充実していて、値段もお手頃であった。
にんじん4本100円は思わず2度見した。
島に来てから、地元の野菜や旬の野菜を選ぶようになった。
ドラッグストア
島内に数軒あり、日用品や加工食品、生鮮食品も扱っている。
ベビー用品も一通り買えるドラッグストアが充実している。
おむつは各メーカーのサイズも揃い、離乳食やおかし、マタニティ用品など神奈川と変わらない物価と品揃えであった。
100円ショップ
生活を立ち上げる際に、かなりお世話になった。ちょっとした消耗品を買うのに初期費用を抑えるのに大変重宝した。
Amazonも翌日から数日で届く
アマゾンプライムを利用しており、神奈川と変わらず翌日配送なのは安心。ものによるが1日遅れ程度である。意外なことに離島料金はかからない。
正直、一番驚いたのはAmazonだった。
「離島だから数日はかかる」と勝手に思い込んでいたが、多くの商品は翌日に届いた。
コンビニ~マルチコピー機~
島内に数店舗あり近所のは24時間営業であった。価格や品揃えは神奈川と変わらない印象を受ける。それ以上にマルチコピー機などで住民票や各種証明書の発行など普段利用したことがないが、郵送申請での往復時間を考えると大変助かった。
神奈川では一度も使ったことがなかった機能だったが、離れて暮らして初めてありがたさを知った。
その他・物価所感
大型の家電量販店やホームセンター、衣料品店もある。5月はすでに陽射しも強く、すぐに調達したかったので、しまむらで息子の帽子を買った。
地元の野菜や鮮魚など生鮮食品(地物)は神奈川より島のほうがむしろ安かった。輸送コストがかかる加工食品は神奈川と同じのもあれば1割から3割ほど高い印象を受けた。
②交通~滞在の自由度~

小豆島での1番の後悔は車を長期レンタルすればよかったことだ。
最初、滞在先から徒歩10分程度のところにスーパーもあるので、スポットで借りれば済むと思っていたが。
しかし、その考えは完全に甘かった。
利便性と観光体験の充実、赤ちゃんの授乳などでマイカーがあれば絶対に持っていきたい。当初は、レンタカーをスポットで利用し、必要に応じてバス、タクシー、レンタサイクルを利用した。結局、滞在の後半では長期レンタルすることにした。
赤ちゃんは予定通りには動いてくれない。
「今なら昼寝しているから買い物に行こう」
「車内で落ち着いて授乳しよう」
赤ちゃんのリズムに合わせて動けるのは、やはり車だった。
レンタカー

観光産業が盛んなので、レンタカー会社は多い。ただし、土日や連休などは空きが少なくなるので、早めに手配することをおすすめしたい。会社によってはベビーシートの貸出を行っていなかったり、貸出数に限りがあったりするため、我が家はベビーシートを事前に持ち込んでいた。
また、島内では道が狭い場所も多く、軽自動車のスライドドアがコンパクトで使いやすかった。
バス
何度か利用したことがある。島内の港と観光スポットなど主要な場所を結んでおり、観光客の動線と重なる時間帯は混雑することもあるが、平日に利用した際は座れなかったことはなかった。
路線にもよるが、滞在先の最寄りのバス停は1時間に1本もない。そのため、往復の時刻は事前に確認しておくことをおすすめしたい。 車窓から眺める海は素敵だったが、生活となると「次の便まで1時間」という状況は思った以上にストレスだった。さらに、5分ほど遅れることもある。「本当に来るのだろうか」と待つ数分は、短いようで意外と長く感じた
タクシー
港に行く予定があり、バスの時間が合わなかったので1度利用したことがある。電話して滞在先まできてもらったが10分もかからず向かいに来た。クレジット支払いにも対応しているので便利。
レンタサイクル
ポート間で乗り捨て可能なタイプ。事前にアプリをダウンロードすると便利である。15分200円と、観光利用ならともかく、日常の生活の足として常用するには少々高く感じた。ポートに停められる台数に限りがあるので、借りる前に返却先のポートが空いているか確認し、できれば返却予約もしたい。
③医療~小児科を受診した話~

一番の心配は子どもが風邪になったらどうするかという不安だった。
来島した翌週、息子の体調が少し気になる日があり、小豆島中央病院の小児科を受診した。
できて10年の総合病院だ。院内も新しく清潔だった。
初診は受診カード作成などの手続きがあるが、再診はネット予約にも対応している。
「島だから診療まで何時間も待つのでは」と勝手に想像していた。
でも、実際は神奈川と大きく変わらない印象だった。
「離島だから医療が不安」というイメージは良い意味で覆された。
④ 一時保育を利用してみた~頼れる場所ができた安心感~
はじめて息子を家族以外の人に預けた。
理由は2つある。同年代の子どもと遊ばせたいのと、慣らし保育だ。
何かを察していたのか、道中すでにベビーカーの中で泣いていた。
私も預けるのに動揺していた。
1時間だけだが、果たしてずっと泣いていたら大変だなあと不安だった。
園に到着して、保育士さんが息子に朗らかな声をかけ抱っこすると、落ち着きを取り戻し、泣き止んだ。
さすがプロだと感嘆した。
それでも、本当に大丈夫かなと、息子が見えなくなるまで、手を振った。
預けている間、夫婦で落ち着いて神奈川での保育園の申請書類を整理していた。
1時間後、妻と迎えに行った。
私たちの顔を見ると、一瞬きょとんとしたあと、にこっと笑った。
先生からはアンパンマンのボール転がしが気に入ったそうですねと引継ぎを受けた。
連絡カードを見ると、1時間のタイムラインやお知らせにおやつを食べさせ、室内遊びやオムツ替えまでしてくれたことが分かった。

1時間の中でよくここまで面倒を見てくれたなと感心した。
その後も、1時間から2時間へと少しずつ利用時間を延ばし、何度かお願いしている。息子も少しずつ場所や先生に慣れてきたようで、親としても安心して預けられるようになった。
利用料は島外住民で1時間400円。私たちが利用した日は、保育士さん2人に対して子どもは息子を含め2人だった。たまたまその日の体制だったのかもしれないが、一人ひとりを丁寧に見てもらえていると感じた。
いざというときに頼れる先が見つかったのは本当におおきかった。
地域の子育て支援を頼れる場所がある。それだけで、知らない土地で暮らす安心感は大きく変わった。
島で暮らす前は、「離島で赤ちゃんを育てるのは大変そう」という先入観があった。
もちろん、不便さはある。
車は必要だし、物価が高いと感じることもある。
それでも、実際に暮らしてみると、その不便さ以上に「普通に生活できる安心感」があった。
そして、不便だからこそ夫婦で相談することが増え、一つずつ暮らしを作っていく時間は、思っていたよりずっと豊かだった。
暮らしは、地図やネットの情報だけでは分からない。
住んでみて初めて見える景色が、小豆島にはあった。
次回は、小豆島へ来るまでの準備について書いてみたい。
滞在先はどう探したのか。
荷物は何を送り、何を持ってきたのか。
「赤ちゃん連れで2か月の島暮らしって、大丈夫かな」
そう思っていた自分たちが、実際に準備したことをできるだけ具体的に紹介したい。
