10年モノのメガネと、老眼とのつきあいはじめ
メガネ屋さんに行ってきた。
私は日中、職場ではコンタクト派。でも家では、長年愛用しているメガネを使っている。
そのメガネ、もう10年近くの付き合いになる。だけど最近、ピントが合わなくなってきた。
職場でも細かい字が読みづらくなり、つい距離を取って読んでしまう。
……これは、もしや、アレか。
老眼というヤツなのか。
ずっと抵抗していたけれど、もう認めざるを得なかった。
最初は「可愛いリーディンググラスでも探そうかな」と思ったけれど、どうやら視力の低下は一時のことではなさそうだ。
観念して、メガネ屋さんへ行くことにした。
最近のメガネ屋さんは、スタイリッシュで入りやすい。
昭和世代の私は、宝飾店の一角でメガネを見ていた記憶があるので、最初はちょっと戸惑った。
でもずらりと並んだフレームを見ていると、試してみたくなる。軽いし、リーズナブルなものも多い。いい時代だ。
けれど――
私がいま使っているメガネは、たまたま出会って一目惚れしたフレーム。
テンプル(つる)の部分が花畑のようなデザインで、黒地に透かし彫り、そこに色づけされた花たち。まるで藤城清治さんの切り絵みたいなのだ。
家族には「そんな分厚いツル、疲れない?」と言われたけれど、私は気に入っていた。
キャンプで転んで鼻を切ったり、川に落としたり、いろいろあったけれど、ずっと一緒に過ごしてきた。
もう、同じようなフレームには出会えないだろうし。
そろそろ新しいものに変える時かな。そう思っていた。
視力測定をしてもらうと、右目だけがかなり悪くなっていた。
左右の視力差でピントが合わず、さらにやはり老眼も始まっていた。
「はあ……」と内心ため息をつきながら、今のメガネと新しいレンズの見え方を比べていると、店員さんがぽつりと。
「こちら、レンズありますよ」
え?
まさかの朗報。なんと、今のフレームを活かして、レンズだけ新しくしてくれるとのこと。
しかも1時間で!
願ってもないことだった。
ただし、レンズのサイズの都合で、これは「遠距離用」。
パソコンなどの作業を考えると、「中近用」もあった方が良いとのことで、そちらは新調することにした。
そして再来店。
別のお店で買ったものなのに、丁寧に対応してくれた。
ブリッジを直し、歪みも整えられたメガネが、白いトレイにそっと置かれて出てきた。
「ああ、まだ一緒にいられるんだ、と思った」
新しいレンズに生まれ変わった、あの花畑のメガネ。
それに合わせて選んだ、ビーズのメガネチェーンをつけて、大事にケースにしまった。
そして1週間後には、新調した中近両用メガネが完成する。
こちらも、長い付き合いになるといいなと思っている。
少しずつ変わっていく目を受け入れながら、新しい視界に向かっていく――そんな節目の出来事だった。
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