山頂より大切だったもの 北アルプスで学んだ一日
いつもお世話になっているガイドさんは、穂高や槍ヶ岳のツアーも企画されています。
昨年参加した丹沢縦走ツアーの時に、「将来的にそう言った山に行きたいなら、まずどこにいったら良いですか?」と聞いてみたところ、「燕岳へ」と言われました。
ほかの参加者からも「燕山荘、いいよ!ぜひ行ってみて!」のお言葉もあり、この夏は燕岳に登ることが目標でした。
3月中旬、燕山荘の予約開始日。
狙っていた7月3連休はあっという間に満室になっていました。
「北アルプスに登る」ということをよくわかっていなかった私たちは、登山口から結構離れた場所に前泊後泊し、日帰りで登ることに。
山と高原の地図を買い、コースタイムを確認する。
写真を撮りながら歩く私は、どうしても時間に余裕が欲しい。
しかも下りは大の苦手。
さらに夏の北アルプスは午後から雨や雷のリスクもある。
登山天気もD予報が続いて、午後から雨、雷予報もやや高い。
穂高駅からバスに乗って登山口まで行く予定なので、時間制限もある。
…これは、燕岳まではいけないんじゃないかな、すごく良くて燕山荘、無難に合戦ノ頭、しんどかったら合戦小屋までかも…。
天気も不安定だったので、ダメなら中房温泉を楽しんで帰ろう!と、夫君といろんなパターンで計画を立てみました。
前日、燕山荘に空室が!
でも宿泊登山の準備をしてなかったので、予定通り日帰りにすることに。
なんと中房登山口タイムズのBが空き、予約駐車ができました。
これで登山開始が少し繰り上がったので、燕山荘まで行けるかも!
天気はやっぱり午後から雨予報だったし、はじめての山域、10時にいた場所から下山することに決定。
合戦小屋を出発するのは12時、遅くても12時半。
運転する夫君が疲れすぎるのも困るし、温泉入っても絶対明るいうちに山道を通過しておきたい。
トラブルが起きてのんびり下っても、15時には登山口に到着することにしました。
当日は3時起床、3時半宿泊先を出発。
4時50分頃に中房登山口の予約駐車場に到着。
※一部、ザックにつけたアクションカメラの動画を書き出して画像にしています。

車道を歩いて中房登山口へ。

トイレ(空いていた!)済まして、いざ登山開始。
人が多い…北アルプスの人気に圧倒されました。
いきなり始まる急登!

ゆっくり登ることを心がけつつも、登山者の数が多い。
歩いているうちに、普段はない頭痛。
山歩きを始めた頃、体力が追いつかず、下りや登山終了後に頭痛になることはあったけど、序盤ではなかったのに。
夫君曰く、「頭が痛い」と言いながら私は歩いていたらしい。
水分摂りながら、ゆっくり進みました。

いつもはない息切れを感じ、足が止まってしまう。
丹沢大倉尾根の登りでは、ゆっくりでも歩き続けることができるのに。
脚に筋肉疲労を感じているとか、違和感とかはないんだけど。
心拍数がすごく上がっているわけでもない。
でも心肺機能が追いついてない感じ。
普段はこんな時、写真撮って次に進むけれど、その気力が湧かない。
アクションカメラの録画ボタンをオンオフするのも精一杯。
頭痛は酷くなっていないけれど、治らない。
なんとなく胃も変な気がする。
いつもは固形物(inバーなど)少しずつかじりながら歩くけれど、受け付けない。
アミノバイタルゼリーと水分摂りながら、進む。
もちろんベンチごとに休憩は入れて。

少し視界が開けてきた!
景色を見て元気をもらいました。

関東の山では見かけない光景に感動しつつ、下りで滑りそうだな、雨降って下ることになったら嫌だな…、そんなネガティブな考えが頭を過ぎる。
この時点で結構時間もかかっていたし、私の中では燕岳はもちろん、燕山荘に行くことは諦めていた。
下りを始める時間だけは守ろう、そう決めました。

また景色が開ける。
モクモクした雲と山。
白い部分は雪渓と誰かの声。
こういう景色を見ると、長野にきた!って感じます。
そして合戦小屋に到着!

当初、登りは最低限の休憩で進もうと思ったけれど…もう無理、誘惑に惨敗。
迷わずスイカと豚汁を注文。

汗をかいた身体に染み渡るスイカと豚汁!
本当に最高でした。
合戦小屋でしっかり休憩したおかげか、体調も落ち着いてきました。
「あと30分くらいなら歩けそう。」
そう思い、合戦ノ頭まで行ってみることにしました。
合戦ノ頭に立った瞬間、それまでの樹林帯とは景色が一変しました。

「ここまで来て良かった。」
そう思える景色でした。
合戦小屋で大休憩してしまったので、時刻はちょうど10時。
そこに立っただけで達成感がありました。

燕山荘方面はガスで真っ白。

写真撮って遊ぶ元気も戻ってきました!
スイカ豚汁効果!
燕山荘方面はやっぱりガスの中。
「今日は見えないのかな。」
そう思いながら少し待ってみました。
すると…。

ガスがふわっと流れ、その向こうに燕山荘が姿を現しました。
「あ、見えた!」
ほんの一瞬でしたが、それで十分でした。
「見えて良かった。」
そう思えた瞬間です。
またガスに包まれた燕山荘を眺めながら、
「今日はここまでで十分。」
改めてそう自然に思えました。
悔しさはありません。
むしろ、ここまで無事に歩いて来られたことへの満足感の方が大きかったのです。
天気はそんなに良くないし燕山荘も拝めたので、満足して下山を開始しました。

可愛いお花。
ゆっくり下山すればいい安心感で、レンズ向ける余裕が生まれました。

合戦小屋まで戻ってきました。
せっかくなので、お昼ご飯を食べることに。
待っていると、滑車が通過。

登る時はスイカを、下るときはゴミを運んでいる様子。
山小屋は、こうした見えない仕事にも支えられているのだと感じました。

私はえび天、夫君はカレー。
お出汁が身体に染み渡ります。
固形物を食べる元気も戻ってきた!
いい感じに?ガスって青空も見えなくなったし、エネルギチャージも完了。
準備を整えて下山を開始。
慎重に下り始めて、滑る等の心配は全くなかったけど、なんとなく右膝に違和感。
夫君に相談したところ、富士見ベンチでカメラ以外の荷物を預かってくれることに。
出していたアクションカメラもザックに収納。
一気に軽くなる背中!夫君、ありがとうございます。
予備で持ってきていたゼリーが嵩んでいた!地味に重かった…。

こんなところにギンリョウソウ!
各ベンチで水分補給しながらのんびり下って、14時半くらいに中房登山口へ到着。
心配だった脚の調子、その後は違和感なかったし全然痛くない。
一度車を取りに行って、中房温泉に入って帰路に。
露天風呂!最高でした!
今回の日帰り登山を通して、私のような山歩きはしているけれど体力に余裕がない場合、燕山荘宿泊は必須だと思いました。
宿泊すればトータルの歩き時間を分割できるし。
夫君から「登り、高山病じゃない?」と言われました。
調べてみると、3000メートル以上だけではなく、1500m前後でも症状が出ることがあるそう。
私が高山病だったかはわかりません。
でも、
・登山口で少し体を慣らす
・もっとゆっくり登る
・ポールを積極的に使う
そんな工夫は次回試してみたいと思いました。
実際歩いてみて、同じ時間歩くにしても、いつも歩いている丹沢と北アルプスは別物だと実感しました。
丹沢だったらのんびり日帰りできる距離・時間でも、北アルプスはそうもいかない。
夏は午後からの雷リスクも考えないといけないし。
結果的に予定通り合戦ノ頭まで。
燕山荘の泊まれば、次回は燕岳に行ける希望が見えました。
今回十分楽しめましたし、良い経験になりました。
特に中房温泉!すごくいいお湯でした。
ここは17時までなので、いつもの丹沢気分で長時間歩こうとしていたら楽しめなかったかも。
燕岳山頂には届きませんでした。
でも、
合戦尾根を歩けたこと。
無理をせず引き返すこと。
自分の体力を知ること。
そして次につながる課題を見つけること。
私にとっては、それが山頂以上に大きな収穫でした。
合戦ノ頭で見た景色も、ガスの向こうに一瞬だけ姿を見せてくれた燕山荘も、私にとっては十分すぎるご褒美でした。
北アルプスは逃げません。
また会いに来る楽しみができました。
今回は合戦ノ頭で十分。
そして次は燕山荘に泊まって、もう少し先の景色を見に行きたいと思います。
