50分の列で、涙をこらえた
おれは、海の向こうでこうした光景に出会ったことはない。
そして、ニュースで見たこともない。
これが、日本という国の素晴らしさだろう。
7月の終わりに、熊本で起きた大地震。
ただでさえ過酷な季節にいるのに、
過去のトラウマもまだ拭いきれていなかったはずなのに、また起きた。
おれが肌で体感した一番大きな地震は、東日本大震災のときの震度6弱。
それよりもっと強く、そしていきなり襲ってきたのであれば、現地の人々の恐怖はどれほどだったのだろう。
現地の人々に思いを馳せることしかできずに、不甲斐なく思っていたある日。
ニュースで、銀座にある熊本のアンテナショップに支援の輪が広がっていることを知った。
熊本のグルメに何度か舌鼓を打ったことのあるおれは、少しでも復興を手伝いたいと思い、銀座へ。

入場規制がかかるほどの長蛇の列に、おれも仲間入り。
目の前のその光景に目頭が熱くなるも、感情の爆発は何とかこらえた。
ここまで支援の輪を広げているのは、日本人の情の厚さに他ならない。
素敵だ。
待ち時間50分でも、全然退屈しなかった。
この興奮は、推しアーティストのグッズ販売の列に並んだときとも、人気ラーメン屋さんの列に並んだときとも違う。
自己肯定感以上の、もっと大きなものだ。

これまで、日常の買い物や旅先での買い物では、食べたり飲んだりするのが楽しみだとか、使うのが楽しみだとか思ってきた。
それはそれでいいのかもしれない。
だけど、こうした行いが、産地の助けになるとしたら、買い物って、実はものすごく尊いことなんだと思える。
たとえその買い物で、人から「ありがとう」と言われなかったとしても、それは巡り巡って、何かのかたちでおれにプラスになる。
そうじゃなかったら、小さなおれはここまで生き延びていないだろう。
You Are Not Alone / Michael Jackson

被災地の一日も早い復興を、心から願う。
そして、本当に必要な情報と、心温まる情報だけが、被災者の方々に届いてほしい。
