検査中に「動かないでください」と言われるのはなぜ?現役技師がやさしく解説
緊張して検査室に入ると、よく言われる言葉があります。
「検査中は、できるだけ動かないでください」
なんとなく動かないほうがいいのはわかるけれど、
唾を飲み込むのも?
足を動かすのも?
咳が出そうなときは?
呼吸はどうしたらいいの?
そんなふうに気になる方もいるかと思います。
なにより、動かないでと言われると、余計に緊張してしまうこともありますよね。
この記事では、検査中に「動かないでください」と言われる理由を、現役放射線技師のこびねこがやさしく解説します。
今回の記事を読めば、以下のことがわかります。
1. 検査中に「動かないでください」と言われるのは、画像がぶれるから
2. 動くと何が困るの?──再撮影や見えにくさにつながることがある
3. MRI・CT・レントゲン、それぞれで「動かない」が大事な理由
4. 咳・痛み・不安で動きそうなときは、我慢しすぎなくていい
5. 動かないためにできる、ちょっとしたコツ
1. 「動かないでください」と言われるのは、画像がぶれるから
検査中に動かないでくださいと言われる一番大きな理由は、画像がぶれることがあるからです。
ざっくり言うと、
・検査中に動くと、画像がぶれることがある
・見たい場所が、きれいに写らないことがある
ということです。
イメージしやすいのは、カメラやスマホで写真を撮るときです。
写真を撮る瞬間に手元や被写体が動くと、画像がぶれてしまうことがありますよね。
検査でも、それに近いことが起こる可能性があります。
できるだけきれいな画像を撮るために。
できるだけ一度で必要な情報を得るために。
そして、なるべくスムーズに検査を終えるために。
私たちは「できるだけ動かないでください」とお願いしています。
2. 動くと何が困るの?──再撮影や見えにくさにつながることがある
では、実際に動いてしまうと、どんなことに困るでしょうか。
大きく分けると、次のようなことがあります。
・小さな異常が見えにくくなることがある
・見たい場所が、正確に写らないことがある
・場合によっては、再撮影が必要になることがある
・再撮影になると、検査の時間が長くなることがある
・エックス線を使う検査では、画像がぶれてしまうと、追加の撮影が必要になることがある
ただし、少しでも動いたら必ず検査が失敗する、という意味ではありません。
画像をできるだけ正確に撮り、一度で必要な情報を得るために、動かないことが大切なのです。
3. MRI・CT・レントゲン、それぞれで「動かない」が大事な理由
どんな検査でも動かないでくださいと言われますが、その理由は検査によってすべて同じなのでしょうか。
実は、使う機械や検査の特徴により少しずつ異なる理由があり、お願いしています。
MRI
MRIは、CTやレントゲンに比べると検査時間が長めです。
ひとつの画像を作るために、時間をかけて体の中の情報を集めているため、検査中に体が動くと画像がぶれたり、ずれたりすることがあります。
特に、頭や首、関節などを撮影するときは、少しの動きが画像に影響することもあります。
CT
CTは撮影自体は短いことが多いですが、タイミングが大切な検査です。
胸やお腹の検査では、「息を吸って、止めてください」と言われることがあります。
このタイミングで動いたり、息がずれたりすると、見たい場所がうまく写らないことがあります。
レントゲン・マンモ
レントゲンやマンモグラフィは、撮影時間そのものは短い検査です。
ただ、短い時間でも体の位置がずれると、見え方が変わったり、必要な場所が十分に写らなかったりすることがあります。
そのため、撮影の瞬間だけでも、なるべく同じ姿勢を保つことが大切です。
このように、検査によって理由は少しずつ違いますが、共通しているのはできるだけ正確な画像を撮るためということです。
4. 咳・痛み・不安で動きそうなときは、我慢しすぎなくていい
前章でお話ししたように、検査中に動かないでくださいとお願いするのには、いくつかの理由があります。
ただし、絶対に何があっても動かないでくださいと言いたいわけではありません。
たとえば、
・咳が出そう
・痛くて同じ姿勢(仰向けなど)がつらい
・狭くて怖い、検査への不安がある
・自分の意思とは関係なく、手や足などが動いてしまう
こういう場合は、事前に伝えて大丈夫です。
「動かないでください」は、
「我慢しなさい」という意味ではありません。
できるだけ正確に、スムーズに検査を進めるためのお願いです。
患者さんも、不安なことや、つらいこと、怖いことがあれば、遠慮なく伝えて大丈夫です。
5. 動かないためにできる、ちょっとしたコツ
では実際に、検査の際に使える動かないためのちょっとしたコツを、いくつかまとめてみます。
・検査前に、不安なことを聞いておく
・痛いところがあれば、先に伝えておく
・息止めの説明などで、わからないところがあればもう一度聞く
・緊張していることを、先に伝えておく
こういったことを事前に伝えてもらえると、こちらも姿勢や声かけを一緒に考えやすくなります。
初めての検査で緊張しているときに、最初から全部を完璧にこなそうとしなくても大丈夫です。
怖いものは怖い。
苦手なものは苦手。
わからないことは、わからない。
そうやって事前に伝えてもらえることで、こちらも患者さんの状態を把握しやすくなります。
◆ まとめ
検査中に「動かないでください」と言われるのは、患者さんを困らせたいからではありません。
できるだけ画像がぶれることなく、見たい場所を正確に写し、必要な情報を一度で得るための大切なお願いです。
動いてしまうと、画像が見えにくくなったり、場合によっては再撮影が必要になったりすることがあります。
でも、だからといって、つらいことや不安なことを我慢し続けなくていいのです。
咳が出そう。
痛くて同じ姿勢がつらい。
狭いところが怖い。
息止めのタイミングがわからない。
そういうことがあれば、検査前でも検査中でも、遠慮なく伝えてください。
検査は、スタッフと患者さんが一緒に進めていくものです。
患者さんは一人で頑張らなくても大丈夫です。
きれいな画像を撮るために、私たち技師も一緒に考えます。
「動かないでください」は、我慢の命令ではなく、よりよい検査にするためのお願いです。
不安なことがあるときは、どうか一人で抱え込まずに、近くのスタッフに声をかけてみてください。
【参考・確認した情報】
国立がん研究センター がん情報サービス「CT検査とは」
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/inspection/ct.html
国立がん研究センター がん情報サービス「MRI検査とは」
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/inspection/mri.html
※本記事は、一般的な画像検査で動かないでくださいと言われる理由についてまとめたものです。
検査内容や対応は、医療機関・検査部位・症状・体調などによって異なります。
不安なことがある場合は、検査を受ける医療機関へ事前にご確認ください。
