【神界ワンチューブ Vol.7】初生配信!神域フル活用のかくれんぼ(※超常現象あり)
「はい! どーも! 神界ナンバーワン、ワンチューバーの阿形っす! 今日はとうとう、やっちゃいます!
七福神の生配信『神のかくれんぼ』〜〜!! 鬼になった神は、配信時間内に全員を探し当てられるのかぁーっ!?」
自撮り棒で必死にスマホリポートをする阿形。
その横では、長い音声マイクを持ったAD獅子が緊張のせいか、ずっとうろうろうろうろと落ち着きなく歩き回っている。
「ルールは境内の中で隠れること! 外へ行ったら負け! さぁー鬼を決めよう! ここは恨みっこなしのじゃんけんで!」
じゃんけん、ぽいっぃ!
「うぇっ!! 負けたぁ〜!」
一人だけチョキを出してしまい、ガックリと肩を落とす恵比寿。
「よしよし! どこに隠れるかのぉ」
やる気満々の寿老人に、阿形がすかさずツッコミを入れた。
「寿老人の旦那! 連れてる鹿はここに置いてってください!」
「ほえ? なぜじゃ?」
「ダメに決まってるじゃないっすか! 目立ちすぎるでしょ!」
「そーだ、そーだ」と言わんばかりに、弁財天が美しい琵琶の音色をべべんっと奏でる。
「姉さん、その琵琶も持ち込み禁止っす!」
「ええ? 何でよ! これ持ってなきゃ、弁財天(わたし)じゃないわよ!」
「そりゃ、そーだ! わしも愛槍無しでは、わしとは言えん!」
毘沙門天がゴツい槍を構えて弁財天を援護する。
阿形は「はぁーーー……」と天を仰いだ。
その隙に、福禄寿はしらっと愛鳥の鶴と愛亀を呼び寄せ、いつの間にか恵比寿もしらっと巨大な打ち出の小槌を抱きしめている。
「……ねぇ、皆さん。もしかして神業を使い放題のかくれんぼをするつもりなんすか?」
阿形が半ギレで神々に詰め寄るが、長老二人は涼しい顔。
「神だからのぉ」
「神業とも言うよのぉ」
「ええぇっ! それ、ガチの生配信で放送できるんすかぁ!?」
叫ぶ阿形の前で、寿老人がおもむろに己の顎から白い髭を一本プチッと抜いた。
「ほれっ」
寿老人が髭を空中にポイっと放り投げた、その瞬間!
―― ぽんっ!!
「えっ!?!?」
瞬時に、寿老人と鹿の姿が煙のように消え失せた!
「やばっ!? カットできない!!」
阿形が慌てて自撮り棒を下に向ける!
「あぴゃーーー!?」
生配信の画面に消える瞬間がバッチリ映ってしまい、大パニックになったAD獅子が「ただいまの映像は演出です!」と言わんばかりに、寿老人たちがいた場所を必死にうろうろ歩き回ってカメラを遮ろうとする!
神々は大爆笑だ。
「超うけるぞぃ!」
「これこそが、バズるってやつよ!」
やはり、神々に世の常識は通じない。
スタジオの隅で、吽形が冷ややかな目で、乱れるコメント欄と消えた神の残像を見つめながら筆を走らせていた。
【吽形・配信事故と消え去る長老】
生配信 隠れるはずが 煙となり 画面の向こうの 信者もフリーズ
ルール無用 神業乱舞の かくれんぼ 消えたおじいちゃん 探す鬼(恵比寿)
AD獅子が うろうろ隠す その着地点 明日には チャンネル消されるやも 知れぬ
―― 吽形・風のポエム
裏で生配信を見守る謎のプロデューサー陣は、「超常現象すぎる!」「これスポンサー増えるぞ!」と大興奮で、この神業クリップを即座にSNSにアップした。こちらも完全に、神界思考の連中であった。
はたして、神界ワンチューブは明日も存続できるのか!?
(次回、鬼の恵比寿が境内を捜索するっす! 誰も見つかる気がしないっす!)
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