短編小説|七福神シリーズ1話目|【七福神の住処】
人里離れた山奥で、人知れずいそしむ七福神のお話です。
あるところに、山奥の古い大きな木々に囲まれた、ひっそりとした神社がありました。 その神社の傍らに、小さな祠がひとつ。 あら? なぜかそこだけ、雪が溶けていますね。
祠を開けても、人間には何も見えません。 けれど——神様の仲間たちには、ちゃんとその世界が見えるのでしょう。
ザクッ、ザクッ。 神社のほうから、宮司さんが雪を踏みしめてやってきました。
「まったく、雪! 一気に降りすぎだろ〜」
ザクッ、ザクッ。
「でも、ここだけは溶けてるんだよなぁ。
それだけ神さんたちは、忙しいんだな。
お疲れさんです! 難儀かけます!」
そう言って、小さなお神酒の瓶を
祠にそっと置いて、両の手を合わせました。
「宮司君が来たぜ」
お神酒を手に、大黒天が、祠の扉をそっと開けました。
大きな竈(かまど)のある土間を抜け、襖を開けると、
広い和室に七福神が、勢ぞろいしているではありませんか。
「足りない! 足りない! こんなんじゃ布袋に、ひと飲みされちゃうよ」
「恵比寿はビールが好きなのにねぇ」
弁財天が髪をくるりといじりながら、恵比寿を冷やかしています。
チリーン……。 チリーン……。
どこからともなく、鈴の音が降ってきました。
「ほら〜、やりましょうかねぇ。
終わらせてから、ゆっくり宴も開きましょう」
福禄寿が長い髭をとろりと撫で、始まりの合図を出しました。
さあ、この神様たちはここで、いったいどんなことをしているのでしょうか。
チリーン、チリーン……。
どこからともなく、鈴の音が降ってきました。
「ほら〜……」
次回へ、つづく
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