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損してた……ほんとショック……だけど米津玄師のおかげでぶち抜けた


好きなものをけなされとき
あなただったら相手にどんなリアクションをするでしょう。

「なんでそんなこと言うの?(理由が知りたい)」
と怒りが沸きますか。

「あ、そうなんだー(そんな風に言わなくても……)」
少しムッとしつつも流そうと努力したり?

「そっか!私は大好きなんだ!(人それぞれだよね!)」
できればこんな感じがいいなぁと個人的に思います。


でも私の脳裏に浮かんだのは

「私が好きなものって変なのかな……?」

と自分の軸がグラついて落ちていくような恐怖だったんです。

とにかく自分に自信がない。

自分にまつわるどんな些細なことでも他人に否定されると、ものすごく辛くなる。

本来、自由であるはずの「好きだ」という気持ちさえ、思うようにできなかったのです。





数年前、大好きなアーティストのライブに行ったときでした。

20周年のアニバーサリーツアー。

子育て中だったから行くのを諦めようとしていた。
だけど夫が背中を押してくれて、やっと来られたライブでした。

中学生の頃から彼らの曲を聞き、気持ちが遠のいた時期もあったけれど、大人になってまた好きになって……

拍手とともにアーティストが登場した瞬間に
「ギャー!!!」
と歓喜にわく会場。

「これこれ!!この熱気!!」

久しぶりのライブに興奮が止まりませんでした。

デビュー当時から知っている唯一のアーティスト。
だから感慨もひとしおで……もう泣きそう……

「次は○○!」

「きゃーーーー!!!」

え? なんの曲? え? 昔のシングルのカップリング?

叫ぶお客さんの中で私は1人フリーズした。

し、知らない……。

ファンとしての自信にヒビが入った瞬間でした。

「久しぶりにライブで演奏したわw 今回のライブはあんまり演奏してこなかった曲をやろうと思ってね、楽しんでいってね!」

ギタリストがマイクで話すと会場のワクワクが最高潮に。

だけど私は悲しい気持ちが抑えられない。

次もその次の曲も知らない。
私ったらいつの間ににわかファンになっていたの……?

心の中で叫びましたよね。

「遠路はるばるこの会場まで来たんです……!すっごい楽しみにしていたんですよ!どうか超有名曲もやってくれ……!(泣)」


目の前で踊り狂うお姉さんがとんでもなく羨ましい。

隣でキャーキャー言ってる若者、脳みそ取り替えないか?

同じ感動に私も浸りたいだけのに……!

悔しい、さみしい、不甲斐ない……いろんな気持ちがわきあがる。

子育ての忙しさでCDもろくに聴けなかった。
それでもできるだけの努力をしたつもりだったのに。

家を出るときの娘の泣き顔が目に浮かびました。

「泣く娘を夫に託してまで出てきたのに、楽しめなかったなんて……」

そんな悲しみを味わったことを

米津玄師 2025 TOUR/JUNK  開演30分前に思い出したんです(笑)。

不安がありました。

「また、楽しめなかったらどうしよう……」

不必要な心配で違う方向にドキドキしてしまう。

不安を打ち消すためにスマホを見て気を紛らわそうとしました。
知恵袋に行きつくとライブに参加するにあたっての悩みを持つ仲間の声が。


「知らない曲が多いんですけどライブに行っても大丈夫ですか」
「ファンなら全曲知っておくべきですか!?」
「昔のアルバムは聞いたことがないんですけど、ライブ楽しめますか?」


うんうん、超分かるー。

ライブって抽選にはずれた人もいるから、生半可な気持ちで参加してはいけない気がしてね。


よせられた回答を見ると

「好きなアーティストでもあんまり好きじゃない曲があって、3回くらいしか聞いたことない(笑)だからその人次第じゃない?」

「私の推しは大御所。アルバム30枚以上あるのに全部覚えてられないw」

「ライブ中のノリがおかしくても、誰もあなたのこと見てないから大丈夫!アーティストしか見てないって!」


ほとんどの回答が
「あなたが聞きたいと思ったら行っていい。気にするな、楽しみ方は人それぞれ」

……そうだよね、冷静に考えればそうだと分かるのに。

何を不安がっているのか。

ただただ好き、という自分の気持ちを推しきれないのかも。

好きだったら全曲知っていて当然だよね、と勝手に理想を作り上げ
その姿に及ばなかった自分を責めた前回のライブ。

好きだったら当然すべきことをしていないのに
好きだって言っちゃっていいの?

自信を持って好きだって言えるの!?


私は残念なほど自分に自信がない。

自分の気持ちや感覚にすら自信が持てないから

「楽しい場所に行って」「正しく楽しめないとダメ」

と思っているのではないか―――?


結論が出た瞬間

え……なんでそんなにガチガチに考えてんの
生真面目でこわーい(笑)

と自分に思いましたw

「知らない曲多かったなぁ!あっはっは!でも楽しかった!」
「知ってる曲少なかった~でも推しに会えたし最高!」

でよくない? いいよね。

急に、悲しみの記憶になっていたライブが不憫に思えてきた。

だって、楽しかった部分もあったんだ。
それが罪悪感に覆いつくされて、不幸な思い出にしちゃってたんだから。
なんてこった!損してる!


私はたぶん

楽しい場所に行くんだから、絶対楽しまなきゃいけない呪いにかかってた。


楽しくなかったことも感想の一つなんだから、自信をもって受け入れていいよね。

その感情を抱く自分を責めなくていい。
自分に非があると思わなくていい。

肯定ですね。
これぞ自己肯定。

すると不安な気持ちは消え失せ、米津さんへの熱い思いが沸々と湧き上がってきたんです。


もう少しであのステージに米津さん出てくるんでしょ!?
うわー楽しみ過ぎる!!
てかもう会場のどこに米津さんいるんだよね!?
会場の様子、見てたりするのかな。
やばっドキドキしてきた!


もう楽しい。

不安でそわそわだったのが嘘のように、女子高生がかっこいい先輩を一目見たいとドキドキ待っている気持ちに早変わり。

照明が落ち、観客が一斉に立ち上がるっ。
バンドメンバーが音を出す。

まだかな……もう出てくるよね!?

誰からともなく始まる拍手に期待があふれかえっていた。

あぁ……米津さんが出てきた……!

わざと喉をつぶしたような低い声ではじまる『RED OUT』!
ぎゃーー!声がセクシー!!
『メランコリーキッチン』やっちゃうの!?昔も良かったけど今の米津さんが歌いあげたらヤバいんですけど!興奮して息吸うの忘れてたっ苦しいっ!『海の幽霊』もう神々しいっ生で聞けるなんて生きててよかった……心臓が揺れたと思ったのは私だけじゃないよね!?

米津さんのライブは心の奥底から感激しました。

不安が一切なくライブが楽しめると本当に最高だね!

あまりの熱量に拍手しすぎて、手のひら内出血して紫になってた(なんか痛いなぁとは思ったらw)



自信がないって突きつめるととんでもないことですよ。

好きなライブさえも楽しめなくさせるヤバい考え方ってこと。


「完璧に曲を覚えて楽しまなきゃいけない」

じゃなくて

「知らない曲があったっていい、次への楽しみにつながる」

と思うと

大好きなアーティストの曲をライブで初めて聴くという
なかなかないラッキーに遭遇できるかも。

それが自分に刺さる曲なら最高な思い出になるから、不安になんて駆られなくていい。


「楽しまなきゃ」の呪いから解放された私はあの日のライブをまだ楽しめています。

車の中で、料理中にイヤホンで聴いて、こどもと一緒に踊り、沼の深さを堪能中。


あなたの感情はあなたのもの。
損な経験なんてありはしない。

不安をぶち抜いて自由に生きていこ!



あなたの貴重な時間を使ってここまで読んでくださりありがとうございました。
あなたの不安もあなたのもの、一緒につき合い方を模索しましょうね。

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藤澤コウ|看護師ストーリーライター 応援していただいたチップはこどもたちのみかんに変身予定です!