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過去と妄想を叩き始めた人類

たびたびnoteにも書いていますが、SNSでの叩き方が、だんだんエスカレートしてきているように感じます。

実際に件数の推移や占めている割合を確認したわけではないですが、そう感じている人も多いのではないでしょうか。

「今起きていること」を叩くのは、まぁそれなりに理解はできます。
誰かが問題発言をした。誰かが不祥事を起こした。それに対して批判が集まる。良いか悪いかは別として、まああるでしょうと言った感じがします。

でも最近は(最近に限った話ではないのかもしれないですが)、「今」ではなく「過去」や「想像上のもの」まで叩き始めている印象があります。

まず、過去を掘り起こして叩く人たち。

有名人の10年くらい前のブログやSNSの書き込みを掘り起こして、「こんなひどいことを言っていた」と晒し上げる人がいます。

10年ですよ。
10年も経てば、価値観も思考も変わって当たり前じゃないでしょうか。
10年前の自分を思い出してみてください。今と同じ考え方をしていましたか。同じ価値観を持っていましたか。たぶん、かなり違うはずです。
30歳の人が20歳の時に考えていたことなんて結構違いませんかね?

少なくとも、例えば10年前にまだ売れていない歌手だったとしたら、世の中を呪うような言葉くらい、1回くらい書いていてもおかしくないですよね。夢を追いかけているけど結果が出ない。周りは就職して安定した生活を送っている。自分だけが取り残されているような気持ちになる。そんな時期に、ちょっと荒んだことを書いてしまうことくらいあると思います。

また、今ともずいぶんインターネットの雰囲気も違いました。2016年ごとのTwitterとXではずいぶん違いましたよね。

それを10年後に掘り起こして、「この人はこんな人間だ」と断罪するのはちょっとあまりにひどいのかなぁと思ったりします。
昔の事実を取り出して、「この人電車の中でタバコを吸っていました!」と騒ぐようなものです。今の世の中だと絶対にNGな行為ですが、昔は普通に吸っていたようですしね。

人も世間も変わるものです。10年前の発言で今の人格を判断するのは、あまりにも乱暴だと思います。

そして、もう一つ気になるのが「イマジナリー○○」を叩く人たちです。

イマジナリーVTuber。イマジナリーなろう小説。イマジナリーアイドルファン。イマジナリーフェミニスト。イマジナリー若者。

実際にそのコンテンツに触れてもいないのに、勝手なレッテルを貼って、作り上げた妄想で叩き始めます。

BeRealといったコンテンツを知らずに(私もいわゆる若者ではないので、もうBeRealすら流行から外れているのかもしれないですが)「最近の若者は……」と言うのはさすがにおかしいですよね。

「VTuberってこういうものでしょ」「なろう小説ってこういうものでしょ」と決めつけて批判する人もいますが、いや、実際に見たことあるんですか、と思います。

VTuberと一口に言っても、その中身は多種多様です。なろう小説にも、テンプレ的なものから独創的なものまで、いろいろあります。

でも、そういう細かいことは見ない。「VTuberというカテゴリ」「なろう小説というカテゴリ」を勝手にイメージして、そのイメージを叩いている。

実在しない敵と戦っているわけです。
「いや、実際のVTuberはそうじゃないですよ」と言っても、「でもこういうVTuberもいるでしょ」と返ってくる。いや、いるかもしれないけど、あなたが叩いているのは実在の誰かではなく、あなたの頭の中のイメージですよね、と。

結局、彼らが叩いているのは現実ではなく、自分の妄想なのです。
現実の誰かを叩いているなら、まだ「それは事実と違う」と反論できます。でも、妄想を叩いている人には、反論のしようがない。だって、その妄想は彼らの頭の中にしか存在しませんし、その妄想の形は自由に姿を変えます。

過去を掘り起こして叩く人も、イマジナリーな敵を叩く人も、共通しているのは「今、目の前にある現実」と向き合っていないということだと思います。

10年前の発言ではなく、今その人が何をしているかを見ればいい。
イメージで語るのではなく、実際にそのコンテンツに触れてみればいい。

でも、それをしないのは、たぶん、その方が楽だからなのでしょう。

過去の発言は変わらないから、いつまでも叩ける。本人が謝罪しても「でも過去にこう言っていた」と言い続けられる。
イマジナリーな敵は自分の都合のいいように設定できるから、いつでも勝てる。反論されても「そういうのもいるでしょ」で逃げられる。
現実と向き合うのは面倒だけど、過去や妄想となら、いつまでも気持ちよく戦い続けられる。

そういうことなのかなぁと思います。

でも、まぁ他人の人生なのでどうでもいいと言えばどうでもいいのですが、そんな人生でいいのかなぁと思ったりはしますよね。
叩かれる側はもちろん迷惑だし、叩いている側も、現実ではないものと戦って時間を浪費しているだけです。

まぁこの私が書いたSNS上の人も「イマジナリーSNS上の人」であればいいのになぁと思いながら、今日もタイムラインを眺めています。

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