NHKは何をしても叩かれる、という構造について
NHKが何かと敵にされる風潮には、さすがに少しかわいそうだなと思うことがあります。
「NHKを解体しろ」「受信料を払いたくない」「NHKなんていらない」などなどSNSでは、NHKに対してはほとんど何を言っても許される空気があります。批判すれば「いいね」がもらえるし、NHKを擁護しようものなら「NHKの回し者か」と言われるでしょう。
もしかしたらこのnoteを読んでNHKアレルギーの方は嫌な気分になるかもしれないので、そういった方はすぐにブラウザバックして下さい。
ただ、まぁ、NHKへの批判を一つひとつ整理してみると、矛盾だらけのダブスタっぷりが凄いなぁと思います。
先日、こんな主張が話題になっていました。
「受信料で成り立っているNHKが、民間企業と同じようにコンテンツを提供するのは自制すべきだ」。
テレ東社長がNetflixに配信コンテンツを卸したNHKに苦言
— エン太郎 (@entaroucom) June 4, 2026
つよい
✅ 「受信料で成り立っているNHKが、あたかも民間企業と同じようにコンテンツを提供すること自体、少し自制的であるべきではないか」と苦言…
つまり、NHKはネット配信やコンテンツ展開を控えるべきだ、という話です。受信料という公的な財源で運営されている以上、民間企業と同じ土俵で競争するのはおかしい、と言う話ですね。
この主張自体には一理あります。
民間メディアからすれば、受信料で安定した収入を得ているNHKが同じ市場に参入してくるのは、不公平に感じるでしょう。
このコメントもひどいことになっています。
しかし、この主張を支持している人たちに聞きたいのです。
では、NHKがニュースサイトで会員登録を必要にしたらどうなるか。
実際にそうした動きがあったとき、何が起きたか。
「台風のニュースを見るのにも会員登録が必要なのか。NHKは何様だ」。
NHKニュース、飛ぶとこれなの最悪なので是正してくれ。ニュース配信でやることじゃなさすぎる。 https://t.co/muqOaiUBVQ pic.twitter.com/gU7C6UvazM
— ぱぴこ : 筋膜リリーストレで4ヵ月-12kg(継続中) (@inucococo) May 30, 2026
こんな論調ですよね。
一方では「NHKは民間と同じようにコンテンツを提供するな」と言い、もう一方では「NHKのニュースは無料で見られるべきだ」と言う。
NHKが積極的にコンテンツを展開すれば「民間を圧迫するな」と怒られ、コンテンツにアクセス制限をかければ「何様だ」と怒られるわけです。
すごいですねぇ、何をしても怒られる構図の完成です。
受信料の話も同じ構造です。
「NHKの受信料は高すぎる。もっと下げろ」。これはNHKに対する最もポピュラーな批判の一つです。
NHKも経費削減の努力はしているでしょうが、昨今のコスト高は放送局にも影響しています。電力費、設備の更新費、取材費、人件費。あらゆるコストが上がっている中で、受信料を現状維持するのも簡単ではないはずです。
では、NHKが自社コンテンツの収益化を図り、受信料以外の収入源を確保しようとしたらどうなるか。
「受信料で作ったコンテンツで金儲けをするな」と言われるのです。
受信料を上げれば「高すぎる」。
受信料以外の収入を得ようとすれば「金儲けをするな」。
コンテンツを積極展開すれば「民間を圧迫するな」。
コンテンツを制限すれば「何様だ」。
どこにも正解がありません。
なぜNHKだけがここまで叩かれるのか。
理由はシンプルで叩きやすいからでしょう。
以前のブログで「公務員に税金泥棒と言う人は、言いやすいところにしか言えない」と書きました。NHKも同じです。
NHKは反論しません。受信料で運営されている以上、視聴者に強く反論する立場にない。何を言われても「ご意見として承ります」と言うしかない。
つまり、NHKは永遠のサンドバッグなのです。
殴り返してこないから、安心して殴れる。SNSで「NHK解体」と書いても、NHKから訴えられることはない。リスクゼロで正義感を表明できる、最も安全な標的です。
冷静に考えてみてほしいのです。
NHKがコンテンツを収益化して、その収益で受信料の値上げを抑えてくれたら、嬉しくないですか?
NHKがネット上でコンテンツを充実させて、災害時にも平時にも質の高い情報を提供してくれたら、助かりませんか?
NHKが民間と競争することで、メディア全体のコンテンツの質が上がったら、視聴者にとってプラスではないですか?
民法が商売敵のNHKに意見を言ったりするのは理解できますが、利用者がなぜそれをたたくために向かうのか、割と自分の価値観では理解できません。
あ、解説は不要です。
こうしたポジティブな可能性を一切無視して、「NHKは何をしてもダメだ」と叩くのは、批判のための批判にすぎません。
そしてこれだけNHKを叩いている人たちが、もしNHKが受信料を値上げしたら、間違いなくブチギレるでしょう。
「こんな時代に値上げとは何事だ」「国民を馬鹿にしている」「NHK解体」。
しかし、コンテンツの収益化も許さない、会員登録も許さない、民間と同じ展開も許さない。収入源を全部塞いでおいて、受信料を上げたら怒る。
では、NHKはどうやって運営すればいいのでしょうか。
この問いに対して、具体的な答えを持っている人を、私はSNSでほとんど見たことがありません。叩くだけ叩いて、代案は出さない。いつもの光景です。
NHKも完璧ではありません。改善すべき点はたくさんあるでしょう。しかし、何をしても叩かれる環境で、それでも毎日放送を続けている組織に対して、もう少し公平な目を向けてもいいのではないかと思います。
少なくとも、叩いている人たちのコメント欄よりは、NHKの報道の方がよほどまともです。
