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壁も化粧も、たぶん理屈は同じはず!とある女職人の迷走

東京にいた頃は、わりと服を買うのが好きだった。

高いものじゃないけれど、なんとなく自分なりのこだわりもあった気がする。

顔も多少は作り込まないと、コンビニに行くのすら恥ずかしかった。

まあ、それでも10分かからないくらいの楽ちんメイクだったけど。


それが、今では作業着が私の一張羅である。

ワークマンに行けば、上から下までほぼ揃う。

現場ではどうせ汗だくになるし、化粧なんてもちろんしない。

一番上等なものは、アシックスの安全靴。
15,000円くらいするけれど、毎年、
鼻水と涙を飲み込みながら、ボロくなった靴を買い替えている。

足が疲れない靴って、本当に神。


買い物は、近所のスーパーやホームセンターくらい。
いつからか、
日用品の買い物程度でいちいち身なりを整えたりはしなくなった。

そんなこんなで、この10年近く、私服と言えるものを着る機会は壊滅的に減った。

化粧するなんて、年に数回。
指の数で収まるくらいかもしれない。


そんな私に、たまーに訪れる、嬉しくもちょっと辛いイベント。

その名も、
「なんか美味しいもの食べに行こう」の日。

家族のお祝いや、何かの節目に、ちょっといいお店に行くことがある。

堅苦しくはないけれど、作業着で行ったら確実につまみ出される程度には、ドレスコードがあるお店。


私はいつも悩む。

ドレスコードとは。

ドレス……やり過ぎ。
オフィスカジュアル……軽すぎ。
ワンピース……腕と足がたくましすぎる。

ぐぬぬ。

やはり私には作業着が一番似合う。

いや、いかん。
これではお店に入れない。


お化粧もしなきゃ。

えっと。

何から塗るの?
何種類塗るの?

え、目だけじゃダメ?

だって顔になんか塗ると、つい癖で、

袖 で 汗 拭 い ち ゃ う じ ゃ ん!!!

あ、それだめですか。
女として終わってますか。
そうですか。

ぐぬぬぬぬぬ。


なので、
とりあえず不陸調整とパテ(コンシーラー)、
下地調整(BB)、
墨付け(アイブロウ)、
チリ周り(アイライン)、
アール処理(アイシャドウ)、
チリ掃除(マスカラ)

みたいなもんだと思ってるんですけど、
合ってますかね?
まぁ、もうこれで施工しちゃいますけどね。


もうね、世の中の女性、
すごすぎませんか。

なんでそんなに毎日お化粧できるんですか。
化粧品を使い分けられるんですか。
自然におしゃれできるんですか。

私が顔面施工にかかる時間は、わずか10分。

それ以上手をかけると、バケモノになる自信がある。

勝負は一度きり。

一度撫でた壁を触るべからず。

あ、違う。
顔だ。

もうあかん。


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