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ボンちゃんの夜中のライブは、もう開催されない|育児日記

もう夜中のライブは開催されない。

三男が泣くと、それに合わせてゲージの中のボンちゃんがガチャガチャし始める。
ガチャガチャガチャガチャ。
「うるさいぞ」と言わんばかりにボンちゃんが鳴らす。
それに驚いて、三男がさらに泣く。
完全にセッションだった。


あの時は本当に地獄だった。
こっちは夜中にミルクをあげている。三男は泣いている。ボンちゃんはゲージを鳴らしている。
夜中なのに、リビングだけライブ会場みたいになっていた。
最後は気が狂ったのか、俺も踊っていた。



そんな記事を書いたこともある。
その時は笑い話だった。
そういえば、上2人の時もそうだったし
「うるさいなー」「また始まったよ」くらいに思っていた。
でも、もうその音は聞こえない。
ゲージをガチャガチャする音も、
おやつを要求する音も、「このゲージから出せー」と言っているような音も、もう聞こえない。


ボンちゃんが亡くなった。
俺の膝の上で亡くなった。



亡くなってから、迎え入れた日のことをずっと思い出している。


確か最初は猫がほしかった。
実家でも猫を飼っていたから
たしか猫を見に行った気がする。
でもコーナンでボンちゃんを見つけた。


売れ残っていた
1万円の女の子だった。
かわいそうだった。でも、めちゃくちゃ可愛かった。
「この子だな」
なぜかそう思った。


本当にたぶん安かったからだと思う。
最低な理由に聞こえるかもしれないけど、たぶん本当に最初はそんな感じだった。でも、値段だけなら連れて帰っていないと思う。


その時、家にはケージも何もなかった。準備なんて一つもしていなかった。それなのに、その場でケージも、ご飯も、牧草も、給水ボトルも、トイレも、よく分からないまま全部買った。


そして原付で帰った。


ボンちゃんと二人乗りだった。



一人暮らしの男が、売れ残っていた1万円のうさぎを原付に乗せて帰る。
今思うと、なかなかすごい。けど、その日から俺の部屋にはボンちゃんがいるようになった。



仕事から帰るとボンちゃんがいた。


結婚してもボンちゃんがいた。
長男が生まれてもボンちゃんがいた。
次男が生まれてもボンちゃんがいた。
三男が生まれてもボンちゃんがいた。


5年前?長男とボンちゃん


奥さんより前から一緒にうちにいた。
だけど、一緒にいた時間の量で言うと、奥さんの方が長かったのかもしれない。
奥さんは3人分の育休を取っている。
俺が仕事に行っている間も、家には奥さんとボンちゃんがいた。ご飯をあげて、水を替えて、牧草を見て、ケージを見ていた。


だから奥さんが「もうペット禁止」と言った。


たぶん動物が嫌いになったわけじゃない。もう、こんな思いをしたくないんだと思う。


俺も分かる。


分かるけど、寂しい。


ボンちゃんは、あまり抱っこさせてくれない子だった。抱っこしようとすると嫌がる。うさぎはそういうものなのかもしれないけど、だからほとんど抱っこしていない。


抱っこしたのは、迎え入れた日のコーナンの中。
そして、最後の膝の上。


たぶんその二回だった。


普段は抱っこさせてくれないくせに、最後だけ膝の上にいた。それがつらい。


人の背中にはよく乗ってました笑

最近、全然ケージから出していなかった。運動もあまりできていなかったと思う。嫌だったろうなと思う。もっと出してあげればよかった。もっと遊ばせてあげればよかった。もっと気にしてあげればよかった。


そういうことばかり考える。
ペレットと牧草も捨てた。買ったばかりだった。
だから、「これがなくなるまでは耐えてほしかったな」と思った。
牧草がもったいないわけじゃない。
その牧草を食べるボンちゃんが、まだいると思っていた。
ペレットを食べるボンちゃんが、まだいると思っていた。


おやつだけは残した。


ボンちゃんが大好きだったおやつ。


子どもたちも毎日のように「ボンちゃんにおやつあげたい!」と言っていた。そのたびにケージの前に行っていた。でも、もうケージにはいない。


次男は朝起きてすぐ、「ボンタンや?」と言っていた。ボンちゃんのことだ。朝起きたらボンちゃんがいる。
朝おやつをあげる。それが当たり前だったんだと思う。


長男は朝、急いでリビングに向かって、「ボンちゃん、炭酸水の箱に入ってて動かなーい!早く来て!」と両親を起こしに来た。


ママはその時点では、まだ知らなかった。
俺は朝から寝たふりをしていた。あまり眠れなかった。


長男なりに、これは大変だと思ったんだと思う。5歳の子が、ボンちゃんの異変に気づいて、大人を呼びに来た。その言葉を思い出すと、また胸が痛くなる。


昼、火葬車でボンちゃんは行った。
頭がボーッとした。


火葬のことを考えると、みぞおちのあたりが気持ち悪くなった。心臓のあたりも痛かった。本当にそんな感じだった。


見送った後、ケージを片付けるか迷った。残してあげた方がいいのか。でも空っぽのケージを見るたびに、まだ中にいるような気がする。見れば見るほど、いないことが分かる。


奥さんも「ケージを見ると思い出す」と言った。


だから片付けた。
リビングが広くなった。


こんなに広かったんだなと思った。でも、嬉しい広さではなかった。ここにボンちゃんがいた。ここでガチャガチャしていた。ここで牧草を食べていた。ここでおやつを待っていた。ここで夜中のライブを開催していた。


その場所が空いた。


長男は保育園から帰ってきて早々、「骨壺の中みたい!」と騒いでいた。
長男は長男なりに頭で考えていたと思うが、あまりにうるさいので見せたら、ほんとあっさりしていた。
子どもはすごい。大人が重く受け止めていることを、すっと見て、すっと日常に戻る。でも、それでいいんだと思う。
長男も、次男も、三男も、ボンちゃんがいる家で育ってきた。


ボンちゃんは家族だった。


売れ残っていた1万円の女の子。




猫を見に行ったはずなのに、なぜか連れて帰ることになったうさぎ。
ケージもないのに全部買って、原付で二人乗りして帰ったうさぎ。
抱っこは嫌いなくせに、最後は膝の上にいたうさぎ。
夜中に三男とライブを開催していたうさぎ。
おやつを要求して、ケージをガチャガチャ鳴らしていたうさぎ。



昔、シソンヌのゴンちゃんネタがマイブームだった時、ボンちゃんに「ちーんちょん!」みたいなことをしていた。ごめん。
今さら謝ることじゃないかもしれないけど、そういうしょうもないことまで思い出す。


ボンちゃん。
わがままでうるさかったなー
夜中のライブも、ケージのガチャガチャも、おやつの催促も。
でも、聞こえなくなると、こんなに寂しい。
リビングは広くなった。


でも、広くなったんじゃない。
ボンちゃんがいた分が、なくなった。
ボンちゃん、おつかれさま。
夜中のライブ、うるさかったよ。
でも、もう一回くらい聞きたかった。



今日は俺以外は亡くなったのを知って初日の夜だ。
寝たと思っていた長男と次男がお供え物のおやつの数量を確認しに来る。
2人して、このおやつ、いつボンちゃん食べに来るの?と聞く。涙が勝手に出てきた。


 長男とボンちゃんの写真多すぎる笑


めっちゃ嫌がってた笑

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