セッション定番曲その157:Comin’ Home Baby
ジャズ/ファンクセッションの定番曲。進行の分かりやすいマイナーブルース進行で、ノリのいい曲です。
(歌詞は最下段に掲載)
和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。
ポイント1:Mel Tormé
1962年、Mel Torméの大ヒット曲。彼は既に37歳で、動画でも分かるようにジャズ歌手としての出立ちに拘ってスーツにボウタイ姿。ロックンロール時代には「時代遅れのジジイ歌手」と見られていても仕方ありません。ところが曲だけ聴くと、実にファンキーでソウルフル。この歌も自分の持ち味を生かして伸び伸びとしています。
ポイント2:Herbie Mann
1964年のライブ録音。いわゆる「ジャズロック」ブームに身軽に乗っかったので、本格派のジャズファンからは軽くみられることも多いHerbie Mannですが、売れれば勝ちですね。
ポイント3:マイナーブルースの魅力
構成はシンプルなマイナーブルース。それがこのファンキーなラテンリズムに乗ると派手で素敵な曲になりますね。日本人が聴いても「どこかで聴いたことのある馴染みを感じるメロディ」です。実際に演奏する、歌う際にも過剰にセンチメンタルにならず、踊っても楽しい感じを表現したいですね。
迷子になりにくいので、セッション向きの曲だと思います。9-11小節の下降進行はみんなで揃えてキメましょう。

歌詞はまぁ、あまり内容は無いので解説は省きます。
ポイント4:様々な歌唱と演奏
Michael Bublé with Boyz II Men、2007年録音
Mel Torméバージョンに近いアレンジ
Emilie-Claire Barlow、2009年録音
テンポを落とした、妖しい歌唱。「Fever」みたいな雰囲気もあります。
David Sanborn, Bob James, Steve Gadd, James Genus、2013年ライブ録音
Hank Jones、1989年録音(?)
ポイント5:8ビート・ジャズ
ポピュラー音楽の中心がジャズからロックンロール/ロックに移行し始めた時期、1960年代に多くのジャズミュージシャンによって「ロックのリズム(8ビート)に乗せたジャズ」という試みが行われました。でもよく考えてみるとラテンリズムも8ビートと解釈出来るので、大昔のジャズにもあったんですけどね。この1960年代はさらにコードやメロディの簡略化も含めた動きですね。コアなモダンジャズファンからの評価は微妙ですが、実際には大ヒットした曲も沢山あります。微妙に日本の「歌謡曲(演歌)」感もあって馴染みやすいですね。「ダサい」と言えばダサい。
複雑化して自家中毒を起こしていたモダンジャズが最後の足掻きとしてもう一度「黒っぽさ」を取り戻そうとした動きだったのかもしれません。
Lee Morgan「The Sidewinder」 1963年録音
Herbie Hancock「Watermelon Man」 1962年録音
Horace Silver「Song For My Father」1964年録音
Kenny Burrell「Chitlins Con Carne」1963年録音
Lou Donaldson「Alligator Bogaloo」 1967年録音
◼️歌詞
I'm comin' home baby
You know I'm waiting here for you
Comin' home baby now
You don't know what I'm going through
Since you went away,
Expect me any day.
I'm comin' home
You know I'm praying every night
Comin' home baby now
I want to feel you hold me tight
When I'm in your arms,
I'll be fine.
I'm comin' home
You know I'm counting everyday
Use the phone
And baby let me hear you say
That you're comin' home,
And I never will go away.
