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掠れた声の男が紡ぐのは【映画感想文】

こんにちは、先日佐藤二朗さん主演脚本の映画「名無し」を観てきました
私自身、この映画を見ようと思ったきっかけが佐藤さんのビジュアルが良かったからです
コメディ俳優として有名な彼ですが今作では孤独な男を演じていてその乾いた無垢さが自分に刺さりました
お土産でステッカーを買っちゃった

話は、あるファミレスで無差別殺人事件が起きます。捜査本部は店内の防犯カメラを見ますが犯人の男の凶器が見えないです
確証が持てないまま、ある刑事は犯人を押さえることができるのか…
そして30年前、一人の警察官は一人で座っている少年を見つける。彼は名前がなく話さないで一人の少女と暮らしていた。警察官は彼らを養護施設に連れていき「山田太郎・花子」という名前をつけてあげました。

この作品は太郎の過去と2025年現在が行き来し太郎がなぜ大量殺人を起こすようになったのか。太郎が殺人に使った凶器が見えない理由はなぜなのか
を描いていく描写をしています。
初見の印象では太郎は無邪気に人々を殺しまくっているように見えますが、幼いとき、そして大人になった時の様子を見てこの男が抱える苦しみと悲しさがダイレクトに伝わりました。
私が一番辛いと思ったのは、太郎と花子は恋人同然の関係性になり花子は太郎の子を妊娠しますが、太郎が嬉しそうに生まれてくる子の出産予定日をカレンダーに丸をつけて待っていたり名前を考えていたりしていました。
ですが、出産間際になって花子は失踪してしまいます。
その時の太郎の悲痛な表情が私はどんなグロいシーンより胸が痛くなりました…
ただ、彼も人間なんだ。ただ片手で触れると殺してしまうからそれだけで普通の人の幸せから遠ざかってしまう。

この映画は無戸籍の人々を暗に暗喩していると思いました
それだけでなく、様々な障壁で「名前がない」同然の人々の苦しみを太郎の片腕というメタファーで表現している社会的な映画だと私は実感しました

そして殆ど話さない太郎を演じている佐藤さんや太郎の幼少期を演じる子役の方の演技がかなり迫力がありました
表情と仕草だけでここまで”山田太郎”という男が生きてきた世界を出していて素晴らしいと実感しました

掠れた声で太陽と手を繋ごうよと語りかけるのは息を呑むぐらい引き込まれてしまいました…

今時点で2026年邦画BEST1です、まぁ今時点映画館で2本しか邦画見ていないんですが…
ですが、今作は私的邦画BEST3に入るぐらい良作でした


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