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退去強制令書の執行停止決定があれば退令発付後の監理措置決定で出頭しても収容される危険はまずない

私の依頼者が先日、退去強制令書発付後の監理措置決定で解放されました。
この方については、裁判所で、退去強制令書の送還部分について、本案判決が出た後60日が経過するまでは執行停止、つまり強制送還をしてはいけないとの決定も頂いています。

監理措置には期限なし


仮放免許可は改定法施行前後を問わず期限があり、出頭時に延長されるかどうかはそのときにならないと分からず、出頭数日前から寝られないという話はよく聞きました。

これに対して、収容に代わる監理措置は、「期限」というものがありません。

国会審議でも、次のとおり政府参考人は答弁をしていました。

期限を設けず、法律上規定された取消し事由に該当しない限り収容されない、そういう点で、被収容者、仮放免対象者にとっては立場が安定的になるということで、仮放免に比べて対象者にとって利益になる措置であると考えます。

2023/4/18  衆議院法務委員会 出入国在留管理庁 西山次長答弁

当局の思うままに効力を失わせることができる


しかし、退去強制令書発付前の監理措置は、退去強制令書が発付されると当然に失効してしまいます(入管法44条の8)。
また、退去強制令書発付後の監理措置も「送還を実施するために被監理者を収容する必要が生じたとき」(52条の4第2項1号)には取り消すことができるとされています。

出頭時に収容可能


監理措置を受けた方は、3か月以内に一度は地方出入国在留管理局に出頭して、監理措置に付された際に付された条件を守っているかどうかを報告(法律上は「届出」)する必要があります。

ですから、従来、仮放免延長のための出頭時にいきなり延長を認めないで収容することができるのと同様に、届出のために出頭した際に、退去強制令書発付前であれば当日にこれを発付して監理措置を失効させたり、退去強制令書発付後であれば送還のために必要が生じたとして監理措置を取り消せば、その場で収容できてしまう訳です。

西山次長が言うような「立場が安定的」というには程遠いと思っていました。

執行停止決定があれば少し安心


ですが、今回の私の依頼者のように、既に退去強制令書が発付された後で裁判所の送還部分についての執行停止が出ていれば、少しは安心できます。
なぜなら、裁判所の決定で、判決が出るまで、さらに判決が出る60日経過するまでは無理矢理強制送還をすることは禁じられているからです。
さすがに、出入国在留管理局も、送還停止の決定が出ている間、「送還を実施するために被監理者を収容する必要が生じた」として監理措置を取り消すことはできないでしょう。

退去強制令書発付後の監理措置の取消事由は、ほかにもあるので(入管法52条の4)、100%安心ではないですが、少なくとも旧法下の退去強制令書発付後の仮放免延長時のように、再収容されるかどうかはその日にならないとわからないという不安は払拭されました。

西山次長が、ここまで考えて国会答弁をされていたかどうかはわかりませんが、送還部分の執行停止決定を得ている場合は、確かに旧法下よりも「立場が安定的」であるとは言えそうです。

「裁判中は送還しない」には注意


なお、この収容・送還専門部会での報告書9頁にあるように、裁判中は送還を差し控えると国は言っていますが、法律上の拘束力の無い運用に過ぎないので、いつ変更されるか分かりませんから、裁判しているだけではこのようなアドバイスは怖くてできないです。あくまで送還部分の執行停止決定が出ている場合にできるものです。

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