『詩』林のなかをシュプールが伸びている
林のなかをシュプールが伸びている
枝枝を絡ませた木々のあいだを 青灰色の
レールとなって雪の面を シュプールが
誘うように伸びている 枝のなかに
こんな雪の朝でも鳥がいて
時折雪のかたまりがどさりと落ちる
その鳴き声と羽音とともに
青灰色の そのシュプールを追うように
僕はスキー板を滑らせてゆく 森の奥に
昨日見かけた娘かしら?
そんなはずはない 昨日午後から
夜明け前まで雪が降って
森に入ることなどできなかった
けれどシュプールは新雪の上に 軽やかに
躊躇う様子もなく伸びている
厚く垂れ込めた雪雲を それ以上
落ちてくることのないように 枝枝を
伸ばして木々が支えている シュプールは
それらを巡るように伸びている 雪塊を
枝から落ちたそれをも避けて 新雪に
僕は埋まりそうになりながら
スキー板を滑らせてゆく 青灰色の
きちんと揃ったシュプールを追って
雪の朝は 静かでそして賑やかだ
どこかで氷の割れる音や 雪塊の
雪の面に落ちる音や
鳥の羽音や 狐の声や そんなものが 一段と
深い静謐を引き立たせ ちらちらと
また粉雪が降ってくる 青灰色の
僕はシュプールを見落とすまいと ストックを
持つ手に 足に 力を込める
そうして木々の間を小一時間も
巡ったころに僕は気づく この先の
シュプールは誰も知らない湖に
きっと向かっていったのだと
空を映すかのように 湖は
ブルー・シエルに染められていて 僕だけの
そこは秘密のはずだったけれど
こんな雪の朝にいったい誰が
そこに向かっていったのだろう?
こんな新雪の上は滑りにくい
背中に汗を感じながら シュプールを追って
木々の間を抜けたとたん
僕は思わず立ち止まる 雲が切れて 湖の
日差しが ブルー・シエルの上に
ダイヤモンドダストを舞い踊らせ シュプールが
その上を空へと昇っている ああ僕は
いったい何を、追い求めてきたのだろう?
僕の人生は・・・
やがて また厚くなった雪雲が日差しを遮り
粉雪が本降りへと変わる頃
僕は湖を後にする 自分の残したシュプールが
雪に埋もれて消えないうちに
初めてスキーをしたのは会社の慰安旅行でした。10人足らずの支社だったし、僕が入社した頃は景気がよかったので毎年のように冬はスキー旅行、夏はキャンプなどやっていました。でも、雪の降るところから通っているということで、スキーができるとおもわれたのにはまいりましたね。
まともに滑れるようになった頃には景気が傾いて、慰安旅行としてのスキーはなくなったけれど、地元がスキー場に近かったので、朝家を出てコンビニで半日リフト券を買い、午前中いっぱい滑って昼には家に帰ってくる、なんてことをやってました。でもそれも、スキー人口が減ったのと雪が降らなくなったのとでスキー場が閉鎖、2、3年で止めざるを得ませんでした。
今、スキーやスノボの人気はどうなんでしょう? スノボは若い世代がオリンピックで活躍したりしてるので、人気がありそうですね。スキーは・・・「私をスキーに連れてって」とまではいかないようですね。
でもこの冬は雪が多そうなので、スキー場はきっと安泰でしょう。僕自身はもう、スキーができるほど体力がなくなってしまったけれど。
ブルー・シエルは、フランス語で「太陽が輝いているときの空の青」。
詩は雪雲りの空だけど、湖はこの色にしたかったので。

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