清明|花見と書いて、食レポと読む
今日は少し早起きができた。おかげで身支度をした後にまだ時間があったから、ひさしぶりにネイルを塗った。梅雨の時期に買った、雨をモチーフにしたやつ。淡い桜貝のような色は三回重ね塗りをしてちょうど良い。ぱっと見そんなに色がついたようには見えないけれど、明かりにかざすと細かなパールがつやつや光ってかわいいのだ。
グレーのゆるいニットを羽織って、予定通りの時刻のバスに乗り込んだ。駅前で桜の季節のお祭りがあるんだって。屋台が並んで、ビヤガーデンが出て、バザーとかダンスとか太鼓とかの出し物もあるらしい。私はそこでご飯を食べると決めていた。昨日は雨だったけれど、今日はお天気も良さそうだ。
バスを降り立った先には、ちょうどいい春があった。暑くもない、寒くもない。キラキラした優しい日差しに、心地よい風がときおり頬を掠める。商店街を抜けて、大きな通りに出ると、桜がずらり並んでいる。満開を少し通り過ぎて、ところどころ緑の葉っぱが揺れていた。それがまた木々の生命力を感じる。
とりあえず左右のキッチンカーを眺めながら歩き始める。どんな店があるんだろう。シフォンケーキ?珍しいチョイスに目が釘付けになった。私はケーキの中でもとりわけシフォンケーキが好き。しかも手や口が汚れないから食べやすそう。「さくらのシフォンケーキひとつ」
それからきなこ味のあげパン。これは普段どうやったって食べられないから、見た瞬間に即決だった。あげたてのあげパン、熱くておいしい。手や口が汚れないという、なけなしの優先順位まですっかりどこかへ行っていた。
たこやき、いいね!屋台の定番メニューではたこやきが一番好き。塩マヨという珍しい味付けが目を引いた。こんど家で食べる冷凍たこ焼きも、ソース以外の味付けで楽しんでみようかな。
そろそろお腹が膨れてきたので、何を食べるかも慎重になる。ぶらりと端っこまで歩いてみることにした。天気も良いからか、犬連れのお客さんがちらほら目を引く。近所はやっぱりトイプーが多いみたい。月海と同じポメラニアンも、白や黒などにぎやかでうれしい。毛が短い子はまだ洋服を着ている。かわいいね。舞台の上では制服を着た子たちがトランペットやクラリネットを演奏している。
ひととおり店をチェックして、心は決まった。〆は焼きはまぐりと日本酒。今日はお花見気分を存分に味わい尽くすのだ。大きな瓶に入った日本酒を紙コップにそそいでもらう。うーん、ぬるい!でもそれがお花見っぽい。目の前で焼いてくれたはまぐりを、つまようじで突き刺してひとくちに頬張る。貝特有の苦みを日本酒で流し込む。日本人に生まれてよかった。
デザートはクレープ。本当はいちごにしようと思っていたけれど、列に並んでいる最中に後ろの人が、ブリュレクレープが美味しいと言っているのを聞いてしまった。確かにいつもいちごだから、たまには別のに挑戦してみよう。カリカリの表面の下にはカスタードとホイップがたっぷりで、しかも中にはいちごまで入っていた。もう大満足だ。
例年花見の時期には雨に阻まれて、気づけば桜が散っていた。今年はタイミングよく花を楽しみながら、存分に飲み食いすることができてすごくよかった。ひさしぶりに心から美味しくものを食べられた気すらする。ああ、二十四節気の記事だけはこれまで雅を気取っていたのに、今回はすっかり食レポだ。ごちそうさまでした。
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