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#02 これ以上ガッカリさせないで

「また、ズルズルしちゃうの?」

私のその言葉を聞いた瞬間、

彼の動きがピタッと止まった。

何かを察したように、

うーん、と気まずそうに考え込んでいる。

その静かな時間、私は心臓のバクバクが止まらなかった。

もしかしたら、

心のどこかで期待していたのかもしれない。

彼が男らしく「じゃあ、付き合おう」

って言ってくれるのを。

だけど、

長い沈黙のあとに彼が口を開いた。

開口一番のセリフは

「俺の友達がさ、アヒルちゃんのことめちゃくちゃタイプって言うんだよね」

は? 待って? どゆこと?
沈黙の末にそれ?

言い逃れのために最初に出したカードは、
彼の友達の名前。

その瞬間、

私の中で何かが一気に冷めていくのが分かった。

呆れを通り越して、なんだか急に悲しくなった。

なんか、終わりの始まりって感じだった。

そこからは、

仕事1年目で忙しくなるとか、
優先にできないとか、
配属先がどこになるか分からないとか、
遠距離は向いてないとか。

色んな話をされた。

もう本当に聞いてられなかった。
何もかも耐えられなくて、
笑うしかなかった。

私が聞きたかったのは、

そういう話じゃない。

だって今まで会ってたじゃん。

会いたいって言って、

予定を立てて、

気づいたら花火まで一緒に来てさ。

「今まで通り、責任は取らないけど、
居心地のいい関係でいようよ」

それをオブラートに包んだだけの、
ただの自己保身。呆れた。

彼は

「アヒルは俺の中で特別だよ」

とも言った。

「映画のとき、一回理性保ったでしょ?」

とも言った。

いや、、、え、、?

そのカードは弱すぎるって。

そんなことを言われれば言われるほど、

大切にされてない感がハンパなくて

あーあーあー。もういいです。分かりました。

もう何も喋らないでください。

これ以上ガッカリさせないでください。

そんな感じだった。

同時に、

自分から聞いたことも後悔した。

なんで聞いちゃったんだろう。

本当は結果なんて分かっていたんじゃない?

そんなことばかり考えていた。

でも、

ズルズルした関係は嫌だった。

それだけは確かだった。

ただ、

じゃあこの人と付き合いたいのかって聞かれると、

それもなんだか違う気がしていた。

彼氏としての彼が想像できない。

私たちの始まり方がそうだったからなのか、

それともさっきの会話のせいなのか、

もうよく分からなかった。

ひとつだけ分かったことがある。

私、

この人のことをもっと知りたいとは思えなかった。

だってこんなにガッカリしてるんだもん。

関係をはっきりさせたくて聞いたはずなのに、

聞いたあとに残ったのは答えじゃなくて、

もっと大きなモヤモヤだった。

花火の前日の夜。

私は2人の行く末が

少しだけ分からなくなっていた。

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