初期設定の愛 39.再会
自宅に戻り、再度、落ち着いてSNSを精査したところ、Emailアドレスを発見した。
以前送ったSNSへのDM送信だが、どうもそのSNSは最近更新されていないので、アクティブ状態ではないのだろう。決して、無視されている訳ではない、そう判断するにいたった。
突然のメールを失礼します。
中学1年生の時、隣のクラスにいた●●●●(筆者の本名)です。
お久しぶりです。お元気でしょうか。
もう、覚えていないかもしれませんが、
なんとか、思い出してみてください。
野球部で、坊主頭でした。
人生で出会った人のなかで、最も信頼している人が佐伯さんです。
どうしても、佐伯さんに相談したいことがあります。
一度、時間もらえないでしょうか。
よろしくお願いします。
夕方に送信した。
翌朝に返信がきた。
ヲヲヲ・・・・・・・!
ゴメン‼ ヨッパライで!
忘れたことはなかったよ。
忘れるわけないよ。存在として好きになった人だから。
初めて見たとき、こんなピュアな魂をみたことがないと思った。
瞳がすごくキラキラしていた。
まあ、理由はともあれ、地元の同級生が私を訪ねてくれたこと。
すごくうれしかった。
××ちゃん(バーのママの名)から、地元の友だちが来てるよってLINEもらった時、すぐにコージ君だってわかったよ。
体調がすごく悪くて、寝込んでいたの。喉もいたくて。
40年の逃走の末、ついに自首ですか?
罪状は何にしようかな。
事情聴取はゆっくりさせていただきます。
いつでもまた、会いに来てください。
一緒に飲みましょう。
(予想を上回る返信内容だった。)
(その後、何回かのメールのやり取りをした。)
2月の中旬、指定されたバーで再会した。小雨が降っていた。
コの字型のバーカウンターのコーナーを挟み、ラウンドチェアを一つ空けて、距離を取って彼女は座った。やはり40年の時間の経過を感じる。
なかなか会話が開始しない。お互いかなり緊張している。
なんだか気まずい。言葉が浮かばない・・・・・・・・・。

彼女の左腕、綺麗な白い肌、火傷のキズは残っていない。
それを見て、溢れそうな涙を抑えた。良かった、綺麗に治ってる。
(注:25.交差点)
そのことは話題にしなかった。自分の心の中にとどめた。
「よくきたよ~。勇気だしたよね。」
彼女が席を立ち、「ハグしてあげる! 」そう言って、こちらへ歩み寄り、私を抱きしめてくれた。

気が合う。私もハグしたかったのだ。
1分くらいだろうか、バーには複数の客と男性のマスターがいる、だれもこちらには気を留めていない。少し強めに抱きしめた。違和感がない、自然に溶けあう感覚がある。
あ~、これだ、この感じ。女神に対してだけ感じるこの感じ。
幸せだ・・・。
朝まで、夢中で語り合った。
これまでの人生、仕事のこと、成功したこと、失敗したこと、離婚のこと、出産のこと、彼女がよどみなく話す。あいかわらず、質問がない。一方的に話す。それも心地よい。
私は彼女の目をまっすぐ見据えて、話しを聞いた。
一言も聞き漏らす気はなかった。
「よく頑張ったよ」「すごいよ」そう伝えられた。
私は大学を留年したこと、留学したこと、初めて就職した会社を2か月で首になったこと、父とともに経営する会社が倒産して億越えの借金をかかえたこと。
どうしても会いたかったこと。人生できついときにがんばれたのは、全部佐伯さんのおかげだったこと。
そして、づっと抱えていた思い。
初恋だったこと、ひとめぼれだったこと、43年一日たりとも忘れたことがなかったこと。今でも大好きだってこと。すべて正直に伝えた。
そして、・・結婚したこと・・、・・・娘がいること・・、・・・今はそれほど幸せを感じていないこと・・。いまでも1億円の借金があること。
それも伝えた。
外はもう明るい。朝だ。街が動き出している。
タクシー代を渡そうと出した私の手、、女神が強く、、強く握る。1万円札ごと、まとめて強く握り続けている。もう二人の手の中で1万円札はグチャグチャだ。
もう絶対に離さない。そんな思いが伝わった。彼女の正直な思い、それがちゃんと伝わった。すべてを感じる。ほんものだ、これは本当の愛だ。
その手を握ったまま、どうしても離さない彼女。帰りたくなさそうだ。
もう一軒いきたいと言い出した。
「また、来るから・・・」そう言って、納得してもらった。もう朝7時だ。
また、会ってもらえるようだ。そんな確信を得た。
女神への思い、38年ぶりの再会。
あの時から何一つ変わっていない、女神も僕も、まったく同じ思いだったようだ。
この時が幸せの絶頂だった。
あなたのお相手もきっと、こんな気持ちです。オマケ。
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