初期設定の愛 20.店長との思いでと後日談
バイト後、店長は良くドライブに連れ出してくれた。
車載のアマチュア無線が趣味のようだ。
毎回、だれかのお宅にお邪魔するのだ。
どうも、アマチュア無線の仲間を訪問しているようである。
無線で、道を聞きながら、最終的に目的地へ到着する。
店長は、県外からこの町へ引っ越して、まだ数か月だ。友達がほしいのだろう。
この店で初めて店長に抜擢されたらしい。ヘッドハンティングってやつだろうか。まだ当時26歳だ。
僕のハンドルネームは「かっぱ巻き」だ。
店長が適当につけてくれた。
店長が運転しながら、無線で会話しながら、二人で初対面の無線仲間の家につく。ときどきしゃべる「かっぱ巻き」が高校生だと知ると、どの家でも、みんな喜んでジュースやらお菓子やらどんどん出してくれた。
店長は僕を出来の悪い弟のように思っていたのかもしれない。
この店長、僕の人生で初めて、自分に期待をかけてくれた人だ、
今でも感謝だ。
このバイトの件、後日談がある。
高校2秋ごろ、父が突然、お前は料理人になれ、そう言いだしたことがある。そうだな、”すし職人” はどうだ。軽く言い放つ。
今でも思い出す、あまりにいきなりでびっくりした。
その時は、おかしなこと言いだすな~ くらいだったが、
しばらくしてから、この唐突な発言、父の思い付きではあるが、
それなりの理由があったことがわかった。
高校2年の秋、三者面談、これには父は参加していないが、母から報告をうけたようだ。
通常、この時期は、就職するか、進学するか、進学なら私立か国立か、
各生徒に、成績や将来の希望に沿ったアドバイスとなるのだろう。
担任が、何を思ったか、正直に「お母さん、コージ君が何を考えているのかがまったくわかりません。やる気があるんでしょうか。家庭での様子はどうですか? 勉強していますか? 進路云々の前に、卒業できるかどうか、それが焦点です。いける大学はないです。』
三者面談後、生徒は親と一緒に帰るシステムだ。
母の怒りが止まりません。母の怒りはこの担任の先生に向けられた。
「あの先生は、おかしなことう言う人ね~。ほんと失礼だわ。」
当時の担任、名前は思い出せないので、X先生とします。
このX先生の肩をもつとしますと、直近の実力テストで、学年ブービー賞だったのだ。無理もない。先生はしごくまっとうな指導をしたたけだ。
父は、高校退学の相談の一件後、回転すしでバイトを始めたのを、もちろんしっている。
そのころの息子の生き生きし、楽しそうな雰囲気を思い出して、そんなことをいいだしたのではないかと考えたのだ。
我が息子が勉強では勝負にならないという判断までは正解だが、
それじゃ、”すし職人だ” 的な発想はいただけない。すし職人への道は茨の道だ。厳しい修行の世界だ。こんな”甘ちゃん成金ボンボン”に勤まるわけがないのだ。
すし職人がなんたるか、まったく知らないのだ。
田舎の町工場の成金社長め!残念!
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