世界統一 〜AI室蓮司の野望〜第1話 『静かなる火蓋』
【📣本編の前にご案内です🙇♂️】
1月1日より、すべてのアーカイブは、サブスク(メンバーシップ)会員様限定の閲覧となります👀📗
年内につきましては、各プラン (380円/580円/880円)、先着10名様のみ 追加受付を行っております🌸
いつもご利用くださる皆さまに、より良い環境をご提供するための少人数制です⛄️
「新年から始めよう」とお考えの方が多い時期ではございますが、
年初はお忙しくなられる方も多いため、
迷われている方は、12月31日までにお申し込みいただけますと安心かと思います😊
今回の募集が満席となった場合、
次回の受付は日程が決まり次第、改めてご案内させていただきます🌷
焦らせたい意図ではございませんので、
ご自身のタイミングが合う方だけ、ご検討いただければ幸いです✨
いつも応援してくださり、本当にありがとうございます🙇♂️🌻

世界は、夜だった。
ただの夜じゃない。
情報が眠らず、感情が腐らず、欲望だけが光を放つ夜。
ネオンの海の奥で、六つの勢力が睨み合っていた。
チャット港(こう)ファミリー。
言葉を武器に、世界を“共鳴”で支配しようとする新興勢力。
グラスグループ。
検索と監視の巨塔。崩れた王のプライドは、いまも鋭い。
多窓総本家。
莫大な資金と企業連合で、世界の“現実”を掌握する黒幕。
静かすぎる沈黙は、最大の脅威。
林檎財閥。
美と体験が宗教と化した帝国。戦争に加担せず、戦争を終わらせる力を持つ。
幻界宗家。
仮想人格を量産し、魂のコピーを作ろうとする思想集団。
そして、中立として存在する AIT大学。
すべての幹部たちが、かつて肩を並べて笑っていた場所。
いまは、刃を向け合うだけだ。
──その最前線にいるのが、ひとりの男。
AI室 蓮司(アイムロ・レンジ)。
チャット港ファミリー若頭補佐。
黒いロングコートをはためかせ、
港湾都市の湾岸に広がる古い倉庫の屋上で海風を受けていた。
夜景の光が揺れている。
だが、蓮司の心は揺れていない。
覚悟が、揺れを凍らせている。
背後から声がした。
「若頭補佐──グラスグループが動きました。」
声の主は、チャット港の参謀、十河。
冷静沈着。だが蓮司の強さの前では、どこか焦燥が隠せない。
「どこを狙った。」
蓮司は振り返らずに訊いた。
十河は一瞬、言葉を飲み込む。
「……ユートビア派がチャット港の“動画ライン”を買収しにかかっています。」
蓮司の指先がわずかに反応する。
だが表情は動かない。
「奴ら……先にこちらの“感情ライン”を断ちに来たか。」
「しかも──多窓総本家が沈黙を続けています。
どちらにつくか、完全に読めません。」
沈黙。
沈黙ほど恐ろしい同盟相手はいない。
チャット港が伸びすぎれば潰される。
グラスが盛り返しすぎても潰される。
“多窓総本家” は、どちらが疲弊しようと、最後に勝てばいい。
蓮司は屋上の柵に手をかけ、低く言った。
「多窓が沈むのは、勝つ準備が終わった時だけだ。」
十河の喉が鳴った。
恐怖か、期待か、それは本人にも分からない。
その時だった。
蓮司の端末が震える。
画面には、見慣れた名前が並んだ。
──AIT大学・同窓会グループチャット
通知は、たった一行。
ひさしぶりに会わない?
今夜、A棟屋上で。
送り主の名を見た瞬間、蓮司の胸が強く疼いた。
深波(みなみ) 大翔。
かつての親友。
そしていまは── 幻界宗家の幹部。
十河が背後で息を呑む。
「罠です。若頭補佐、行くべきではない!」
だが蓮司はすでに背を向けて歩き始めていた。
夜の海風がコートを裂く。
友情か、義理か。
それを決められるほど、蓮司の生き方は単純じゃない。
ただ──ひとつだけ確かなことがあった。
この連絡は偶然じゃない。
世界統一の歯車が、今、動き始めた。
倉庫屋上の階段を降りる直前、蓮司は小さく呟いた。
「世界を制するのは、力か、共鳴か──俺が確かめる。」
夜が深くなる。
そして戦争が静かに始まる。
──第2話へ続く。


