ナレッジワークが商談解析AI 「JamRoll」を展開するPoetics社を M&Aした理由

この度、ナレッジワークが商談解析AI 「JamRoll」を開発・提供するPoetics社の全株式を取得することになりました!

本M&Aにより、ナレッジワークは営業支援=セールスイネーブルメントにおいて世界でもトップクラスのプロダクトラインナップを提供できるようになったと自負しております。これから営業担当の方々に突き抜けて滑らかな業務体験を提供していけるのがとても嬉しいです!

また、M&Aの検討やDD(デューデリジェンス:企業評価)の過程で、JamRollというプロダクト、そしてCEOの山崎さんを中心とするPoeticsのメンバーの魅力を深く知ることができました。これからご一緒させて頂くのが楽しみで仕方ありません!

本noteでは今回のM&Aに対する考えや想いを記したいと思います。

(あくまで僕の視点からの考えや想いになります)


何故、商談記録プロダクトがナレッジワークに必要なのか?


ナレッジワークは営業支援=セールスイネーブルメントに関するあらゆるプロダクトを開発・提供するべく、マルチプロダクト戦略(コンパウンド戦略)に取り組んできました。

(現在、6つのプロダクト・モジュールをリリース済みで、1つの新プロダクトをリリース準備中です)

一つのツールで営業支援=セールスイネーブルメントのあらゆる機能を提供することで、営業担当の方々に滑らかな業務体験を届けられると考えているからです。

これまでは特に営業担当の商談前のプロセスをサポートするプロダクトを提供してきました。

具体的には商談に向けた資料の発見・作成(ナレッジ社内共有・資料作成)、商談で利用すべき資料のレコメンドや顧客への送付(ワーク商談推進・社外共有)、商談を成功させるための学習プログラムの提供(ラーニングノウハウ獲得やコース受講)を支援してきました。

しかし、これからは営業担当の商談後のプロセスをサポートするプロダクトも提供したいと考えています。

具体的には商談の議事録の自動作成やCRM/SFAの自動入力といった商談記録の分野の支援です。

そうすることにより、商談前から商談中・商談後までナレッジワークという一つのプロダクトで一気通貫した体験を提供することができるからです。

また、商談記録のデータを用いてナレッジやラーニングのレコメンドなども可能になります。

ナレッジワークのプロダクトラインナップに商談記録プロダクトが加わることになれば、営業担当の業務の効率・効果を劇的に向上させることができると考えています。

何故、商談記録プロダクトをM&Aしようと考えたのか?


2023年11月のシリーズBで45億円を資金調達した際には、3年で10個のプロダクトをリリースすることも同時に発表させて頂きました。

実は当初から自社開発だけではなく、M&Aも視野に入れていました。

その中でも私が商談記録と呼んでいる、商談の録音録画・書き起こし・要約・CRM/SFA自動入力の分野はM&Aにて進出したいと思っていました。(一般的には商談解析と呼ばれることの方が多いかもしれません)

ナレッジワークは営業支援=セールスイネーブルメントという新たなカテゴリーを作っています。

ナレッジワークが開発するほとんどのプロダクトに国内に先行プレイヤーがほとんどおらず、自ら新たな価値を生み出していかなければいけない難易度の高いプロダクトづくりに挑戦しています。

一方で、そんな営業支援=セールスイネーブルメントという新たなカテゴリーの中において、商談記録は珍しく国内に先行プレイヤーが複数存在している分野でした。

ナレッジワーク社内の開発リソースをすべて新しい分野に注ぎ、先行プレイヤーがいる分野の商談記録は M&Aで展開できれば理想的なマルチプロダクト展開ができると考えていました。

また、ナレッジワークは単にマルチプロダクトを展開するだけではなく、すべてのプロダクトをその分野で最も高い品質で届けたいと思っています。

しかし、既に先行プレイヤーが複数存在する商談記録の分野において、後発でNo.1クオリティを実現することは非常に難しいと感じていました。

そうした考えのもと、1年半前から商談記録の分野の M & Aの可能性を探っていました。

何故、今、商談記録プロダクトの M&Aなのか?


私は商談記録プロダクトの M&Aのタイミングについて、2つの要素をポイントとして定めていました。

①オフライン商談(訪問対面)の記録

商談記録プロダクトは米国ではGongなどのプレイヤーがARR300Mドル(約450億円)を超えるような実績を作っています。(米国ではRevenue Intelligenceというジャンルとして位置付けられています)

一方で、米国プレイヤーの飛躍に比べると、現段階で日本の商談記録の分野の市場の規模や成長はこれまでは限定的だったように感じます。

日本の大手企業の営業活動においては、オンライン商談(Web会議など)は米国ほど多くはなく、大多数がオフライン商談(対面訪問)です。

オンライン商談(IP電話やWeb会議)の記録については、様々な商談記録プロダクトが録音録画・書き起こしを提供していましたが、オフライン商談(対面訪問)では精度の高い録音・録画、書き起こしが技術的に難しかったのがこれまでだったと認識しています。

しかし、AIの進化により、オフライン商談(対面訪問)の録音・書き起こしも非常に高い精度で実現できるようになりました。

JamRollもスマホアプリによるオフライン商談記録(対面商談)も提供しています。


本 M&A のDDの過程において、既にJamRollのスマホアプリを通じてオフライン商談の記録に取り組んでいる大手企業様にインタビューをさせて頂きました。

オフライン商談(対面訪問)であったしてもほとんどの顧客がスマホアプリによる録音を許諾してくれて、90%近い商談で自動でしっかりと記録がされるようになったとのことでした。

技術面でも商習慣面でも、オフライン商談(訪問対面)の記録は一気に進む(進める)タイミングだと考えました。

②CRM/SFAへの自動入力

日本の営業部門が抱える大きな課題の一つがCRM/SFAの入力です。

おそらくほとんどすべての会社が「CRM/SFAがきちんと入力されていない」もしくは「CRM/SFAの入力に手間がかかりすぎている」という課題を抱えています。

こちらもAIの進化により、商談の録音・書き起こしがCRM/SFAに自動連携されるだけではなく、CRM/SFAの個別項目に一定のレベルで自動入力されるようになりました。

JamRollでも録音・書き起こし・要約のセールスフォースへの自動連携は勿論のこと、セールスフォースの商談画面の個別項目に一定のレベルで自動入力する機能がリリースされています。

CRM/SFAへの自動入力の機能により、日本の営業部門の大きな課題が解消されるチャンスが訪れています。

何故、Poetics社(JamRoll)なのか?①プロダクト


本 M&A のDDにおいては、プロダクトの検証に力を入れました。

結果として、JamRollは商談記録プロダクトとして精度面でも機能面でも最高のプロダクトであるという結論に達しました。

精度面については、OpenAIのWhisperと比べて日本語の音声認識において非常に高い精度を示しました。

機能面についても、オフライン商談記録(スマホアプリ)やCRM/SFAへの自動入力などを中心に素晴らしい機能を提供していました。

DDの過程で実際に自分が参加するオフライン・オンラインの商談をJamRollで記録したのですが、とても感動する体験でした。

単に商談のポイントが要約してあるだけではなく、「顧客の課題」「提案に対する印象」「決定事項」「ネクストアクション」「アドバイス(良かった点・改善できる点・改善方法)」「予算・権限・ニーズ・時期・競合・リソース」などが恐るべき精度で記載されていました。(これらの項目は顧客ごとにカスタマイズもできます)

私が進めたある商談の要約で、「改善できる点」に「顧客の現状(SalesForceの利用状況など)について、事前の情報収集が不十分だった点」と書いてあって心から反省しました(笑)。(商談で私がそのお客様のSalesforceの利用状況を間違って認識して話してしまっていた)

私たちが求めていたNo.1クオリティを実現できるプロダクトがそこにありました。

何故、Poetics社(JamRoll)なのか?②メンバー


JamRollを提供するPoetics社には優秀で魅力的なメンバーが沢山いらっしゃいました。

特に、大胆にAIシフトしているナレッジワークにとって、AIカンパニーであるPoetics社のAIプロダクトマネージャーやAIエンジニア、AIリサーチャーの存在は非常に心強いものでした。

私とCTO Mayahさん、Poetics社 CEO山崎さんで複数回プロダクトに関するミーティングを行ってきたのですが、僕が考えるプロダクト戦略、Mayahさんが考えるシステムアーキテクトに、山崎さんの持つAIプロダクトに関する知見・経験が合わさると、AIプロダクトの開発が今までの数倍の精度と速度で進む感覚を持てました。

Poetics社 CEO 山崎さんのプロフィール

あと、なんというか…シンプルに話が合うし、気が合う感じ。

山崎さんとは M&Aに至るプロセスの中で何度も対話を重ねてきました。めちゃくちゃ頭の切れる方で議論していてとても楽しいです。あと、一見クールなのですが、多分内心はとても熱い方。責任感の塊のような方。一緒に挑戦したいと心から思えました。

Poetics社 CEOの山崎さんには5月からナレッジワークの執行役員 CAIO(Chief AI Officer)に着任頂きます。

山崎さん以外のメンバーの方々も皆さんとても素敵で、一緒に働きたいと思える方々ばかりでした。

ナレッジワークメンバーにご挨拶頂いた時のPoetics CEO山崎さんとCOO吉田さん

何故、Poetics社(JamRoll)なのか?③ビジョン


そして何より大きかったのは、両社の掲げるビジョンが「セールスAIエージェント」にフルベットしたいという点で完全に重なったことでした。

セールスAIエージェントについては、大きな戦略から細かな打ち手に至るまでピタリと考えが一致しました。

そして、Poetics社のAI技術やデータに、ナレッジワークのマルチプロダクト・セールスイネーブルメントノウハウ・顧客基盤が加われば、セールスAIエージェントにおいて卓越した存在になれると確信しました。

共に描いているセールスAIエージェントシリーズの具体的な内容についてはまた別の場で発表させて頂きたいと思います。

何故、Poetics社(JamRoll)なのか?④コミット

最後はやはり、Poetics社 CEO 山崎さんとCOO 吉田さんの今回のM&Aへのコミットも大きかったです。

資金調達直後という難しいタイミングだったと思うのですが、株主・投資家の方々への説明や調整も意思を持って進めて下さいました。

私たちへの情報開示もリスクを取ってして下さいましたし、とてつもない大量のDD依頼もスピード感を持って進めて下さいました。

カウンターパートをしていた私やコーポレートマネージャーの古田の温度感もお二人の熱量と共に上がっていきました。

それが最初のコンタクトからわずか2ヶ月半でのM &A成立に繋がったと思います。

山崎さん・吉田さんに加えてコーポレートの中西さん、本当にありがとうございました!

今後に向けて


Poetics社・ナレッジワーク社にとって、共に初めての M&Aとなります。

お互いに不慣れな中でスピーディーに連携・統合を進めていかなければならないので、色々な壁にぶつかるはずです。

そうした壁を一つ一つ乗り越えて、一緒に挑戦するからこそ描ける未来を共に形にしていければと思います。


M &A発表直後のPoetics社メンバーと
ナレッジワークメンバーの懇親会

また、今回の M&Aが実現できたのはPoetics社の株主の皆様のご協力があったからです。

これまでPoetics社を支えてきて下さったこと、そして私たちの未来に向けたアクションにご協力下さり、本当にありがとうございました。改めて感謝をお伝えしたいと思います。

また、ナレッジワーク社の取締役会の皆様にも検討からDD、契約に至るまで様々なアドバイスとサポートを頂きました。
 
特に福山太郎さんには多大なるご支援を頂きました。そもそも本M&Aは福山さんがPoetics社CEO山崎さんを僕にご紹介下さったことからすべてが始まりました。検討や交渉、契約のプロセスにおいても鋭いアドバイスと温かいサポートを頂きました。

M &Aのサーチから実行までをサポートできるなんて、何て凄い投資家・社外役員なんだ…。自分も投資家や社外役員をやっているからこそ、その凄さが分かります。本当に感謝と尊敬しかありません。

Poetics社のメンバーとナレッジワーク社のメンバーで、顧客にとって、社会にとって価値のあるプロダクトを開発・提供してまいりたいと思います。

できる限り早いタイミングで、JamRollをナレッジワークに統合した形での商談記録プロダクトの販売・導入・運用をスタートさせたいと思います。

ナレッジワークのお客様にも積極的にご提案させて頂きます!導入しない理由がないレベルの圧倒的な機能と精度・製品連携・価格でご提案させて頂くつもりです!

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