見出し画像

地球外生命の手がかり、ついに発見:K2-18bにDMS検出

地球外生命体調査で、大きな進展があったので紹介します。

James Webb宇宙望遠鏡(JWST)の観測データから、ハイセアン惑星(広大な海洋と水素豊富な大気を有する惑星)K2‑18bで生命の痕跡が発見されました。

1年前に、その可能性について紹介した記事も載せておきます。今回はその可能性がほぼ確実になったと思ってください。

上記惑星の大気を観測した結果、地球上では海洋性微生物だけが生成するジメチルスルフィド(DMS)およびジメチルジスルフィド(DMDS)の吸収特徴が3σ(偶然の確率0.3%)レベルで検出されました​。また、別(JWSTには4種の分析機器が搭載)の伝送スペクトルからは、メタン(CH₄)と二酸化炭素(CO₂)がそれぞれ5σ(偶然の確率0.00006%)・3σの高信頼度で、体積混合比約1%で検出されました。
補足しておくと、惑星が恒星面を通過する際に大気を透過した恒星光のスペクトルから分子吸収特徴を読み取る技術と思ってください​。

以下より深堀りして解説しますが、概要なら、4/16に公開された下記動画もおすすめです。


新たな化学バイオシグネチャーの発見

  • K2‑18bは地球から約124光年離れた赤色矮星を周回し、ハビタブルゾーン(液体の水が存在し得る軌道帯)内に位置します​。

  • 惑星半径は2.6 R⊕(地球の倍数表記。以下同様)、質量は8.6 M⊕で、「ハイセアン惑星」と考えられています​。

  • 最新研究では、JWSTのMIRI(Mid‑InfraRed Instrument)による伝送スペクトルにDMSおよびDMDS特有の吸収特徴が捉えられました。地球上ではこれらは海洋性プランクトンなどによってのみ生成される分子です​。

  • 観測の統計的有意性は3σ(偶然の確率0.3%)であり、5σ到達が今後の課題とされています​。

  • 2023年には同じチームがNIRISS/NIRSpecでCH₄とCO₂を検出し、海洋下の化学モデルと整合的な体積混合比約1%を報告しています​。


理論モデルと方法論

  • 改めてハイセアン惑星とは、液体の水を含む広域海洋の上に水素(H₂)を含む大気をまとった仮説的な惑星群です​。

  • Nikku Madhusudhanらの論文「Carbon‑bearing Molecules in a Possible Hycean Atmosphere」では、JWSTのNIRISS/NIRSpecを用いた0.9–5.2 μmの伝送スペクトル解析手法を詳細に説明し、化学予測モデルと比較することでCH₄・CO₂・DMSの存在可能性を定量化しています​。

  • 研究チームは、海洋下でのフォトケミカル(光化学)モデルを構築し、生物が存在しない経路と生物起源シナリオの両方を検証することで、DMS/DMDS検出の解釈を厳密に行っています​。要は、地球生命での常識が地球外に適用されるかは誰にもわかりません。最近はそれを踏まえて別のアプローチもあります。詳細を知りたい方は下記記事で。


惑星探査への今後の展望

  • K2‑18bの基本パラメータは、質量8.92 M⊕、公転周期32.9日、恒星からの距離0.1429 AUです(発見は2015年)​NASA Science

https://science.nasa.gov/exoplanet-catalog/k2-18-b/
  • JWSTによる複数波長帯での連携観測(MIRI/NIRISS/NIRSpec)は、惑星大気中の複数分子種を同時に検出可能とし、観測戦略の有効性を示しました。

  • 大型地上望遠鏡(ELT、GMTなど)や将来の極軌道ミッションを組み合わせることで、さらなる高分解能分光や位相曲線観測が期待されます。研究チームは5σ検証に向け、追加のJWST観測時間確保を目指しています。

  • ESAのミッションARIEL(Atmospheric Remote‑sensing Infrared Exoplanet Large‑survey)は2029年打ち上げ予定で、1000個以上の系外惑星大気をトランジット分光法で一斉調査します。これにより、ハイセアン惑星の統計的研究が飛躍的に進展するでしょう。


いいなと思ったら応援しよう!