前進する量子テレポーテーション
Science America誌の2021/12/22に、「伝播するマイクロ波の実験的量子テレポーテーション(Experimental quantum teleportation of propagating microwaves)」と題した論文が発表されていました。
テレポーテーションと聞くと非科学的な印象を与えると思いますが、超ミクロな世界では普通に研究されており、よく「量子テレポーテーション」と呼ばれます。
一瞬で伝わることから「テレポーテーション」と名付けましたがざっくりとその仕組みについて説明します。
通常の物質なら、アインシュタインが唱えた相対性理論のとおり、光の速さが最も早い速度(秒速約30万km)ですが、超ミクロの世界ではそういった古典理論に従わない不思議な出来事が起こります。(余談ですがそのつじつまを合わせるための統合理論も提唱されています)
その1つに「量子もつれ」という不思議な現象があり、超ミクロな粒子間の不思議な相関を指します。
粒子がもつ情報の1つに、質量や速度とおなじように「スピン」という回転状態を指すものがあります。2つの粒子の間で「量子もつれ」状態と仮定し、片方のスピン状態が分かるともう片方のスピン状態も「光速を超えて」一瞬で分かるというものです。
ぱっとその結果が分かることから「テレポーテーション」と名付けられて、それを応用した量子情報理論の成果の1つが今回の論文につながります。
何となくもやもやしてると思いますが(この基礎学問である量子力学は決定論的な世界観を大きく変えました)、2019年にその「量子もつれ」の画像化に成功して話題を呼んでいます。
冒頭で紹介した論文は、マイクロ波の領域で量子もつれを利用したテレポーテーションを試み、ある程度信頼性のおける情報通信に成功したことを伝えるもので、より実用に近づいたかもしれません。
あくまで一瞬で伝わるのは「情報」で、我々のようなマクロな物質では適用されません。ただ、今後量子テレポーテーションの技術が実用化されると、より高速かつ安全な通信が実現されることは間違いないです。
