出版に憧れている人は知らないほうがいい。フリー歴6年で出版の夢が叶ってもなお、わたしはゼロ(愚か者)のまま。
「0のナンバーを持つタロットである「愚者」のカードは、スタートの前段階を暗示。無知だからこそ何でも創造できる力を表します。」
冷房も暖房もいらないけど、ときどき汗ばむ日もある。いい意味で5月らしい天気が続いている。GWが明けて翌週の、月曜夜21時半。今のわたしをそのまま表すような「ゼロ(愚か者)」のタロットカードを引いた。
2025年4月にわたしは初の書籍を出版した。「書く」仕事をする人なら誰もが一度は憧れる「出版」。わたしにとっても出版は漠然とした大きな夢であり、目標だったのだと思う。それがついに叶った。叶ってしまった。この世に生まれて34年。フリーランスになって6年以上経つ。執筆経験だって地味に5年以上ある。
出版に至るまでの経緯が長いのか、短いのかは分からないけれど。辛いことも経験したし、本を出版したらすべて報われるレベルだと思っていた。
それなのに。それなのにだよ。はじめての本を出版した今、うれしいですかと聞かれたら、言葉に詰まってしまう。うれしい?うれしいって何って思う。
発売前からずっと心に抱えていたのは、「本が売れなかったら、どうしよう……」という不安。そして、発売してからは「著者としてちゃんとした人にならなきゃ」「読者をがっかりさせたくない」という気持ち、プレッシャーが日に日に増している。
純粋にうれしい気持ちは「出版依頼」をもらった日がピークだったかもしれない。そのあとはただただ著者としての役割を全うするしかない。出版したあとのほうが、人生は実はハードモードなのである。
こんなはずじゃなかったと、こんなの聞いてない!ともうひとりの私が訴えている気がする。
人生って、どこまでがんばり続けたらいいんだろう?
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こんなわたしでも分かったのは、
夢が叶っても何事もなかったように日常が続いていて、わたしの本質だって何ひとつ変わらない。ってこと。
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わたしは夢が叶ったら、きっと特別な存在になれると、心のどこかで期待していたのかもしれない。いやいやそんなわけあるか~!って、ちょっと考えたら分かることなのにね。
本音をいえば、4月半ばからGWが終わるまで、本の発売日からもしばらく経ち、燃え尽きていたのもある。やりたいこと・やるべきことがないわけじゃないし、お仕事もゼロではない……けど、ぼんやり過ごす日が多かった。それがとても長く感じられて、もどかしかった。
せっかく夢が叶ったというのにただ停滞している自分が許せない。自分で自分にプレッシャーをかけている状態だった。
わたしはおとなしそうに見られるけど、本当はじっとしていられない性格で。はじめは自分に「待て待て落ち着け」「そんなに焦らんでも」と言い聞かせていたけど。
それじゃ何も変わらないし、変えられない。だから、もう目についたもの、思いついたものを片っ端から行動してやる!!と思って、スクールや資格取得の講座、コミュニティなどに申し込みまくった。
だって現実を変えるのは、行動だけだと思っているし、忙しくしていないと頭がおかしくなりそうだったから。
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そのタイミングでタロットを1枚めくってみたら、冒頭の通り「ゼロ=愚か者」のカードだった。
愚か者の解説には、「解放:崖を目の前に明るい空を見上げる若者は、自由に未来を思い描く明るい心の象徴」と書いてある。リスタートするぞと思いはじめたわたしに、相応しいカードかもしれない。
でも、「現状にぴったりのカードを引いた!」なんて喜ぶわたしのすぐ隣で、「ああやっぱり、目の前には高い高い「崖」があるのか」と。呆然とするわたしもいた。
何を成し遂げたとしても、わたしはわたし。「ゼロ(愚か者)」のままでいいですか?
本を出すような人は立派なんだと、自分が本を出すまではそう思っていた。今はどうだろう。わたしが何者でもないのは、わたしが一番よく知っている。わたしは立派じゃないし、本を出しても愚か者が似合ってる。
何をしようと、愚か者のままでいい、
ずっと愚か者のままでいたい。
それにわたしがこれからやりたいことって、「本を出版したのになんで?」「本を出した人がなんでここにいるの?」と理解されないことばかりかもしれない。
わたしはただの愚か者なのに、キラキラもしくはギラギラした目で見られるのもこわい。
キラキラ:わあ!この人が著者さんなんだ~!!みたいなピュアな眼差し
ギラギラ:お!こいつ、著者なのか。何か利用できないか…みたいな見定め
だけどもう、わたしはやりたいことをやると決めた。
たぶん「本を出版したのになんで?」「本を出した人がなんでここにいるの?」そう周りに言われることもあると思うけど、それで構わないし、なんとでも言ってくれ~って開き直るしかない。
だって、「わたし=ゼロ」なんだもん。
「ゼロ」の「わたし」がやりたいこと、興味のあることに素直にこれからも生きてみたい。出版した本のイメージとはぜんぜん関係ない仕事もしたいし、趣味もしたい。毎日を楽しみたい。そしてこれから、また何かを成し遂げたとしても、わたしはわたしだ。
