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違うまま、一緒に奏でる〜あの音が私を呼んだ〜



キーボードは優しく笑いかけてくる。ドラムは私を焦らせない。

実家から半分追い出された形で一人暮らしが始まった私。

ただただ一人で過ごす毎日がなんとなくつらくて、心がカラカラだった。

そんな乾いた心に優しい音のシャワーが降ってきた。

それは久しぶりに心が踊った瞬間だった。

長谷川くんのキーボード、松本くんのドラム、最高!



二人はひとつだけ、みんなと違う個性を持っていた。

知的障害。

障害があることより、私にとっては二人の奏でる音に癒されたという事実の方がずっと大きかった。



でも私は知ってる。

食事やトイレなど、日々の生活の一つひとつを身につけるために、彼らが私の見えないところでたくさん練習を重ねてきたこと。

お父さん、お母さんは心を鬼にして、彼らが他の人と同じように生活できるようにいろんなことを何度も何度も繰り返し教えてきたことを。



だからこそ、彼らが私たちと一緒に笑い合うたびに、両親の愛情を感じてたまらなくなるんだ。

それに、今を猛烈に生きてる彼らが愛おしい。



音楽でも二人はよくみんなからズレる。

ドラムはだんだん遅れるし、キーボードは一定のテンポではない。

その度に音楽の先生が飛んできて、隣で一緒に奏でながらフォローする。

それでもバンドの他のメンバーは動じない。

不思議とまとまってる。

これで良いんじゃないかな。



80歳のバンドの代表さんは言ってた。

「社会の中で生きてこそ安心して暮らせるんだ」って。

だから二人は、他の仲間も働いてる地元のカフェで働いてるよ。



やりたいことが決まりきらなくて森の中を彷徨っていた私は、ようやく一本の道を見つけた。

障害のある子どもたちが、自分らしく生きていくためのお手伝いがしたい。

気づくと、「療育」の門を叩いていた。

#創作大賞2026
#エッセイ部門
#バンド


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