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小説・ドラマ|嗤う過去⑨

<組織の車の後部座席に座る楓と渋川>


「久しぶりのドライブだね。うれしいよ俺は。」

「ん?後ろから小ネズミが追いかけてくるね。ごまかしているようだけど、俺にバレないわけはないからなぁ。はははは。」あざ笑うように笑う渋川。

<どうして追手なんか…湊はさっき別れたし、豊嶌さん…?(バックミラーを覗く)え!?山本!?一人で追いかけてきたの!?というかどうして私が乗車していることを。>

渋川の部下が座席のしたから銃を持ち出し、銃口を後ろを走る山本君に向ける。

「待て。お前がやれ」
冷やかす顔でにんまりとほほ笑み、楓に銃を渡す渋川。

「…。」

「これぐらい、お前には豆粒だろ。」

<パンッッ!!>


後部座席の窓から身を乗り出して、後ろは知る山本に弾を放つ。

「くっそっ!!!」山本の車のタイヤが波を描きながら停車した。

「か。楓先輩…。」

<やっぱり楓先輩は、10年前の事件の犯人なんかじゃない。こんな状況で、俺に当てずに、タイヤをパンクをさせるなんて。>

<そうこうしている間に、目的地に到着する>



連れてかれた車から降りると、見覚えのある建物の前についた。知らぬ間に涙があふれてきた。そう、ここは私の大好きだった場所。大好きなおじいちゃんの家なのだ。

「おかえりなさいませ若、沙羅お嬢。」

昔のように組員から挨拶されたことが懐かしい気がして、すこし嬉しくて、顔をあげたが、顔を知っている奴は一人もいなかった。

ふと、記憶がよみがえった。

<そうか、私の知る志那虎はもうこの世に存在しない。できないのだ。なぜなら、私が消してしまったから…。>

「久しぶりのお前の家はどうだ?」

「懐かしいか?そんな寂しげな顔するなって。お前が殺したんだから。」

<渋川の最後の言葉で、一瞬にして脳みそに激痛が走った。>

それは湊の家でなった状態と全く同じであった。思い出せそうで思い出せない記憶。でも、完全に思い出せば、なにか悪いことが起こるかもしれないという感じのする。

「はぁはぁはぁはぁ…」再び過呼吸になる。

「かわいそうに。まだ思い出せないんだろう?」
渋川があった時から一切態度を変えずに、からかってくる。やはり、渋川は何を考えているかはわからない。

<渋川が偽りの笑顔で、私に近づき、顔に触れる。>

「お前が俺と一緒になればその過去から逃れることができる」
楓の顔に触れながら、脅し、同意させようとする渋川。

<楓は、無言で渋川に反撃した。なにかあったときのために内ポケットに忍ばせていた、トリカブト。トリカブトを渋川の足の甲に突き刺した。>

「うっ!!!…お前なめやがって…」苦しむ渋川を冷酷な目で見つめる楓。


「…ふ。…はははははは」
さっきまで苦しんでいたはずの渋川が突然笑いだす。

「俺はもうそこら辺の草の毒なんて効かねえんだわ」
和室の掛け軸の下にあったガラスの花瓶を手にし、楓をめがけて歩き出す渋川。

「沙羅、思い出させてやるよ。」

~⑩に続く。


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