町おこしの不敬
町おこし…全国各地で様々な取り組みがされておりますけれど、大きな成果を挙げる事もあれば企画倒れに終わったり想定外のトラブルが起こった、なんて事例もある訳でありまして。
なみえ焼そばというのは、福島県浪江町商工会が青年部を中心に2008年から町おこしの一環で普及に力を入れ、13年にはご当地グルメの大会「B―1グランプリ」で優勝してぜんこくにその名を知られるようになりましたそうで。
で、この『なみえ焼きそば』という名称を巡っては、17年3月に商工会が商標登録を致します。
まぁ、有名になりますというと早いところ商標登録をしておかないと全く無関係な人間が勝手に登録を済ませてしまって名称が使えなくなるとか、使う度にロイヤリティーを支払わなくてはならなくなったりしますのでね。
しかしここからが問題で、商工会は普及活動の資金に充てたいとして、町内外約20の事業者に対し、今年10月、『なみえ焼きそば』を使うのであれば1社3000円の登録料の支払いと、その使用料として売り上げの2・5%の徴収業務を始めていたんであります。
ところが、弁護士から「飲食店内での提供物には商標権が及ばない」と指摘されたことから一転、徴収を取りやめて登録料を返還すると事業者に連絡しておりますそうで、使用料の徴収はこの時点で行われておりませんで……まぁ、最悪中の最悪は間一髪セーフだった訳ですな(p_-)
しかし道の駅などの物販については現行の商標登録で商標権が及ぶとして、支払いを求めるんだそうな。
さて、何がトラブルになったかと申しますと、2013年に発生した福島第一原発事故の4か月後から避難先の二本松市で「なみえ焼そば」の提供を続けてきた「杉乃家」さんというお店が、
「(使用料徴収に関し)事前に相談がなく残念だ」
として徴収に応じず、メニュー名を「杉乃家の焼そば」に変更した……これが代表例でありまして。
つまり商工会が商標登録を行った、ここまでは『なみえ焼きそば』を守る意味で理解を得られた訳ですが、ある日突然まるで“頭ごなしに”町おこしの資金にするから言うて、名称使用の登録と登録料・使用料を払えと、払わんと使わせんぞと。
町の皆が一丸となって作り、盛り上げ、守り続けて来た筈なのに、商標権という権利を得た瞬間に名称使用に関する主従関係へと分裂する事になった訳ですな。
商工会は杉乃家に対し「説明不足だった」と謝罪し、今月7日付で「『なみえ焼そば』に関する報道について」と題した文書をホームページ上で公開。杉乃家との問題は解決したとしているんですが……果たしてペコッと頭一発下げただけで、この亀裂が埋まりますかね?
「杉乃家」店主の芹川輝男さん(76)は謝罪を受け入れ、取材に対し「この件は解決したので、コメントはありません」と話してはおりますが、今後も「なみえ焼そば」の名称は使用せず、「杉乃家の焼そば」として提供していく考えを示したといいますから、これはまだ腸が煮えくりかえってるゾと雄弁に語っておりますな(p_-)
しかし、この『なみえ焼きそば』の騒動の構造的問題を考えますと、これ、あちこちの色んな組織で起こっている問題なんじゃありませんか?
つまり、権利を保持する者、権限を有する者、権力者が“下”に対して決定事項だけを一方的に突きつけ「これは決定だ!お前ら従え!!」とやる。
そこに根回しも段取りも一切無く、更にその“決定事項”とやらが円滑に実行され望むべき成果を挙げられる為の方法論もシミュレーションも無し。
……これ、実行させられる“下”の者達から見れば「エラい手抜きやな~」となって、やる気なんか起きる筈も無い。
全ては現場任せ、結果責任も現場が取れ!
何というか、親や先祖からの相続で何の苦労も努力もせずに金持ちになった“土地成金”が如く、本業で汗してその結果で偉くなったのではなく、上の人に媚びへつらい、権力闘争に打ち勝った現場知らずの『無能上司』の典型例ですわな。
今回の事例で言うなら、まずそれまでの町おこし活動の会計状況を広く開示し、だからこの活動を継続発展させるには資金が必要で、「協力してくれや!」の一言が必要。
そしていきなり徴収に踏み切るのではなく、事前に登録料やら使用料はこうしたいんだ、という“相談”をして了承を得なくては……そら寝耳に水でやられたら「中耳炎になってまうわッ!」怒りますわな(p_-)
もしかしたら、それまで町おこしで一丸となっていた分だけ、
「皆、分かってくれるだろう。言わなくても理解してくれてる筈だ」
という仲間意識に関して“悪い意味で”甘えがあったのかもしれませんが、この「分かってるだろう」ってのがヒューマンエラーの温床でありまして、組織を崩壊させる正に“蟻の一穴”である事を忘れてはならんのですがね(p_-)
