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5歳児、アルコール販売を議論する


クラスで作ったコストコ風スーパーごっこ。
ユキトコホールセールでは、
営業が終わると会議が開かれる。

今日の議題のひとつは、
試飲コーナーである。

保護者の感想カードに、
こんな一文があった。

「ノンアルビールをアルコールに変えてもらえて嬉しかったです」

…………。

いや、私は知らなかった。
店長も知らなかった。

聞き取り調査の結果、
フードコートの判断だった。
どうやら、
お客さんにお願いされて、
アルコールへ変更したらしい。
完全に独断である。

そこで会議になった。
「次からどうする?」
最初に出たのは、
「お願いされても変えない」
という意見。
なるほど。
ルールとしては分かりやすい。
ところが、
すぐに別の子が言う。
「でも、二回お願いされたら?」
すると会議は一気に揺れた。
「二回なら変えてあげよう」
「三回にしたら?」
「いや、ダメでしょ」
意見は真っ二つである。

そこへ誰かが言った。
「じゃあ、Mちゃんのお父さんだったら?」
あのお父さんである。
バックヤードへ侵入しようとし、
万引き未遂まで起こした、
ユキトコ要注意人物。

会議はさらに白熱した。
「変えてあげる」
「可哀想だよ」
「いや、ダメ」
誰も結論を出せない。

しばらく考えたあと、
店長が静かに言った。

「困ったら店長呼んで」

そして、
全員がうなずいた。
最終決定。

「店長がOKなら、アルコールに変更してもよい」

こうしてユキトコホールセールには、
アルコール変更サービスの承認制度が誕生した。

5歳児のスーパーには、
今日もひとつ、
店長の仕事が増えた。


Mちゃんのお父さんの話⬇️

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