Photo by
tofuaroyaroy
足元だけは夫に勝てる
同じ家に住んでいるのに
夫は、家具に足の小指をよくぶつける。
「いたっ!」
この声は、
我が家では珍しくない。
しかも一度や二度ではない。
昔、小指を骨折したことまである。
そこまでいくと、
家具との相性を疑いたくなる。
でも、不思議なのは家の中だけではない。
外を歩いていても、
「おっと」
「ガクッ」
ちょっとした段差。
ほんの小さな石ころ。
私は気にも留めないような場所で、
夫はよく足を取られる。
転ぶことはない。
でも、そのたびに体勢を立て直している。
私は横で思う。
「今、何があった?」
一方、私は、
家具に足の小指をぶつけることも、
段差や石ころで足を取られることも、
ほとんどない。
同じ家に住んでいる。
家具の配置も同じ。
同じ道を歩いている。
しかも、
夫のほうが昔から運動神経はいい。
走るのも速いし、
運動は私よりずっと得意。
なのに、
足元だけは真逆だ。
私は昔から、
歩くときに足元が自然と視界に入る。
夫は、
もっと先を見て歩いているのかもしれない。
でも、考えてみれば不思議だ。
同じ家に住んでいる。
家具の配置も同じ。
同じ道を歩いている。
なのに、
家具に足の小指をぶつけるのは夫。
段差で「ガクッ」となるのも夫。
私はほとんどない。
同じ景色を見ているはずなのに、
見えているものは違うのだろうか。
今でも理由はわからない。
ただ一つわかるのは、
リビングから今日も、
「いたっ!」
が聞こえてくるということである。
