絆創膏以外に守ってくれる、優しいヤツ — “くっつく包帯”

"くっつく包帯"をご存知だろうか。
海外では特別なものではなく、救急箱にも、スポーツ用品店にも、アウトドアショップにも、当たり前のように置かれている。
肌にはくっつかず、包帯同士だけが密着する。指先でも関節でも、ただ巻くだけでしっかり固定できる。その合理性と賢さは、いかにも海外らしい発想だと思う。
日本では、医療現場では使われていたようだが、生活用品として一般には流通していなかった。そのため、ちょっと気の利いたお土産としてよく買って帰っていた。
今ではドラッグストアでも見かけるようになった。
存在はしている。けれど、ひっそりと。
絆創膏の"主役感"には、まだかなわない。
なぜ、こんなに便利なのに広がらないのか。
おそらく、日本には「傷=絆創膏」という強いイメージがあるからだろう。子どもの頃から絆創膏に慣れ親しみ、包帯は病院のものという感覚もある。
加えて、欧米ほどテーピング文化が身近ではないことも影響しているのかもしれない。
こうした文化の違いが、そのまま普及の差になっているように思う。
では、”くっつく包帯”の何がすごいのか。
まずはその構造だ。包帯の表面に特殊な粘着加工がされていて、重ねて巻くだけで包帯同士がぴったりとくっつく。肌にくっつくわけではない。
テープも結び目もいらない。誰でも簡単に巻けて、失敗してもすぐに巻き直せる。ズレにくく、ほどけにくい。
粘着剤が肌に直接つかないため、剥がすときに痛みがない。ベタつきも残らず快適で、毛が抜ける心配もない。
敏感な部分にも使いやすく、かぶれにくい。通気性があるので長時間つけてても蒸れにくい。
伸縮性があるためひじやひざ、手首、足首、指といったよく動かす部位にもフィットする。
ほとんどがハサミ不要で、手で簡単に切れる。
そして実はこれ、ペットにも使える。柴犬の愛輝くんも、軟膏を塗ったあとの舐め防止にこの包帯をよく使っていた。
特徴をまとめると、こんな感じだ。
・テープ不要
・ズレにくく、巻き直しも簡単
・肌にやさしく、かぶれにくい
・通気性がよく蒸れにくい
・関節にもフィットする
・手で簡単に切れる
・ペットにも使える
あえて難点を挙げるなら、伸縮性があるぶん締めすぎてしまうこと。ただし、その場合もすぐに巻き直せる。そして、表面の素材の性質上、埃や糸くず、ペットの毛がつきやすい。
そんな"くっつく包帯"を久しぶりに使うことになった。右手の中指が、ひょう疽(そう)になったからだ。
昔から、疲れがたまると口唇ヘルペスか、ひょう疽一歩手前の状態になる。
抗生物質をのんで一度は落ち着いたものの、再び腫れと痛みが戻ってきた。そしてある朝、爪の際が黄緑色に変色していた。それが膿みであり、ばい菌に感染したひょう疽(そう)という状態だ。その状態まで悪化したのは今回が始めてだ。
皮膚科で針を使って膿を出してもらうと、痛みはすぐに軽くなったが、しばらくは塗り薬とガーゼでの保護が必要になった。
毎日のガーゼ交換が少し大変で、自分で処置することにしたとき、思い出したのが"くっつく包帯"だった。
軟膏を塗った指に巻いてみると、やっぱり便利だった。腫れた指にもやさしくフィットして、しっかり固定される。
軟膏をたっぷり塗っても問題なく使えるのは、絆創膏にはない強みだと思う。
”くっつく包帯”は、ただの包帯ではない。
ニッチな存在ではあるけれど、用途がハマると絆創膏より便利になる。
家庭の救急箱にひとつ入っていると、いざというとき、きっと助かる頼もしいアイテムだ。
もし見かけたら、ひとつ試してみてもいいかもしれない。
トラブルが起こらないことが、一番だけれど。
