「聞きたいことを聞く」だけで終わっていませんか?相談支援で「半構造化面接」という選択肢を大切にしたい理由
相談支援の現場において、「構造化面接」は非常に便利な手法です。
あらかじめ準備されたリストに沿って、必要な情報を漏れなく、効率的に聞き取っていく。支援する側からすれば、「聞きたい情報を確実に取得できる」という大きなメリットがあります。
しかし、ふと立ち止まって考えてしまいます。
その時間は、相談者にとってどんな意味を持っているのだろうか、と。
効率の裏に潜む「アンケート」の感覚
構造化された面接は、ともすれば相談者にとって「ただ質問に答えるだけの時間」になりがちです。まるで、役所の窓口で淡々とアンケートに回答しているような感覚に近いかもしれません。
支援者が一方的に情報を吸い上げるだけでは、相談者の心には何が残るのでしょうか。
「気持ちを受け止めてもらえた」という癒やしや、抱えていた問題が一つ解決に向かうといった「実利」が伴わなければ、それはただ貴重な時間を提供してもらっただけに過ぎないのではないか。そんな危惧を感じるのです。
情報を集めること自体が目的になってしまい、相手を置き去りにしてしまう。これは、支援者が陥りやすい「効率化の落とし穴」だと言えます。
支援のプロとして、どんな「価値」を届けるか
せっかく時間をいただくのであれば、その場で何らかの「価値」を提供することが、聞く側としての責任ではないかと思うのです。
単に事実を確認するだけでなく、対話の中でこぼれ落ちた「困りごと」に耳を傾ける。
「それは大変でしたね」と過去の経験を受け止め、共感する。
あるいは、対話を通じて今後の解決に向けた小さなヒントを一緒に探り、深掘りしていく。
こうしたプロセスがあって初めて、相談者の方も「話してよかった」と感じてくれるのではないでしょうか。
「半構造化」というしなやかな選択
そこで私が大切にしたいと考えているのが、カチッとした構造化面接よりも、少し柔軟性を持たせた「半構造化面接」というアプローチです。
聞くべき骨子は持ちつつも、相手の話の流れに合わせて柔軟に枝葉を広げていく。
そうすることで、事前のリストにはなかった本音や、新しい展望が自然と引き出されることがあります。この「遊び」の部分にこそ、対話の発展や価値が宿るのだと思います。
共通のゴールを見失わないために
もちろん、柔軟であることと「行き当たりばったり」であることは違います。
お互いにとって有意義な時間にするためには、事前の「合意形成」が欠かせません。
「今日は〇〇のための聞き取りです」
「目的は、今後の支援をより良くするためです」
「お時間はこれくらいを予定しています」
面談を始める前に、こうした目的や着地点、時間配分を丁寧にすり合わせておく。お互いに見通しを持つことで、相談者も安心して心を開く準備ができるのだと思います。
チェックリストを埋めることの先にある、相手の人生に資する対話へ。
効率と共感のバランスを、いつも問い続けたいものです。
