序章:なぜ今、カーボン・ダイエットが必要なのか
「今日から絶対ダイエット!」
鏡に映った自分のお腹のお肉をつまみながら、私たちは何度この誓いを立てたことでしょう。クローゼットの奥に眠る「いつか着られる日を夢見て」取っておいた小さいサイズの服。インスタで見かける「#朝だけヨーグルト生活で−10kg!」の投稿に、ついつい「いいね」を押してしまう自分。
そして翌日、デスクで同僚から「新作のプリンめっちゃ美味しいよ〜」と差し出されるスプーン。「まぁ、明日からダイエットすればいいか…」と、あっさり心が折れるのです。
実はいま、企業も同じような「ダイエット宣言」の真っただ中にいます。
「2050年までにカーボンニュートラルにします!」
この企業版ダイエット宣言、個人のダイエット同様、初日の意気込みとは裏腹に三日坊主で終わりがちなのが現実です。でも、健康のために(そして来月の同窓会で「キレイになったね!」と言われるために)本気でダイエットに取り組まなければならないように、企業も地球環境のために(そして取引先や株主から「素晴らしい取り組みですね」と言われるために)本気で「カーボン・ダイエット」に取り組む必要があるのです。
ダイエットあるある大会—企業の脱炭素に通じる爆笑と涙の共感ポイント
「自分、デブじゃないと思ってた」症候群
「あれ?この写真、私こんなに太ってたっけ?」友達との集合写真で、自分だけ顔が一回り大きくて愕然とする経験、ありませんか?「いつの間にか…」というのが、ダイエットあるあるの第一歩。
企業の脱炭素でも「うちは環境に優しい企業だと思ってた」という自己認識と、実際のCO2排出量データとのギャップに愕然とするケースが多発しています。「測ってみたら想像以上だった…」というショックは、個人も企業も同じなのです。
「とりあえず体重計を隠す」逃避行動
体重計に乗るのが怖くて、「壊れてるかも」「電池切れかも」と言い訳して乗らなくなる。あるいは「朝だと軽く見えるはず」と測定条件を厳選する…そんな逃避行動、一度はやりませんでしたか?
企業も同様に「うちはサービス業だからCO2排出量は少ないはず」「測定方法が確立されていないから後回しに」と、排出量の測定そのものから逃げがちです。でも、目をつぶっても現実は変わらないんですよね…(ため息)。
「○○ダイエットに挑戦!(3日目)」の壮絶な歴史
「バナナだけダイエット」「炭水化物抜きダイエット」「〇〇式ダイエット」…次々と新しい方法に手を出すものの、どれも三日坊主で終わる壮絶なダイエット遍歴。そして「これが最後の挑戦!」と言いながら、また新しいダイエット法を調べている自分がいる…。
企業の担当者も「今年はLED化で省エネ」「やっぱり太陽光発電だ!」「いや、カーボンオフセットが手っ取り早い」と、次々と方法を変えながらも結局どれも中途半端になりがち。「今度こそ本気の脱炭素!」と宣言する担当者の目が、どこか虚ろなのはなぜでしょう…。
「なんでこんなに食べちゃうんだろ…」自己嫌悪の夜
「今日は絶対我慢するぞ!」と決意した矢先、ストレスで爆食い。そして深夜、空になったポテチの袋を前に「なんで自分はこんなにダメなんだろう…」と自己嫌悪に陥る。このループから抜け出せない自分を責めながらも、翌日のランチでは「デザートつけちゃおっかな♪」と明るく注文してしまう…。
企業も同様に「省エネに取り組むぞ!」と決意した直後に新製品開発で電力使用量が増加。「仕方ない、ビジネスだから…」と自分を納得させつつも後ろめたさを感じる複雑な心境。この葛藤、社内で語り合える仲間はいるのでしょうか…。
「痩せたら買う服リスト」だけは充実
実際のダイエットの進捗はさておき、「痩せたら着たい服リスト」や「痩せたら行きたいビーチリゾート」の画像コレクションだけは着々と増えていく不思議。「まずは目標設定が大事!」と自分を励ましながら、また新しいファッション誌をチェックしている…。
企業の脱炭素計画も同様に、華やかな「脱炭素宣言」や「2050年ビジョン」の資料作成に多大な労力を費やす一方で、地道な削減活動はこれからという会社が少なくありません。PowerPointだけが立派になっていく現実に、どこか心当たりはありませんか?
「友達は痩せてるのに…」比較の悲しみ
SNSで友人の「−8kg達成!」投稿を見ながら、自分は1kg減らすのにも一ヶ月かかる現実に打ちひしがれる…。「彼女と私、何が違うんだろう?」と考え込む夜。
企業の担当者も同業他社の「RE100達成!」「SBT認定取得!」のニュースを見ながら、自社の取り組みの遅れに焦りを感じています。「同じ業界なのに、あの会社はなぜあんなに進んでいるんだろう…」というため息が聞こえてきそうです。
「痩せたね!」が最高のご褒美
数ヶ月頑張った後、久しぶりに会った友人から「痩せた?」と言われた時の喜びといったら!モチベーションが一気に上がり、「やっぱり頑張って良かった!」と思える瞬間です。たとえそれが単なる社交辞令だったとしても…。
企業も同様に、些細な脱炭素の取り組みが顧客や投資家から評価されると、「やっぱり環境対応って大事なんだ!」とモチベーションがアップします。小さな成功体験が次の一歩を踏み出す原動力になるのは、個人も企業も変わりないのです。
「分かってるけど痩せられない」から「楽しみながら変わる」へ
「痩せなきゃいけないのは分かってる。でも、美味しいものを我慢するのはツラい…」
「健康のために運動した方がいいのは分かってる。でも、仕事で疲れて帰ると、ソファから動けない…」
このような言い訳と後悔の間で揺れ動く私たちの姿は、企業の脱炭素への姿勢にも見事に反映されています。
「環境対応が必要なのは分かってる。でも、コストがかかるし…」
「将来のためには投資すべきなのは分かってる。でも、今四半期の業績が…」
かくいう私も、「今度こそダイエット」と決意しては挫折し、また決意するという無限ループを何度繰り返したことか。ジムの年会費は払ったのに、行ったのは最初の2週間だけ。買ったプロテインは賞味期限切れ。ダイエットアプリのサブスクだけは毎月引き落とされている…という"痛い"経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
でも、最近気づいたんです。「辛いダイエット」より「楽しい健康習慣」のほうが続くってことに。無理な食事制限よりも、美味しくてヘルシーな選択肢を見つける。キツいジム通いよりも、友達とのテニスや散歩を習慣にする。「我慢」ではなく「選択」として捉えると、不思議と続けられるんですよね。
企業の脱炭素も同じです。「コスト増の我慢」と捉えるか、「新たな価値創造のチャンス」と捉えるかで、取り組み方が大きく変わります。
私がスタバでフラペチーノをやめて抹茶ラテに変えたように(カロリー半分なのにほぼ同じ満足感!)、企業も高効率設備への切り替えでエネルギーコストを削減できます。
週末のだらだらNetflixタイムを友達とのヨガクラスに変えたら、むしろ充実感が増したように、企業も環境配慮型の新事業展開で新たな顧客層を獲得できるかもしれません。
「カーボン・ダイエット」—本書の視点
本書では、企業のCO2排出削減の取り組みを「カーボン・ダイエット」として捉え、個人の健康管理との類似点を活かしながら実践的な知識とノウハウを提供していきます。
ダイエットが次のようなステップで進むように:
現状把握:「えっ、体重計の数字、見間違いじゃない…?」とショックを受ける
目標設定:「同窓会までに絶対5kg痩せる!」と無謀な宣言をする
情報収集:「今年流行りのおからダイエットって本当に効くの?」と検索する
計画立案:「よーし、毎日1万歩と糖質制限と週2回ジム!」と気合を入れる
実行と挫折:「あ、今日疲れてるからジムは明日でいいか…」と早くも妥協する
計画修正:「いきなり全部は無理だわ。まずは間食をやめることから始めよう」と現実的になる
習慣化:小さな成功を重ねるうちに、少しずつ生活習慣が変わっていく
企業の脱炭素も、似たようなステップを踏むことになります。本書では、各ステップでの「あるある失敗」と「意外と効く対策」を、ダイエット経験者なら思わずうなずける例えとともに紹介していきます。
本書の読み方
この本は、「ズボンがきつくなってきたけど、何から始めればいいか分からない…」という方にも、「うちの会社、CO2削減って言われたけど、何すればいいの?」という方にも、同じように役立つ内容となっています。
特に以下のような方におすすめです:
「脱炭素って言われても、うちの会社に何の関係が?」と思っている方
「環境担当になったけど、前任者から引き継いだファイルが山積み…」と途方に暮れている方
「社長が突然『うちもSDGs対応しよう!』と言い出して困っている方
「同業他社は何か始めてるらしいけど、うちは出遅れてる…」と焦っている方
ダイエット本を読みながら「あるある〜」とクスッと笑えるように、この本を読みながら「うちの会社まさにそれ!」と膝を打ち、でも読み終わる頃には具体的な一歩を踏み出せる—そんな一冊を目指しました。
さあ、いよいよカーボン・ダイエットの旅を始めましょう。ダイエットの失敗と再挑戦を繰り返してきた私たちだからこそ、脱炭素という新たなチャレンジも乗り越えられるはず。
「今日こそジム行くぞ!」と思いながらエレベーターに乗る私たちの心の声が聞こえてきそうですが、それでも諦めずに一歩ずつ前に進む—それが人間の、そして企業の素晴らしさではないでしょうか。
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