【設計図】僕らのゾンビ生活:ゾンビ2日目
■この作品について

「知能はほぼゼロ、だが愛はある。」
密室に閉じ込められた、
ゾンビになった男二人の共同生活。
そして隣の部屋で暮らす、
女性ゾンビ・なっちゃんの日常。
この作品では、
・ゾンビを“怖い存在”として描きすぎない
・“変な隣人”として見せる
・セリフなしでも成立させる
・音と間で空気を作る
・“壊れた日常”として描く
ことを強く意識しました。
特に今回は、
“ホラー”ではなく、
「ゾンビなのに普通に生活している」
という、
このシリーズ独特の空気感を固めることを目的にしています。
また、
・どこまで説明を削るか
・どこまで観客に発見させるか
・どこまで“ズレ”だけで成立させるか
・どこまで日常を優先するか
を、
かなり細かく設計しています。
特に今回は、
・掃除
・花に水をやる
・思い出し笑い
・オナラ
など、
本来ならどうでもいいことを、
真面目に積み重ねることで、
「ゾンビになっても、生活だけは続いている」
という空気を目指しました。
■登場キャラクター
晴男

トオル

なっちゃん

▶︎作品はこちら
https://youtu.be/8fy_L5ueRUo
■今回意識したこと
・セリフなしでも成立すること
・ゾンビを“モンスター”ではなく“壊れた人間”として描くこと
・ホラーへ寄せすぎないこと
・“怖い”より“少し変”を優先すること
・効果音で笑わせすぎないこと
・説明ではなく“違和感”で見せること
・観客が後から理解する設計にすること
・生活感を壊さないこと
特に今回は、
「ゾンビアニメ」
ではなく、
「変な共同生活」
として成立するかを、
かなり意識していました。
※ここから設計図です(設計図は制作時のものを、ほぼそのまま掲載しています)
※完成版では、ここから
・カットを削る
・間を伸ばす
・音を整理する
・説明を減らす
・視線誘導を調整する
などの修正を行っています。
※「削るカット」と書いているものは、編集段階で不要になる可能性がある前提で設計していたカットです。
Scene1 なっちゃんゾンビの部屋
※役割:ゾンビ化した世界の“日常”を提示する
カット1. マンション外観
■内容
なっちゃんの住むマンション外観。
晴男とトオルの部屋も同じマンション内にある。
少し荒れた気配はあるが、崩壊世界には見せすぎない。
時刻は天気の良い昼。
■カメラ
・エスタブリッシングショット
・ワイド
・固定
・日差しは明るい
・外観に少しだけ荒れた要素を入れる
■演技
なし。
■演出
閑静な住宅街の環境音。
遠くから掃除機の音がかすかに聞こえる。
怖くしない。昼の生活感を優先する。
■意図
1日目の密室感から、世界が少し広がったことを示す。
ゾンビになっても“生活”は続いている。
カット2. 掃除機をかけるなっちゃん
■内容
なっちゃんが機嫌よく掃除機をかけている。
部屋は整理されており、女性らしい小物が多い。
ピンク系の小物や柔らかい色味で、なっちゃんの性格を出す。
■カメラ
・ミディアムワイド
・固定
・部屋全体の整理された雰囲気を見せる
・なっちゃんを中心に置く
■演技
・機嫌よく掃除している
・動きは軽い
・怖がっていない
・ゾンビだが、生活動作は自然
■演出
掃除機の音をしっかり入れる。
壁の向こうから何か聞こえているが、掃除機音でかき消される。
観客にも「何か鳴ってる?」程度で十分。
■意図
なっちゃんの“普通の日常欲”を提示する。
この子は怖がる側ではなく、生活を続けたい側。
カット3. 掃除機を止める
■内容
なっちゃんが掃除機を止める。
ふぅ……と汗を拭う。
表情は晴れている。
その瞬間、壁の方から不気味だが間抜けな笑い声が聞こえる。
なっちゃんは壁に背を向けたまま、目だけを横に向ける。
■カメラ
・ミディアム
・固定
・なっちゃんの背中と顔の横目を見せる
・壁を画面内に入れる
■演技
・達成感のある表情
・笑い声に気づく
・驚きすぎない
・目だけで確認する
■演出
掃除機音が止まった瞬間、晴男の笑い声が聞こえる。
笑い声は怖くしない。
「ぐふ……ぐふふ……」のような、気持ち悪いが少し間抜けな音。
■意図
生活音が止まった瞬間に異常が浮かぶ。
ただし恐怖ではなく、“変な隣人感”として見せる。
カット4. 壁から顔を出している晴男
■内容
なっちゃんの肩越し。
左奥の壁から晴男ゾンビの顔が生えている。
晴男は何かを思い出して、ぐふぐふと笑っている。
ほっぺたが少し揺れている。
■カメラ
・OTS
・なっちゃんを手前に大きく入れる
・左奥の壁に晴男
・なっちゃんが画面半分程度
・晴男へゆっくりズーム
■演技
・晴男は思い出し笑い
・なっちゃんは固まるが、怖がりすぎない
・目だけで晴男を見る
■演出
晴男の笑い声は小さく、しつこく。
怖さではなく、意味不明な気持ち悪さ。
効果音は軽め。
■意図
今回のコメディの核を提示する。
“壁から顔が出ている”という異常を、日常の中に置く。
カット4-1. 隣のトオルの部屋
■内容
トオルの部屋。
晴男の頭が壁にめり込んでいる。
晴男はピクピクしながら笑っている。
トオルはそれを不思議そうに見ている。
■カメラ
・ワイド
・固定
・晴男の体と壁の関係が分かる構図
・トオルは少し離れて立つ
■演技
・晴男は体を大きく動かさない
・小刻みに笑う
・トオルは首を少し傾げる
・理解していない
■演出
部屋の音は薄い。
晴男の笑いだけが変に響く。
トオルの反応は遅い。
■意図
なっちゃん側から見た異常の“裏側”を見せる。
壁を挟んだ二部屋構造を観客に理解させる。
カット5. 晴男の思い出し笑いから回想へ
■内容
壁から顔を出した晴男のリアクションショット。
晴男はまだ思い出し笑いをしている。
カメラが少し上に抜けるように動き、回想へ入る。
■カメラ
・晴男のミディアムCU
・固定からゆっくり上方向へ
・回想に入る直前だけ少し浮遊感
■演技
・晴男はぐふぐふ笑う
・目の焦点は合っていない
・楽しい記憶だけが残っている感じ
■演出
笑い声を残したまま、回想へ接続する。
切り替えは派手にしない。
“思い出した”ではなく、“勝手に脳が飛んだ”感じ。
■意図
晴男の笑いの原因を回想で提示する。
ここから一時的にゾンビになる前の世界へ移動する。
Scene2 大型電気屋
※役割:晴男の記憶の中にある“どうでもいい異物”を見せる
カット1. 大型電気店の外観
■内容
大型電気店の外観。
世界がまだ正常だった頃。
人の流れもあり、明るく普通。
■カメラ
・エスタブリッシングショット
・ワイド
・固定
・昼の明るさ
■演技
なし。
■演出
店内のざわめき、外の交通音。
ここは不穏にしない。
普通の世界として見せる。
■意図
現在のゾンビ日常との対比。
“しょうもない記憶”が晴男の頭に残っていることを見せる。
カット2. 商品の場所を聞く晴男
■内容
困った顔の晴男が、チラシを店員に見せて商品の場所を聞いている。
セリフは聞かせない。
晴男は少し情けない表情。
■カメラ
・男性店員の肩越し
・晴男にピント
・背景は少しブラー
・ミディアム
■演技
・晴男はチラシを見せる
・眉を下げる
・少し頼りない
・店員は普通に対応
■演出
店内音は自然。
会話内容は聞かせない。
口元の動きだけで状況が分かるようにする。
■意図
晴男の人間時代の情けなさを見せる。
ここでキャラの愛嬌を出す。
カット3. 店員が案内する
■内容
店員が片手を上げ、「こちらにどうぞ」と案内するように笑う。
晴男は素直についていく。
■カメラ
・晴男の肩越し
・店員を中心に置く
・店員の首元へ少しだけ意識が向く構図
■演技
・店員は笑顔
・晴男は安心する
・店員の動きは普通
■演出
ここではまだ違和感を強調しない。
ただし首元に視線が行くよう、カメラを少しだけ寄せる。
■意図
次のインサートへの視線誘導。
晴男がなぜ笑っているのか、そのしょうもない原因を準備する。
カット4. 店員の首元インサート
■内容
店員の首元。
大きなイボのようなホクロがある。
そこから毛が1本だけ生えている。
その毛が空調の風でそよいでいる。
■カメラ
・CU
・インサート
・固定
・寄りすぎない
・毛の動きが分かる程度
■演技
なし。
■演出
毛が一度だけ、ふわ……と揺れる。
音は入れない、または極小。
気持ち悪くしすぎない。
“どうでもいいのに忘れられない”感じ。
■意図
晴男の思い出し笑いの原因。
ゾンビになっても残っている記憶が、しょうもないものであることを見せる。
Scene3 なっちゃんの部屋
※役割:回想から現在へ戻り、“変な共同生活”を日常として確定する
カット1. 現在の晴男へ戻る
■内容
Scene1-5の晴男へ戻る。
回想へ入った動きを逆再生するように、現在の壁から顔を出した晴男へ戻る。
■カメラ
・晴男のミディアムCU
・上方向の動きから戻る
・壁に顔が出ている状態へ復帰
■演技
・晴男はまだ笑っている
・笑いの理由は観客だけが分かっている
・本人は深く理解していない
■演出
回想の店内音が消え、部屋の静けさに戻る。
笑い声だけが残る。
■意図
しょうもない記憶と現在の異常を接続する。
晴男のキャラを強める。
カット2. 花に水をあげるなっちゃん
■内容
なっちゃんがため息をつき、小さな植木鉢の花に水をあげている。
綺麗な花が数本ある。
左奥の壁には、晴男の顔が少し見えている。
■カメラ
・ミディアムワイド
・固定
・なっちゃんと花を中心
・左奥に晴男を小さく入れる
■演技
・なっちゃんは呆れ気味
・でも完全には嫌がっていない
・花には丁寧に水をあげる
■演出
水の音は綺麗に。
晴男の笑い声はまだ少し聞こえる。
なっちゃんの日常欲を崩さない。
■意図
なっちゃんの“平和に暮らしたい”欲を見せる。
異常の中でも自分の生活を続けるキャラとして立てる。
カット3. 植木鉢の水インサート
■内容
小さな植木鉢に綺麗な水がかかる。
花は穏やかに揺れる。
その裏で晴男の笑い声がまだ聞こえる。
直後、ぶうううう……と大きなオナラの音。
■カメラ
・CU
・インサート
・固定
・水と花を綺麗に見せる
■演技
ゾンビ感染を仄めかす、少しの手の震え
なし。
■演出
綺麗な水音。
水をこぼしてしまう
その直後に大きなオナラ音。
音の落差でコメディにする。
汚くしすぎず、少し乾いた音でも良い。
■意図
美しい日常を、しょうもない音で破壊する。
今回のコメディのピークへ入る。
カット4. 静止する部屋
■内容
なっちゃんの部屋のロング/マスターショット。
晴男もなっちゃんも一瞬止まる。
部屋がシーンとする。
少しして、隣の部屋からゴトッと何かが倒れる音がする。
■カメラ
・ロングショット
・固定
・なっちゃんと壁の晴男を同時に見せる
・動かさない
■演技
・なっちゃんは止まる
・晴男も止まる
・間を置く
・二人ともすぐには反応しない
■演出
オナラ音の後、0.5〜1秒程度の静寂。
その後、隣からゴトッ。
ここは音の間が命。
■意図
意味が追いつかない空白を作る。
その後のトオル部屋オチへの前振り。
カット5. なっちゃんのリアクション
■内容
なっちゃんが笑顔で鼻をつまむ。
「くさーい」と言っているように手をふりふりする。
セリフはなし。
■カメラ
・リアクションショット
・ミディアム
・固定
・表情が分かる距離
■演技
・鼻をつまむ
・笑っている
・怖がっていない
・少し楽しんでいる
・手を軽くふる
■演出
音は軽く。
手の動きに小さなコミカルSEを入れても良い。
やりすぎない。
■意図
なっちゃんがこの異常を“生活の一部”として受け入れていることを示す。
このシリーズの空気を決める重要カット。
カット6. 晴男の照れリアクション(削る候補)
■内容
晴男の顔が少し赤くなり、照れて笑っている。
なっちゃんは鼻をつまみながら笑っている。
■カメラ
・ワイド
・固定
・晴男となっちゃんを同フレーム
■演技
・晴男は照れる
・なっちゃんは笑っている
・二人の間に妙な空気がある
■演出
ここは入れる場合、かなり短く。
長くすると説明になる。
照れは一瞬で十分。
■意図
晴男の愛嬌を補強する。
ただし、5のリアクションと情報が重なるため、編集時に削る可能性あり。
カット7. トオルの部屋のオチ
■内容
隣のトオルの部屋。
晴男のお尻の下で、トオルが仰向けに倒れている。
トオルはカンチョウのポーズをしたまま固まっている。
晴男のオナラが直撃したことが分かる。
■カメラ
・ワイド
・固定
・晴男とトオルを同フレーム
・状況が一瞬で分かる構図
■演技
・トオルは倒れている
・手はカンチョウの形
・動かない、または少しだけピクッ
・晴男は肩を震わせて笑っている
■演出
音は極力少なく。
倒れた後の余韻を短く置く。
追加の説明音は入れない。
観客が見て理解するオチにする。
晴男のお尻らへんからカメラを引いてトオルを移す、効果音
■意図
トオルのキャラを“巻き込まれ役”として確定する。
晴男のバカさ、なっちゃんの日常、トオルの被害が一本に繋がる。
今回の最終オチ。
なっちゃん、晴男の二人の笑い声
End
今回の設計意図
ゾンビ2日目は、事件を大きく進める回ではない。
目的は、ゾンビになった男二人と隣人なっちゃんの“変な日常”を成立させること。
1日目が「破断」と「始まり」なら、
2日目は「生活化」。
怖いゾンビではなく、
近所にいる変なゾンビたち
キャラを好きになってもらうため、
今回は大きな物語よりも、
・晴男のしょうもなさ
・トオルの巻き込まれ感
・なっちゃんの受け入れ方
を優先する。
この回でシリーズの方向性を、
“ゾンビなのに日常”
として固定する。
▶︎作品はこちら
https://youtu.be/8fy_L5ueRUo
