本と『対話』する
「たくさん本を読もう」
「効率よく本を読もう。」
書店に行くと、こういうハウツー本が溢れている。
私も、一時期本をたくさん読もうと思って、「本の読み方」のような本を何冊か買ったことがある。しかし、それは無意味であった。
この本は、多読を進めていない。むしろ、多読に対して批判的だ。
本を読むとは、自分の頭ではなく、他人の頭で考えることだ。たえず本を読んでいると、他人の考えがどんどん流れ込んでくる。これは、一分のすきもなく完璧な体系とまではいかなくても理路整然たる全体像を展開させようとする、自分の頭で考える人にとって、マイナスにしかならない。
時々、自分の本の読み方を再確認することがある。その時に参考にしている本だ。以前、この本を紹介した記事を書いた。
そして、時々引用している評論家福田恆存(つねあり)も『私の幸福論』の中でこう言っている。
本は距離を置いて読まねばなりません。早く読むことは、自慢にはならない。(中略)本を読むことは、本とまたその著者と対話をすることです。本は問うたり、答えたりしながら読まねばなりません。
本の作者と『対話』する。
私が行っているのは、ノートへの抜き書きだ。
この抜き書きを始めて、1年半経つ。こんな感じで書いています。汚くてゴメンなさい。

この効果は、絶大だ。
一度読んだ本でも、こうして抜き書きするだけで、「自分は、こういうところに共感したのか~」と後で見返すことができる。それだけではない。
自由自在に引用ができるようになった。
自分の主張だけだと、意見として弱い。そこで、こういった古典を引用することで、自分の主張が引き立つようになった。
抜き書きした本はこちらの本だ。
作者は、思想家の柳宗悦(やなぎむねよし)。「工藝(こうげい)ってこんなに美しいんだよ!」と、一般の人に広めた人だ。読み終わって、早速Twitterであげた。
<読書TwitterNo.2 『工藝(こうげい)の美』柳宗悦(やなぎむねよし)著>
— コジ@昭和歌謡を愛するサラリーマン (@koji202207) October 30, 2022
工藝美の特質は「親しさ」の美である。器物は日々共に暮らす性質をもつ故、自(おのず)から親しさの美が要求される。 230頁より
この本を読んで、 #草々 さんで感じた感覚は、この感覚か!と思いました。#うつわ pic.twitter.com/25HcoZ6Ymc
この本を読んで、日々使う器に愛着が持てるようになった。本の効果恐るべし。
本を抜き書きすることで、読むスピードは遅くなったかもしれない。しかし、それ以上に一冊の本としっかり向き合う、『対話』できるようになった。一行、一行の文章が、自分の体の中に染み渡ってくるのを実感できた。
古典に限らず、エッセイ、小説等ジャンルは問いません。自分が、「この本の作者と『対話』してみたい!」と思える本から、気になった文章を抜き書きしてみることをオススメします。
何かが、変わるかも知れませんよ。おしまい!
